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ホテル特化型リートは買っても大丈夫か?

 

 

コロナショックで様々な業界が打撃を受けていますね。航空業界や石油業界等々上げればキリがありません。そんな中で今回、特に打撃を受けている旅行業界の一つ、ホテル特化型リートに注目してみたいと思います!

J-REITの概要

まず最初にJ-REITの概要ですが、は2020年4月28日時点で以下の通り全部で63銘柄上場しています。

jreit-list

参照元:JAPAN-REIT.comホームページ

この63銘柄の中には以下の様に様々な運用スタイルのものが混在しています。

  1. 事業所主体型(企業のオフィスとか)
  2. 住居主体型(マンションとか)
  3. 商業施設主体型(ショッピングモールとか)
  4. 物流施設主体型(倉庫とか)
  5. ヘルスケア主体型(老人ホームとか)
  6. ホテル主体型
  7. 複合型(上記の一部をいろいろ混ぜたやつ)
  8. 総合型(上記ほとんどを混ぜたやつ)

一般的に1~6を特化型、7を複合型、8を総合型という感じで分けて呼んでいますが、今回はこの中で上記の6番、ホテル主体型にフォーカスしてみたいと思います。

 

J-REITの全体の運用状況、利回りは?

J-REITの全体運用状況と利回り状況はどうなっているでしょうか?後ほどホテルリートを見ますが、それと比較するためにまずはJ-REITの63銘柄の全体像を見て理解しておきましょう。

まずこれがJ-REIT指数の推移です。

jreit-chart

参照元:SBI証券サイト

御覧の通り、コロナが本格的な拡大を見せる前の年初め頃までは2,200でしたが、コロナショックにより一時1,100台とまさかの50%の暴落、その後やや反発して1,600台で推移しています。つまりJ-REIT全体では年初の2,200から1,600と、まだ27%程度下落した状態ということが分かりますね。

そしてこれが全体の利回り状況です。

jreit

これは2020年4月29日時点ですが、御覧の通り4.92%とかなりの高配当利回りとなっていることが分かります。ただし、普通の企業の個別株と同じで、この利回りは現在予定されている配当額で計算されているので、今後の減配リスクには注意が必要です。

ということでこの2点を頭の片隅に置きながら、ホテル特化型のリートを見ていきましょう!

  • J-REIT指数は年初から27%下落
  • J-REIT全体の配当利回りは約5%

 

ホテル特化型リートは何銘柄あるか?

ホテル特化型リートは何銘柄あるでしょうか?冒頭でJ-REITは全部で63銘柄上場していると言いましたが、その中の内、これがホテル特化型の一覧です。


御覧の通り63銘柄中、6銘柄がホテル特化型のリートということになります。実は複合型や総合型でもホテルをポートフォリオに入れていたりはしますが、あくまで今回はホテルだけに特化しているこれらの6銘柄を見てみたいと思います。

 

ホテル特化型リートのNAV倍率、配当利回りは?

ホテル特化型のNAV倍率はどうなっているでしょうか?はっ?NAVってなんや??と思われた方もいるかもしれませんので、J-REIT.comのサイトの説明を以下に引用します。

Net Asset Valueの略。バランスシートの含み損益を純資産に反映させ時価ベースで純資産額を算出するために利用する。J-REITの場合はNAV=純資産額-保有不動産簿価+保有不動産鑑定額で算出される場合が多い。

はい、もちろんその通りなのですが、小難しく書いてありますね。笑 要はNAVはその銘柄の純資産で、NAV倍率ってのは株式投資を知っている方なら一度は聞いたことあるPBR(株価純資産倍率)のようなものです。1倍を割っていれば解散したら株主はお金がもらえるってやつ。ね?聞いたことありますよね?
J-REITの場合はPBRではなくてNAV倍率といって一株当たりの純資産の時価評価を使ってこれを算出しています。それを今回説明すると本題からずれてしまうので、割愛しますがPBRと考えれば理解しやすいかと思います!
さてさて、それではこの6銘柄のNAV倍率と利回りです。
投資法人 投資単価 利回り NAV倍率 決算月 業績予想
インヴィンシブル
(8963)
25,740円 13.4% 0.48 6月,12月 予想未定
(4/24)
ジャパンホテル
(8985)
34,150円 10.81% 0.42 12月 予想未定
(3/25)
森トラストホテル
(3478)
83,400円 8.54% 0.61 2月,8月 5月に開示
(4/23)
大江戸温泉
(3472)
57,900円 7.38% 0.55 5月,11月 下方修正済
(3/23)
星野リゾート
(3287)
364,000円 7.27% 0.66 4月,10月

変更なし(4/27)

いちごホテル
(3463)
57,000円 5.62% 0.40 1月,7月 下方修正済
(4/27)
※J-REIT.comの情報から筆者作成
※高配当利回り順
※()日付はプレスリリース日
如何でしょうか。この数字だけ見るととんでもなく高配当、NAV倍率も1倍を割って0.5倍前後で超がつくほど割安に見えますね。笑 実際のところどうなのでしょうか?表の一番右側に業績予想に関しての情報を書いてみました。ここがポイントで、大きく3つのグループに分けられます。
 
  • グループ①業績予想出せていないリート
  • グループ②業績下方修正済リート
  • グループ③業績予想変更なしのリート

グループ①業績予想を出せないリート

高配当利回り上位3リートであるインヴィンシブルリート、ジャパンホテルリート、森トラストリートがこのグループに入ります。業績予想を現時点で出せないというプレスリリースを出しているのです。そのため、このJ-REIT.comで表示されている配当利回りは以前の業績好調な時の配当予想で計算されています。そのため減配ほぼ100%確実ですので、この配当利回りを鵜呑みにしてはいけませんよ。

グループ②業績下方修正済リート

このグループには大江戸温泉リートいちごホテルリートが入ります。既にコロナの影響を鑑みて業績を下方修正済、配当予想も修正済となっています。だからといって安心してはいけません。いちごホテルリートはその予想を4/27に出しているので結構現実的な予想が出せていると思うのですが、大江戸温泉リートが下方修正発表を出したのは3/23です。まだ緊急事態宣言が出される前ですよね。その頃より状況は悪化していますので、配当予想もさらに下がることは確実でしょう。

グループ③業績予想変更無しのリート

このグループには星野リゾートリートが入ります。本当かよ?って思う方もいるかもしれませんが、4月27日の「金利スワップ契約締結に関するお知らせ」の一番最下部に以下の記載があるのです。

hoshino-reit

参照元:http://www.japan-reit.com/kaiji/3287/2020/20200427400025.pdf

ほらね?笑 ま、でも信じないほうがいいでしょう。笑笑 きっと減配です。

 

ホテル特化型リートの株価動向は?

ホテル特化型リートの株価動向はどうなっているでしょうか?

6銘柄の状況を下の表で纏めてみました。

投資法人 1/6終値 4/28終値 対年初暴落率 安値 対年初暴落率 安値からの反動率
いちごホテル
(3463)
     139,700          57,000 -59.2%     40,150 -71.3% 42.0%
インヴィンシブル
(8963)
       62,000          25,740 -58.5%     18,870 -69.6% 36.4%
ジャパンホテル
(8985)
       81,600          34,150 -58.1%     24,320 -70.2% 40.4%
森トラストホテル
(3478)
     152,600          83,400 -45.3%     63,600 -58.3% 31.1%
大江戸温泉
(3472)
       94,200          57,900 -38.5%     45,000 -52.2% 28.7%
星野リゾート
(3287)
     566,000        364,000 -35.7%   250,000 -55.8% 45.6%

※J-REIT.comの情報から筆者作成

色々と数字が並んでいますが、中身はシンプルで以下3点を見ています。

  • 今年の大発会の1/6から4/28まで何%下落しているか。
  • 年初来安値は大発会と比べて何%下落していたか。
  • 年初来安値から現時点で何%上昇しているか。

年初の大発会から現時点の株価の下落率が大きい順に並べていますが、上位3リートのいちごリート、インヴィンシブルリート、ジャパンホテルリートがいまだに約6割下落したままです。そして森トラスト、大江戸、星野が35~45%程度の下落で推移、それでもなかなかの下落率です。冒頭でお伝えしたようにJ-REIT全体では27%程度の下落だったので、ホテル特化型リートの落ち込みが顕著なことが分かりますね。

 

ホテル特化型リートに妙味アリ!

ここまで大きく下落しているホテル特化型リートですが、個人的にはポストコロナを見据えて自分のポートフォリオの中に少額入れても良いかなとは思っています。以下超個人的な個別のコメントです。

  • 下落率トップのいちごは確認したところ格付けが表示されていないので少々リスクが高いかな。
  • インヴィンシブルはスポンサーにソフトバンクグループ(SBG)がおり、SBGも大変なことになっているので支援余力無いのではとこちらも少々心配かな。
  • ジャパンホテルリートはホテル特化型リートの中では資産規模は最大。実はオリックスがサブスポンサーで、格付けもR&IでA、JCRでA+と安心感はありかな。
  • 大江戸温泉リートはいちご同様格付け表示なく、やや心配。
  • 森トラストと星野リゾートはさすがに有名どころなだけあって、安心感はあるけど星野は購入単価が36万円程度と大きいので資金に余裕がある人はいいかな。

っていう感じ。今が底値かどうか分からないし、東京オリンピックの開催可否の影響も受けると思うので、時間を分散しながら買っていっても面白いかもしれませんね!

 

今回は以上になります!

最後までお読み頂き有難うございました!!

 

 

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