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JT株は買って大丈夫?最新決算分析してみた(2020年4月)

 


こんにちは!総合商社マンです!今日はJTの業績を分析してみよう!!

 jt-logo

 今日は高配当株・株主優待で人気銘柄のJT株にフォーカスを当てて、最新の決算を見ながらJT株を買っても大丈夫なのかについて考察してみましょう。出来るだけ難しい用語を排除して、もし出てきてしまったら分かり易く説明していくようにしますね!ちなみに先に申し上げておきますが、私はJT株は現時点でノンホルです。

 

 

JTの株価動向

 

まず初めに最近のJTの株価は以下の通りです。

 jt-stock

ご多分に漏れず、今回のコロナショックの影響もあり年初に2,500円程度だった株価は3月23日に年初来安値どころか、上場来安値となる1,862円を付けました。25%の下落です。そしてこの記事を書いている4/8終値は1,996.5円と底からは少し戻して推移している状況です。個別株としては踏ん張っているというところでしょうか。この下落により現在のJT株の配当利回りは7.71%と驚愕の数字です。笑

 

JTって何やってる会社なの?

 

JTって何をやってる会社なのか?皆さん最初に思いつくのは「たばこ」だと思いますがホームページを見ると以下の様な事業が挙げられています。

jt-homepage

  • たばこ
  • 医薬
  • 加工食品
  • スポーツイベント

たばこ以外にも色々やってるんですね。ただ、たばこ以外の事業がどの程度の規模に育っているのか、たばこ一本足打法からどの程度脱却出来ているのか、という点についても今回見ていきたいと思います。

 

JTの最新業績

 

JTの最新業績ですが、JTは12月決算会社なので、今年の2月6日に最新2019年の決算発表を行っています。またそれに合わせて2020年の業績見通しを出していますので、コロナショックの影響が完全に織り込まれていない見通しとなっている可能性が高いです。とはいえ、コロナショックは個人的には一過性のものと考えており、現在のJTの実力値を把握するにはこれが最良の材料と判断しました。

それでは同日にプレスリリースされた見浪CFOの2019年度決算プレゼン資料を見ていきましょう。まずこれが2019年度実績のサマリーページになります。

 jt-financial-report-summary

https://www.jti.co.jp/investors/library/presentation/index.html

参照元:JTホームページ

ご覧の通り売上は21,756億円・対前年比▲1.8%営業利益は5,159億円・対前年比▲13.4%(調整後営業利益・営業利益と似たような言葉が並んでいますが、ややこしいので調整後営業利益を今回は"営業利益"と呼びます)、当期利益は3,482億円・▲9.7%減収減益と厳しい決算だったようです。一方、フリーキャッシュフローは4,042億円・対前年比+2,986億円と大幅に増えています。FCFについては後ほど詳しく見てみましょう。

さて、2019年は減収減益という決算状況ですが、この決算発表に合わせて2020年の会社予想も出していますので、2019年実績と2020年見通しを事業別に見てみましょう。

まず売上の事業別を見てみます。

※当表は見浪CFOのプレゼン資料から数字を引用し、筆者作成。

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  • 2019、2020年共に全売上の内、たばこ事業(国内+海外)だけで85%程度を占めている。
  • 医療・食品は合わせても11%に過ぎない。
  • 加えて、海外たばこ事業だけで58%と半数以上を占めており、海外たばこ事業がJTの主力事業といえる。
  • 2020年はほぼ売上横ばい。

といったことが分かります。次に同じメッシュで営業利益を見てみましょう。

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  • 営業利益の内、2019年はタバコ事業が102%、2020年は106%を稼ぎ出している。※100%を超えているのはその他でマイナスが出ているため。
  • 医療・食品で稼ぎ出す営業利益は僅か3~4%に過ぎない。

この通り、もうたばこ事業の動向を見ればJTの業績がどうなのか見ることが出来ますね。医療・食品は無視して大丈夫なレベルです。ということで、ここからはたばこ事業にフォーカスしてもう少し深堀してみます。

 

JTのたばこ事業

JTのたばこ事業の動向にフォーカスしてみましょう。上記で見てきたように、たばこ事業はJTの売上全体の 85%、営業利益ではほぼ全てがたばこ事業で稼ぎ出していることが分かりました。特に海外事業が売上全体の60%、国内が25%となっており、海外たばこ事業の重要さが際立っています。

これを深堀しようとJTのホームページを見ていたところ、ご丁寧に海外たばこ事業に特化したプレゼンテーションがありましたのでそれを見ていきましょう。

jt-presentation

https://www.jti.co.jp/investors/library/presentation/pdf/20200206_04.pdf

参照元:JTホームページ

これは余談ですが、JTの海外事業を行っているのはJTI(Japan Tabacco International)という事業会社で、本社はスイスにあります。そういこともあり、このプレゼンにはJTI社社長のMr.Eddy Pirardの名が記載されているのですね。

まず出荷数量です。

 jt-shipment-volume

なんか良く分からないアルファベットが並んでいますが、意味が分かればシンプルです。順を追って説明します。

  • BnUというのは出荷数量で2018年実績は4,280億本という意味です。
  • Industryというのが市場全体需要のことで▲160億本市場が19年は縮小の意。
  • SoMはShare of Market、つまり市場シェアを伸ばすことで130億本増加の意。
  • M&Aは19年に新たに企業を買収をしたことにより増えたもので210億本増加。

つまりこのページではたばこ市場は世界的に縮小したものの、①JTとしてシェア向上と②M&Aによる取り扱いを増やすこと、この二つで成長を遂げましたよと言いたいわけですね。

続いて2020年の見通しの定量的な特徴を説明したスライドです。

jt-2020-forecast

これまた分かるようで分からない表現があるので(笑)噛み砕くと

  • 上位30市場でシェア増加が加速。これは分かり易いですね。1.5%程度市場シェアが伸びそうという意味です。
  • 過去5年平均を上回るPrice/Mix。どう意味?って思うかもしれませんが、要はしっかり値上げを行って売上を(利益も)確保してきますよってことです。
  • 全てのブランドの貢献による力強いGFB販売数量増。これもGFBってなんやねんと思われると思いますが(私も思いました笑)、これはグローバルフラッグシップブランドの頭文字で、JTは世界有数の「ウインストン」・「キャメル」・「メビウス」・「アメリカンスピリット」といったブランドを持っており、それによる販売数量増加が期待できるってことですね。
  • 着実なRRPカテゴリーの展開。また変なアルファベットが出てきました。笑 このRRPというのはReduced Risk Productsの略で、要は最近流行りの電子たばこのことです。JTだとPloom Techシリーズですね。これを新たに20以上の国へ展開するということです。

このあたりを見ていくと、至ってJTの海外たばこ事業は今のところ好調のようにも見えます。

 

 JTのリスクは?

JTのリスクは無いのでしょうか?ここまで比較的JT頑張ってまっせ!という内容が多い資料を並べて来ましたが、JTが作成して出している情報なので自然とそうなるのは致し方ありませんね。笑

では具体的にJTにどういうリスクがあるを並べてみましょう。

日本国内の喫煙率の低下

1966年には日本の喫煙率は50%程度だったものが、最近は18%程度まで低下しています。また健康増進法が成立し、喫煙出来る場所が減っていくことから、引き続き国内は低下の一途を辿るでしょう。

海外での規制の高まり

現在は市場シェアの拡大やM&Aにより成長を遂げている海外事業ですが、日本に限らず海外でもたばこへの規制は年々高まりつつあります。継続して大きく成長をしていくのは難しい可能性が高いです。事実、JTは2019年に海外で2,400人のリストラを発表しています。今は好調だけど将来への備えとして断行したようです。

また近年ESG投資が流行となっており、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)にそぐわない企業には政府系ファンドや年金ファンド等は投資をしない流れになっています。JTの取り扱うたばこは確実に健康を害するものであることは間違いありませんので、この点も気がかりです。 

為替

ここまで見たように海外事業が主軸なので、円高はJTにとっては減益要因です。今後円高が進んでいくとなるとJTにとっては厳しくなっていきます。

コロナ 

コロナが世界中に拡大をしていますが、インターネット上では喫煙者のコロナによる死亡率が高いという情報もあったりします。信憑性は定かではありませんが、今回のコロナショックを起因としてたばこ離れが加速する可能性はあります。具体的には「国際結核肺疾患連合」という国際医療組織が「新型コロナウイルスに対抗する最善策は、たばこ業界が直ちにたばこの生産とマーケティング、販売を停止することだ」と発言しているのが気がかりです。ちなみにこれに関する記事がありますので↓に貼り付けますが、この危険性に対するJTの回答は以下の通りです。

www.msn.com

「新型コロナウイルスによる肺炎については、報告された科学的な調査結果等が限られており、喫煙と重症化との関連のみならず、感染経路や重症化のメカニズム等、多くの情報について未だ明らかになっていないものと承知しております」

「このように、科学的な根拠となる情報が十分でない中で、喫煙と新型コロナウイルス感染や重症化との関連性を結論付ける、あるいは対策や方針を打ち出すことは時期尚早であり、今後の更なる調査研究の進展を注視していく必要があるものと考えます。喫煙と新型コロナウイルス感染や重症化との関連性については、WHOも科学的な調査結果が限られていることにより、未だ明確になっていない、との見解を示しているものと承知しています」

JTは過去に海外のタバコ会社をM&Aで買収して成長してきていますので、BSには相当額ののれんが積みあがっているはずです。最新のBSを見ると投資有価証券残高が2.2兆円ありますので、この中に相当額ののれんが含まれていると思われます。今後のビジネスで収益性の低下が見込まれると、のれんの減損処理が必要になる可能性はあります。

リスクはこんな感じでしょうか。リスクを上げたら切りがありませんが、ただそれは正直リスクの種類は違えど他の企業も同様ですからね。

 

JTの株主還元方針

JTの株主還元方針を見てみましょう。実際、ここが結構皆さんに気になるところではないでしょうか?JTは高配当&株主優待に積極的な会社なので、これが理由で個人株主には人気銘柄ですからね。

 jt-dividend

参照元:経営計画2020年

https://www.jti.co.jp/investors/library/presentation/pdf/20200206_02.pdf

  • 一株当たり配当金の安定的・継続的な成長
  • 自己株式取得は、状況次第で是非を検討
  • グローバルFMCGの還元同行をモニタリング

一つ目、二つ目はそのままですが、三つ目にまた謎のアルファベットが出てきました。笑 FMCGというのはFast Moving Consumer Goodsの略で日用消費財のことです。要は日用消費財をグローバルに扱う企業の還元方針に沿いたいということですかね。具体的な会社名は提示されていないのでネットで調べたところ、コカ・コーラとかDiorとかがFMCGランキングの上位に出てきました。英語のページですが興味ある方は↓のURLからどうぞ。

https://www.wikijob.co.uk/content/industry/retail/list-fmcg-fast-moving-consumer-goods-companies

続いて2015年以降の配当実績と2020年の配当見込みです。

jt-dividend-forecast

ご覧の通り19年まで連続して増配を続けてきていますが、2020年は2019年と同じ154円を予定しています。実はJTは2019年まで16年連続増配を続けてきた優等生だったのですが、ついに2020年にこの連続増配記録にピリオドを打つことになりそうです。

 jt-dividend-history

参照元:ZAIオンライン

 

結局JT株買っていいの?

結局JT株は買っていいのか?ここまで見てきて良い材料も悪い材料もあり、判断に迷いますよね。事実、2020年の配当性向は90%まで上昇しています。これは要は税後利益の90%を配当に回しますよという意味です。これだけ見ると、「おいおい大丈夫か?減配そろそろあり得るんじゃないのか?」という声が聞こえてきそうな気がします。果たして本当にそうでしょうか?

私は減配はまだすぐには無いと思っています。その理由は以下二つです。

  1. JTの発行済株式数は2019年12月末時点で1,776,781,946株(自社保有分除く)あります。そして年間配当が154円だとすると、年間配当支払い額はざっくり2,740億円となります。一方でバランスシートの利益剰余金を見てみると2019年12月時点でなんと2.75兆円もあります。利益剰余金というのは過去に配当に回さずに積み上げてきた利益で、これが配当の原資になるもので、年間配当額の10倍が積みあがっているからです。
  2. 2019年のキャッシュフローを見ると、営業キャッシュフローが+5,404億円に対し、投資キャッシュフローは▲1,236億円です。この差額の4,168億円がフリーキャッシュフローになりますが、ここから配当総額2,740億円を支払ってもフリーキャッシュフローは黒字を確保出来るレベルでしっかりキャッシュが回っているからです。

ただし、過去のような再び増配基調に向かっていくのは現在の世界のたばこに対する逆風を考えると難しいのではと予想します。従い、もしJT株を買うとするならば大きなキャピタルゲイン(値上がり益)を期待するよりもインカムゲイン(配当益)重視としたほうが良いのかなと思っています。

JTの株主優待

 

最後にJTの株主優待を見てみましょう。

 jt-kabunushi-yutai

持ち株数に応じてA~Dコースまであり、JTの取り扱う食品セットが貰えるようです。この株主優待を貰いながら、年間配当で彼氏・彼女や家族と一緒に旅行に行くなんていう楽しみ方もありかもしれませんね。

ただし、一点ご注意ください!! JTのホームページを見ると以下の記載があります。

  • 12月31日基準日の株主様の中から、当社株式100株(1単元)以上を、 1年以上継続保有されている株主様に対し、12月31日現在の株式保有数に応じ、以下相当額の当社グループ会社等の商品を贈呈いたします。

つまり今買っても来年12月の株主優待は貰えないことになります。1年以上保有が条件なので、今年JT株を買った人が株主優待を貰える権利を持つようになるのは、2021年12月31日時点です。JTの株主優待目当ての人はご注意を!

 

余談 

 

JTの大株主って誰か皆さんご存じですか?これがJTの大株主一覧です。

jt-shareholders

な、な、なんと!財務大臣が33.3%株を持つ会社なんです。つまりJTの配当総額2,740億円の内、900億円相当は日本国の収益になってるんですね。たばこからも税金を吸い上げ、JTからも配当を吸い上げ、うーん、良いスキームをお持ちですね、財務省さん。笑

 

はい、今回はこれで終わりです!

最後までお読み頂き有難うございました!

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