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【ANA】2,000億円の公募増資で株式が○○%希薄化!?

こんにちは!総合商社マンです!悲報です。ANAが2,000億円の公募増資をするようで、株式が希薄化します。。

 

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ANAが2,000億円の公募増資

ANAが2,000億円の公募増資を検討しているというニュースが流れました。あくまでANAが発表したものではなく、マスコミの報道です。

こちらは2020/9/25付けの日本経済新聞のネット記事の一部抜粋です。

ANAホールディングス(HD)が2000億円規模の公募増資を検討していることが25日、わかった。銀行からの借り入れで当面の資金繰りにメドをつけているが、新型コロナウイルス禍で旅客需要の早期回復は見通せない。危機の長期化に備えて普通株による資本増強に動く。

 全文掲載はまずいと思うので、上記はほんの一部の抜粋ですが、記事全体の要約をすると以下の通りです。

  • 銀行借入で当面の資金繰りにメドは付いているが、危機の長期化に備えて資本増強するもの。
  • 現在は大幅赤字と借入金の増加で自己資本比率が悪化。
  • 21年3月期は6,000億円程度の最終赤字に陥る可能性あり、20年3月末の約1兆円の自己資本を大幅に棄損するリスクが高い。
  • 劣後ローン4,000億円の資金調達も行うが、自己資本に組み入れられるのは半分の2,000億円程度で不十分であり、公募増資が必要と判断した模様。
  • ただし、財務体質が改善することへの期待が高まる可能性もある。

 コロナ禍で経営に苦しんでいる状況ではあったので、超サプライズではないですが、株主はこの増資で株価がどうなるのかが気になるところですね(後述)。

 

※追記:この記事を書いた後にANAがIRを出しました。

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「資金調達については様々な手段を従来より検討しておりますが、現時点で決定した事実はございません」とのこと。増資自体は否定していませんね。

 

ANAの財務状況

ANAの財務状況を見てみましょう。先日、このブログ内でJAL vs ANAの財務体質比較をしていました(以下記事)。

 

www.sogoshoshaman.com

 

この上記の記事内で2020年6月末時点の自己資本比率の比較をしており、それがこの表です。

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  • JALの45.9%に対しANAは33.9%と、JALと比較してだいぶ低い。
  • DERレシオもJALの0.5倍に対しANAは1.4倍と圧倒的に財務状況が悪い。

DERは1倍を切っていれば借金よりも自己資本のほうが多いことを示しますので、ANAとJALの体力の差がここでも伺えます。

この理由は、JALは一度過去に倒産をしており、その際に銀行団からの債権放棄や、経営再建のための法人税免除等を受けて財務体質が非常に良くなっていたことが主な要因でしょう。ま、これにはANAも競争環境を侵害していると政府にクレームしていたようですが。

まだANAが正式に発表したものではなく、マスコミのスクープニュースとして流れているので正確なところはANAの発表を待ちたいですが、個人的に注目しているのは、ANAの以下の第一四半期決算発表の際の質疑応答内容です。

 

第1四半期決算時の質疑応答

第1四半期決算時の質疑応答で、現在の手元流動性と自己資本比率に対して質問と回答がありました。

 

手元流動性に関する質問

Q4) これまでに 1 兆円規模の資⾦を確保していますが、現状の⼿元⽔準をどのように捉えていますか。


A4) これまで迅速に資⾦を調達してきたことにより、現時点においては、今年度末までは資⾦⾯での問題はないと考えています。ただし、⼿元流動性の確保は最重要課題であるため、コスト削減や投資抑制等を徹底した上で、追加の調達が必要と判断した場合には、速やかに実⾏していきます。

 「今年度末までは資金面での問題はないと考えている」と言っていましたね。ま、その後必要なら追加の調達は速やかに実行するとも言って言っているので嘘は言っていませんね。

 

自己資本に関する質問

Q5)今年 3 ⽉末に⽐べて⾃⼰資本⽐率が低下しています。今後、どのように財務の健全性を確保していく⽅針ですか。


A5) 6⽉末時点の⾃⼰資本⽐率は、前期末に⽐べて低下していますが、第1四半期中に⼿元資⾦を⼀時的に⼿厚く確保したことが影響しています。コスト削減などの収⽀改善策も含めて、⾃助努⼒によって財務健全性を確保していくことが基本⽅針であり、事業環境を慎重に⾒極めながら、適切に対応していきます。

ここでは「自助努力によって財務健全性を確保していくことが基本方針」と言っています。自助努力をしてきたけど、それだけでは無理だったということで、今回増資に踏み切ったということでしょうかね。

 

増資による希薄化はどの程度か?

増資による希薄化はどの程度か?これが一番気になるところではないでしょうか。ANAが一株何円で、いくらを調達するのか公式に発表しているわけではないですが、仮に2,000億円規模の公募増資を行ったとした前提で見てみましょう。

9/25の終値時点のANAの時価総額は約9,400億円ですので、ざっくり20%程度の希薄化になる可能性があるということですね。

この増資で株価が大幅に下落するのか、はたまた増資により財務安定性が好感されて株価上昇するのかは来週月曜日の株価を見てみないと分かりません。ま、そもそもまだANAが公式に情報をリリースしていないので、この情報の信ぴょう性も定かではありません。

ただ、この記事を書いている時点での夜間取引ではANAは本日の終値から▲4%近く下落しているので、月曜日の株価は下げるのかな。

ANA、月曜日の株式市場で超注目銘柄です。

 

最後に:財務状況を見て投資を判断することが重要

これは釈迦に説法ですが、個別株投資をするのであれば、財務状況を自分でしっかりと見た上で問題が無いのかどうかを判断し投資をする必要があります。

今回ANAは増資をするというニュースが流れて株価が下がっているわけですが、他にも最近では「すかいらーく」が株主優待を改悪したりと、コロナショックの最中に数多くの悲報が市場を賑わしていますよね。

 

www.sogoshoshaman.com

 

これだって「ゴーイングコンサーン」が付いていたりと結構危ないよーというシグナルは出ていましたので、財務状況を自分で把握することの重要さを学ぶいい機会だったと思います。

  

尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。

 

 

堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!

中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。 

 

 

先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!

また、三菱商事を例に挙げて企業分析方法を学べる現役銀行員のたりたり社長という方が書いた良書もありおススメですよ!

 

 

ということで以上です!

当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。

今回も最後までお読み頂き有難うございました!

 

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