- 原油先物相場暴騰!!
- 原油ETFのからくり
- 4月17日朝の先物チャートと実際の原油価格チャート
- なぜ原油先物はコンタンゴなのか?
- コンタンゴで得する人は誰なのか?
- 原油ETFを取引するにあたって(私見)
原油先物相場暴騰!!
4月17日の朝型に原油先物相場が19ドル台から一気に26ドル台までチャート上で暴騰しました。この暴騰を見て原油ETF買った方々は「よっしゃーーーー」と喜んだかと思いますが、原油ETFは前々上がらず。「ファッ!?」となった方が多いと思います。かくいう私も深夜に眠気眼でこのチャートだけ見て、ノンホルですが「うおーーー」ってなっちゃいました。笑 この原油ETFのからくりを今回は見ていきたいと思います!
原油ETFのからくり
原油ETFのからくりを見ていきます。なぜチャート上の原油先物価格は暴騰しているのに原油ETFは上がらないのでしょうか?その答えは「ロールオーバー」と「コンタンゴ」という二つのキーワードで説明できます。
ロールオーバー(限月乗り換え)
これについては野村證券のホームページに説明をしている資料があるので見てみましょう。
参照元:野村証券ホームページ
- 満期を迎える前に期近物を売り、期先物を買う仕組み
なんのこっちゃ?と思う方もいるかもしれませんが、原油ETFは1か月先物、2カ月先物という感じで毎月満期を迎えるものがあり(2030年頃分まであります。笑)、基本的に原油ETFは一番満期に近い物で運用しているので、その満期が来る時にさらに翌先月のものに買い替えるのです。だって現物の原油いりませんからね!まずこれがロールオーバーという仕組みです。
コンタンゴ
コンタンゴについて次に説明します。「なんやそのカタカタ言葉は?」とこれまた声が聞こえてきますが、これについても野村證券のホームページに以下説明があります。
- 満期の遠い先物ほど先物価格が高い状態をコンタンゴと呼ぶ
例えば現在の期近の先物価格が20ドルだったとして、新たに買い替える期先物の先物価格が25ドルと今よりも高い価格だったとすると、これがコンタンゴになります。ロールオーバーのタイミングで一見すると5ドル上昇しているように見えますが、現在の安い先物を売って、高い先物に買い替えを行いますので、この5ドルは特にロングのホルダーさんの利益にはなりません(泣)要は高い買い物させられているだけです。笑
例えば1,000バレルのポジションが20ドルで、期先の先物価格が25ドルの場合のロールオーバーだと、以下の様な計算になります。
ロールオーバー前:20ドル×1,000バレル=20,000ドル
ロールオーバー後:25ドル×800バレル=20,000ドル
何が起きているかというと、ポジジョンの単価は20ドルから25ドルへと高くなりましたが、その分保有バレル数は減っていますよね?だからいってこいでロングホルダーさんの利益にはならないわけです。
4月17日朝の先物チャートと実際の原油価格チャート
それでは4/17朝に先物価格にどのような動きがあったのかチャートを見比べてみましょう。
WTI原油先物チャート
御覧の通り、朝方に19ドル台から一気に26ドル台に爆騰しております。笑 これを見て(私も含め)うおーー、となってしまったのです。笑 これは5月限の先物から6月限にロールオーバーが発生してるわけです。つまりこのチャートは現在6月限の先物チャートになっているのです。
ちなみに直近限月の先物よりもっと先の価格を見たい方は以下サイトで確認出来ますのでどうぞ。
5月限の原油価格チャート
御覧の通り全く上がっていません。笑 というか足元では18ドル台まで下落。。。なんてこったですね。これがまさにロールオーバーとコンタンゴに起因するものです。
従い、この一個前に見た25ドルまで上昇している先物チャートも、このSpot価格が上昇しないと、25ドルから18ドル台まで徐々に下がってくることなります。ということはどういう意味なのか?勘が良い方は若干背筋が凍り始めているかもしれませんが、先ほど例にあげた計算式にもう一個例を足してみると良く分かります。
- ロールオーバー前:20ドル×1,000バレル=20,000ドル
- ロールオーバー後:25ドル×800バレル=20,000ドル
- ロールオーバー後原油価格(18ドル)上昇しないと:18ドル×800ドル=14,400ドル
お分かりになりますか?恐ろしいですね。笑 ロールオーバーで保有バレルが減った上に値下がりのダブルパンチで猛烈に損することになるわけです。
加えて最も代表的なWTI原油ETFの1671の本日のチャートも見てみましょう。
WTI原油ETF(1671)チャート
4月17日のチャートですが御覧の通りの有様です。笑 全く上がってませんよね。
原油相場とか商品価格を色々見たい方は以下記事に私が使っているサイト纏めたのでご参照を。恐らく、原油価格が上昇しないと徐々にこのETFも右肩で下がっていくことになると思います。
なぜ原油先物はコンタンゴなのか?
なぜ原油先物はコンタンゴなのでしょうか?先ほどの野村證券の資料にもあった通り、期先物が安いバックワーデーションという現象も先物においてはありますが、今回はコンタンゴでした。これは、原油というのは保管費用等々のコストが発生するためなのです。逆に言うと、今後の保管費用を考慮しても需給がひっ迫して将来原油価格の上昇期待値が高ければバックワーデーションとなることもありますが、現在の世界情勢による需要の低下を鑑みれば、コンタンゴとなることは一目瞭然ですね。
しかももう一つ付け加えると、世界の原油需要が激減しているため、原油が余りに余って保管場所が足りていません。そのため保管料が上昇して限月差のスプレットがこれほどまで大きくなっているのです!
最近の原油市場の状況について知りたい方は以下二つの記事をお読み頂ければ、概ね理解できると思います。
コンタンゴで得する人は誰なのか?
コンタンゴで利益を上げているのは、まさにロングホルダー(買い方)の敵、ショート(売り方=売り豚)の方々です。なんとももどかしい。笑 では今後原油ETFが上昇していくためにはどのようなファクターが必要なのでしょうか。それはずばり以下項目をクリアすることがロングで儲けるために必要です。
- 単純に原油価格が上昇すること
- コンタンゴが縮むことorバックワーデーションになること
- 円高にならないこと
この3つです。特に注意が必要なのは原油価格の上昇に関して。原油価格の上昇はロールオーバーコスト以上の値上がりをしなければいけないということです。つまり現在買う先物が20ドルだとして、期先の先物価格が25ドルだとすると、ロールオーバーコストは5ドル分ですから5ドル以上の値上がりをしないと利益が出ません。
また、為替も関係あるのかと思った方もいるかもしれませんが、WTI原油ETFはドルで取引されており、ETF自体は基本的に為替ヘッジしていません。そのため円高は単純に円建てのETFにとってはマイナス要因になります。今の相場ではなかなか難しい要素が並んでますね。笑
原油ETFを取引するにあたって(私見)
原油ETFを取引するにあたって、最後に私見を述べさせていただきますが、よっぽど需給が引き締まらない限り基本はコンタンゴの状態が継続すると思ったほうがいいです。従い、原油ETF取引をする方は決して長期ホールドだけは避けたほうが無難です。1,2カ月くらいの短期勝負をお勧めします。というのも以下3つのコストでどんどん資産が目減りするリスクがあるからです。
- ロールオーバーコスト
- 円高による目減り
- ETF信託報酬コスト
もちろんこれに加えて原油自体が値下がりしたら目も当てられませんし、ちょっとの値上がりでは上記3点のトリプルパンチで完全にコスト負けしますので。いやー原油で儲けるのって大変ですね。笑
このロールオーバーの時期を知りたい方は以下記事からどうぞ。
既に含み損を抱えてどうしようと思っている方は以下記事を読むことを強くお勧めします!!!
OPEC+や米国含めた原油産油国に動きがあれば随時ブログで報告します!
今回は以上です!最後までお読み頂き有難うございました!
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