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【JAL】2020年3月期決算概要!株主還元の行方は?決算資料を紐解いてみた

こんにちは!総合商社マンです!コロナ禍の大打撃を受けている航空産業。期末無配転落したJALの決算、株主還元の行方や如何に!?

 

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JALの19年度決算概要

JALの19年度決算概要を簡単に見てみたいと思います。JALが属する航空産業は今回のコロナ禍の影響を最も大きく受けたセグメントと言っても過言ではない状況です。人の動きが止まり、飛行機による移動需要が瞬時に蒸発してしまった一方で、航空機の減価償却、駐機費用、人件費等々の固定費は発生し続けるわけですから、経営側からしたら地獄のような日々であることは容易に想像が付きます。

JALは3月決算会社ですので最新決算は2020年3月末の通期決算です。コロナは2月頃から世界的に蔓延が始まり、3月には人の移動がほぼ止まるような異常事態となっていたことから、既に2020年3月期決算にも影響が出ていました。こちらのスライドをご覧ください。

 

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参照元:JAL決算資料より抜粋

2019年度の決算概要スライドです。色々情報が詰め込まれていて見づらいのですが(笑)、ポイントだけ書き出します。

  • 左側の棒グラフ記載の営業収益≒売上は前年比▲5.1%と減少と意外と大きくは減少していません。ま、コロナが登場したのは第4四半期ですからね。
  • 注目すべきは右側の営業利益及び当期純利益です。
  • まず営業利益は前年比▲42.9%の1,006億円。償却方法の変更があったようですが、その影響を除いても▲38.3%減です。売上は▲5.1%しか減少していないのにです。航空ビジネスの固定費の高さが伺えますね。
  • 当期純利益は対前年比▲64.6%減益の+534億円となりました。

こんな感じ。売り上げの減少幅に比して、営業利益の減少が大きいですね。航空ビジネスというのは構造上固定費が高くなりがちなのでしょうね。機材を持ち、その機材を保管し、メンテし、、、機材を持っているだけで色々とお金が出て行ってしまうので、それを運行出来なくなれば利益が急減するというのは想像に難く無いですね。

もうちょっと詳しく見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。

 

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参照元:JAL決算資料より抜粋

こちらはコロナの決算への影響を説明したスライドです。ポイントを挙げると以下点です。

  • 左側旅客者数推移の折れ線グラフで見てわかるように2月、3月の落ち込み具合が半端じゃありません。もちろん4月以降もこれが継続しているでしょうから、次回JALの第1四半期決算を想像すると恐ろしいですね。
  • 次に右側の営業利益増減。1月31日公表時点では営業利益予想は1,400億円でしたが、第4四半期の減収▲747億円に対し、コストカット出来た額は354億円。その結果通期では営業利益は1,006億円、第4四半期だけで見ると営業利益は▲195億円の赤字転落という状況であることが分かります。

かなり厳しい状況であることが分かりますね。続いて財務状況とキャッシュフローも見ておきましょう。こちらのスライドをご覧ください。

 

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参照元:JAL決算資料より抜粋

ポイントを書き出します。

  • 自己資本比率は58.9%となっており、これだけ見ると超健全(健全過ぎて、配当or自社株買いを実施することで自己資本減らしROE上げろという議論も出そうなレベル)。
  • 営業CFは600億円の黒字となったものの、前年からは▲2,366億円と激減。
  • 投資CFは前年よりも投資が増え▲2,215億円。その結果フリーCFは▲1,615億円。

現金の流出が大きく、事実BSの現金及び預金は前年の5,220億円から3,291億円と▲1,929億円減少しています。ただ、それでもDEレシオは0.2倍と有利子負債よりも自己資本のほうが大きい実質無借金経営の状況です。既に世界的に航空会社(タイ航空、ヴァージン・オーストラリア航空、等)が倒産し始めている状況ですが、自己資本の厚みもありJALにおいてはすぐにぶっ倒れるということは無いと思われます(たぶん)。

また、4月に大手金融機関に3,000億円規模のコミットメントライン(融資枠)要請というニュースを見かけたので、この緊急事態に対応するために流動性の確保に動いていることが分かります。

業績はかなり厳しいですが、短期的には財務状況の安全性は高いと言えそうですね。

 

JALの株主還元状況

JALの株主還元状況を見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。

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参照元:JAL決算資料より抜粋

2019年度は年間配当は中間55円、期末配当が無配となり、配当性向は35.3%となりました。また自社株買い200億円も実施していたので総還元性向(配当+自社株買いで利益の何%を株主に還元したかという指標)は72.8%と、期末無配となったものの数字としては業績に応じて株主還元を積極的に行っていると言えるかもしれません(安定性は欠けますが)。今期の配当については現時点では「未定」となっています。

こちらは2020年3月期決算説明会での株主還元に対するコメントです。

 

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参照元:JAL決算資料より抜粋

赤枠は私が付け足したものですが、この赤枠部分が今期の配当に対するコメントです。現時点では今期配当は「無配」と言わず「未定」としていますが、この赤枠にかなりのヒントが隠されていると思います。特に一番最後のポチで以下がその抜粋。

新型コロナウイルスの感染拡大が終息を迎え、航空需要が回復し、当社の業績が回復基調に戻ったと判断した段階で、再び継続的かつ安定的な株主還元の実現に努めてまいります。 

 現在のコロナの感染が収まっていない状況では配当は出せないということを強く示唆していますね。今期の配当はあまり期待をしないほうが良いのかなと個人的には思います。また皆さんご存じの通り、JALは過去に倒産をしたことがありますので、今回融資をする銀行団は配当余力あるなら融資返済を優先させることを強く要求する気がしますが、さてさてどうなることやら。

 

最後に:JALの次回決算発表は8/3(月)

今回JALの2020年3月期業績を見てきましたが、気になる次回の2021年3月度第1四半期決算は8/3(月)に予定されています。コロナの影響を最も強く受けた期間がこの第1四半期でしょうから相当ひどい決算が出てくることが予想されます。

市場は既にひどい決算が出てくることは織り込み済でしょうが、その赤字規模がどの程度なのか、現金流出具合がどのレベルなのかは注目に値します。

尚、足元のJALの株価はこちらです。

 

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年初は3,000円程度あった株価(年初来高値は3,487円)はコロナショックで暴落し一時4月には年初来安値となる1,656円を付け、その後反発し6月に2,500円を回復。しかしながらコロナの終息が見えない中で業績懸念が再び高まり、足元は1,906円となっています。

この株価がどの程度の今期の赤字額を織り込んでいるかは定かではありませんが、個人的に心配なのはコロナが終息したとしてもすぐに航空需要が戻ってくるのかという点です。コロナ後のニューノーマルにおいて、ビジネス出張はWEB会議(Zoom,Microsoft Teams等)に取って代わられ減少する可能性がありますし、海外旅行へ行きたいという人も以前よりは減少してしまうのではという懸念です。

現在のビジネスモデルがそのまま成り立つのであれば良いですが、需要低迷が長引くと株価にも影響を与えかねませんので、その点は自分なりに判断をして投資をするほうが良いでしょうね。

ということで以上です!近々JALの株価チャート分析してみたいと思いまーす。

  

尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。

 

 

堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!

中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。 

 

 

先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!

  

当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。

今回も最後までお読み頂き有難うございました!

 

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