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【イオン】2020年度第1四半期決算概要まとめ

こんにちは!総合商社マンです!先日発表されたイオンの2020年度第1四半期決算の内容を見てみましょう。

 

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イオンが2020年度第1四半期決算を発表

イオンが7/8に2020年度第1四半期決算を発表しました。イオンは2月末日が決算月となりますので、今回の第1四半期は3月~5月が対象となり、このタイミングでの決算発表となっているわけですね。イオンは株主優待もあるので個人投資家に非常に人気の銘柄です。

ところで本題に入る前にアイスブレイク。通常多くの日本企業は3月末決算が多い中でなぜ2月末を決算月としているかご存じですか?実はイオンに限らず小売業は2月決算会社が結構多いです。

この理由ですが、非常にシンプルで、「小売業は2月と8月が暇だから」です。笑 決算を締めようとすると在庫の棚卸だったり様々な業務が発生しますが、暇な時にやったほうが楽ですよね。12月だとクリスマスシーズン、3月だと春、夏に向けた販売シーズンが始まってしまうので、2月末を決算月としているのです。事実「ニッパチ」といって2月、8月は販売が落ちるそうですよ!

はい、話が逸れたのでもとに戻しましょう。早速イオンの2020年度第1四半期決算概要を見て行きます!

 

 

イオンの2020年第1四半期決算概要

 

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イオンの2020年第1四半期決算概要をイオンが発表しているプレゼン資料を抜粋しながら見てみましょう。

 

決算全体概要

まず決算の全体像を見てみましょう。こちらの決算サマリースライドをご覧ください。

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営業収益というのはいわゆる売上高のことです。ポイントは以下。

  • 営業収益は前年比▲1.9%と微減
  • 営業利益は前年277億円に対し赤字転落の▲125億円
  • 当期純利益は前年▲43億円の赤字から悪化し▲539億円

私は今回初めてイオンの決算を見ていますが、昨年2019年度の第1四半期も赤字だったのですね。過去資料見たところカジタク社というグループ会社で不正会計が発生していてその修正を行ったことで一時的に赤字となっていたようです。2019年通期ではイオンは黒字でした。

今回の決算で大きな問題なのは営業利益が赤字に転落していることと、当期純利益の赤字の大きさですかね。2月~5月というと緊急事態宣言のど真ん中でしたので、臨時休業が続いたので止む無しかと思います。とはいえ、当期純利益の▲539億円という金額についてですが、例えばイオンの2019年年間の当期純利益実績が268億円だったことを鑑みると、第1四半期だけでこの金額の赤字というのがいかに巨額なのかが分かるかと思います。一つ不思議なのは思いのほか営業収益(売上)が減少していないことですね(後ほど詳しく見てみましょう)。

 

地域別業績概要

営業収益と営業利益を地域別に見てみます。地域といっても関東、関西とかいう地域ではありません。知らない人もいるかもしれませんが、イオンは実は日本のみならず海外展開もしています。ですのでここでいう地域別というのは国際的な地域とご理解ください。イオンは地域を「日本」、「アセアン」、「中国」、「その他」と4分割しています。

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※イオンの決算補足資料から抜粋

ちょっと細々としていて分かりにくいので営業収益と営業利益と分けてポイントを書き出します。まず営業収益のポイントです。

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※イオンの決算補足資料から筆者作成

  • 営業収益(売上)は日本が90.9%、アセアン4.7%、中国3.2%、その他1.1%という構成。海外展開しているとはいえ、まだまだ日本が圧倒的なのが分かります。

続いて営業利益のポイントです。

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※イオンの決算補足資料から筆者作成

  • 前年同期の実績に目を向けると日本が60%、アセアンが34%というアセアンの高収益率が目立つ(営業収益は日本90%、アセアン5%)。
  • しかしながら、今期は営業利益は前地域において赤字転落。その中でもアセアンの赤字額の大きさが際立つ。※日本よりも赤字額大きい。

こんな感じ。まだまだ規模的には日本が大きいものの、通常時は海外のほうが利益率が大きい状況。しかしながら、コロナ禍の中にあっては海外事業が足を引っ張る状況になってしまっているというところでしょうか。

 

セグメント別業績概要

セグメント別に業績の状況を見てみましょう。これを見ると赤字転落の割に売り上げが減少していない理由が分かります。こちらのスライドをご覧ください

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御覧の通りセグメント別を見るとSM事業が最も大きいですね。SM事業のスライドはこちら。

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SM事業というのはイオンでは「イオンマーケット」や「まいばすけっと」、「アコレ」、「ビッグ・エー」は一斉休校や外出自粛、在宅勤務により家庭内での食事機会増加で営業収益が前年比+8.4%、営業利益に関しては前期赤字から一転+199億円と大幅に伸長したようです。

つづいて大きいのがGMS事業。大型ショッピングモール事業のことですね。こちらをご覧ください。

 

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ここが営業利益赤字となった最大の要因となっていますが、2Qの最初の月である6月にはほぼ前年並みに回復しているようです。

これを見ていると最悪期は脱したのかなという印象を受けます。

 

2020年度業績・配当予想

2020年度業績予想を見ておきましょう。こちらのスライドをご覧ください。

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前回発表内容から特に変更はありません。この営業収益は80,000~84,000億円、営業利益は500~1,000億円と年間では黒字予想となっています。あれ?当期純利益の記載がないよ?と思い、決算短信を見てみたところ以下となっています。

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御覧の通り、業績予想を出しているのは営業利益までで、経常利益・当期純利益はいずれも未定となっていますね。そうなってくると気になるのが配当です。配当についても資料がありましたので、こちらのスライドをご覧ください。

 

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御覧の通り年間36円(上期18円、下期18円)の予想から変更なしです。株主の方はひとまず安堵したという感じですね。ただし、気を付けなればいけないのはイオンの配当性向は2019年2月期:121%、2020年2月期:112%と、当期純利益以上に配当を出してしまっています。その中で今回のコロナショックなので、本当にこのまま配当が維持されるのかについては疑問符が付きます。

1Q末時点の利益剰余金は4,700億円、今期の配当予定総額は300億円なので単純計算で10年以上分は原資があることになるものの、全部配当に回すわけにはいきません。また今後赤字が出ればこの剰余金も減少することになるので、注意必要です。

事実、イオン傘下のイオンフィナンシャルサービスが先日25年減配無し記録に終止符を打ったばかりでしたが、親玉のイオンは配当を今のところ維持した形です。今後の状況如何では減配もあり得る話ですのでご注意ください。

尚、イオンフィナンシャルサービスの減配記事は以下からどうぞ。

 

www.sogoshoshaman.com

  

イオンの財務状況

イオンの財務状況もさくっと見ておきましょう。こちらがイオンの1Q末時点のBSになります。

 

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ポイントを箇条書きします。

  • 自己資本比率は15.6%と結構低い水準(前期は16.7%)。
  • 流動比率(流動資産÷流動負債)は102%と低め。120%以上が一応の安全ラインと言われている。
  • 2019年度のROEは1.4%と超低い。(株主から預かった金を有効に活用出来ていない)。1Qは赤字なので算出不可。

決して良い財務状況ではないですね。あと一つ驚いたのが、イオンは四半期決算ではキャッシュフローは公表していないのですね。このコロナ禍資金繰りがどうなっているのかは気になるところです。

 

最後に:最悪期は脱したか?株主優待は魅力的

今回の記事を最後に簡単に纏めてみましょう!

  • 第1四半期はコロナ禍の中でも最悪期だった可能性があり、既に6月からは顕著に回復が見られていることから最悪期は脱出した可能性あり。
  • ただし、今後コロナ第二波の発生次第で再び厳しい状況になる可能性には注意。
  • 配当性向は既に100%を超えてきている状況。本当に配当を今後維持出来るのか疑問。
  • 自己資本比率の低さ、ROEの低さ等、財務状況、効率性は決して良くない。

こんな感じ。そんなイオンの株価推移は以下となっています。

 

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3月にコロナショックで暴落したあと、既にコロナ前の株価奪回していますね。足元はコロナ第二波の不安から少し調整しているといった感じです。近々株価分析でもしてみますね。

そんなイオンですが株主優待は結構魅力的ですよ!大きく二つあります。

  • 株主優待カード(権利確定:2月、8月)

 

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御覧の通り保有株数に応じて半年ごとにキャッシュバックを受けられるという内容です。普段買い物する人には有難いですね!

  • 長期保有株主優待制度(権利確定:2月、8月)

 

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3年以上(2月末、8月末の株主名簿に同一株主番号で7回以上連続記載必要)保有することで保有株式数に応じてギフトカードがもらえるという内容ですね!

日本に在住している人であれば何かしらのイオングループ店舗が身近にあるでしょうから、日々の買い物に使うという人であればお得に株主優待を楽しめるかもしれませんね!

 

尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメですよ。

 

 

堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!

中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。 

 

 

先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!

  

ということで今回は以上です!イオンに投資をしようと考えている人はイオンの配当性向も理解した上で投資を判断することをお勧めします。

当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。

今回も最後までお読み頂き有難うございました!

 

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