こんにちは!総合商社マンです!キヤノンが2020年度第2四半期の決算発表を行ったよ!30年ぶりの減配だそうですが、あれ?溜め込んだ内部留保は??
キヤノンが20年度第2四半期決算を発表
キヤノンが本日7/28に20年度第2四半期の決算発表を行いました。キヤノンは12月決算会社なので、このタイミングで第2四半期決算発表というわけですね。既にTwitter上でも騒ぎになっている「30年ぶり減配」が発表され、非常に厳しい決算となったようです。
この記事ではキヤノンが発表した決算資料を眺めながら内容を見て行きたいと思います!
20年度第2四半期決算概要
早速キヤノンの2020年度第2四半期決算の概要を早速見てみましょう。
まず定量実績を見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。
この数字はあくまで2Qだけの数字です。1Qの数字は含まれていません。
ポイントを箇条書きします。
- 売上高は前年比▲25.7%減少。
- 営業利益は前年431億円の黒字だったものが▲178億円と赤字転落。
- 当期純利益は前年345億円の黒字だったものが▲88億円と大幅赤字に転落。
日経新聞の記事によると四半期決算で赤字転落となるのは四半期決算開示を始めた2000年以降で初めてだそうです。営業赤字に関してはコロナの影響が約700億円程度あった模様。それだけコロナの影響が凄まじいのかを物語っている気がします。
尚、上記はあくまで4-6月の2Qのみの数字で、1月-6月の上期累計では以下の数字となっています(決算短信抜粋)。
- 売上高は前年比▲17.8%減少。
- 営業利益は前年比▲81.9%減少するも151億円の黒字確保。
- 当期純利益は前年比▲80.1減少するも131億円の黒字確保。
上期では営業利益も当期純利益も黒字を確保したようですね。あくまで赤字転落は2Qだけということです。
20年度年間業績見通し&配当予想
2020年度の年間業績見通しも見てみましょう。キヤノンは今期業績予想をコロナの影響が見えないということで今まで未定としていましたが、今回発表されました。
ポイントを箇条書きします。
- 売上は前年比▲14.3%減少。
- 営業利益は前年比▲74.2%減少の450億円。
- 当期純利益は前年比65.6%減少の430億円。
コロナ禍にあっても年間では営業利益及び当期純利益の黒字は確保しています。尚、この業績予想の前提の下期為替はドル円105円、ユーロ円118円と現状よりは円高に置いているとのことです。
そして今回私は株主でも何でもないですが、個人的に「がっかり」と思ったのが配当です。こちらは決算短信からの抜粋です。
もともとキヤノンは今期の配当予想を未定としていましたが、今回これを「上期40円、下期は引き続き未定」と公表しました。これまた日経新聞記事によると30年ぶりの減配だそうです。
「ま、コロナ禍だからしょうがないでしょう」と思う方もいるかもしれませんが、キヤノンの溜め込んだ剰余金いくらか知っていますか?
なんと2兆円近くあります。そして自己資本比率は54.1%と超健全です(以下参照)。
さきほど「がっかり」と言ったのは、こういう時のために過去に利益を貯めこんで内部留保厚くしているんじゃないの?と思った次第です。笑
ではなぜこんなにも内部留保が厚く、自己資本比率も高いのに減配となったのか。それについてはこちらのスライドをご覧ください。
このスライドはキャッシュフローの見通しですが、ポイントは以下です。
- 営業キャッシュフローは1,800億円の黒字なるも前年比半減。
- 投資キャッシュフローは前年並みも維持。(将来の成長に向けて投資継続)
- その結果フリーキャッシュフローは赤字転落となっています。
仮に去年と同じ年間160円(上期80円、下期80円)の配当を維持するとなると、総支払配当額は約1,700億円になりますが、そうなると営業キャッシュフロー全てが配当に回ってしまい、成長へ向けた投資に制限が掛かってしまうという考えから減配をしたようです。
とはいえ、「いやいや内部留保あるんだからキャッシュフロー悪化しても払えよ」と思うかもしれませんが、払おうとしたら払えるでしょうが、今回の減配はキヤノンの相当な危機感の表れかなと思っています(最後に私見を述べます)。
ちなみにこれは参考までですが、ここまで自己資本の厚いキヤノンのROEってどんなもんなんだろうという疑問が生じて確認してみたところ、2017年:8.56%、2018年:8.87%、2019年:4.53%となっています。2019年は低くなっているものの、これだけ自己資本厚くてもこのROEを出しているキヤノンはすごいなと思いました。ま、10%は欲しいところですが。
最後に:優良企業も一気に転落しかねないのがコロナショックか
今回キヤノンの20年度上半期の決算発表を見てきましたが、この記事を書いていて思ったのが、今回のコロナショックというのは優良企業であっても油断したらすぐに転落しかねない、そんな世界を作り出そうとしているほど物凄いインパクトなのかなと感じました。GAFAが世界のビジネスモデルを変革し始めている中での今回のコロナショックで、そういった動きに拍車を駆けている、そんな気がしてなりません。
恐らく御手洗会長も相当な危機感を持っており、目先の株主への配当よりも、まずは将来への成長の投資を緩めないことを最優先し、それが翻って株主への利益に繋がる、そういった考え方をしているのかなー、というのが個人的な感想です。知らんけど。笑
今後も優良企業と言われているキヤノンが優良企業で居続けることが出来るのか、非常に注目ですね。ということで今回は以上です!頑張れキヤノン!!
尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。
堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!
中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。
先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!
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