こんにちは!総合商社マンです!コロナ禍の中でも業績好調の通信業界!大手3社をいろいろな角度から比較してみたよ!
大手通信3社の顔触れ
大手通信3社の顔触れをまず初めに見ておきましょう。
みんな携帯使ってますし、誰もが知っているこの3社ですね。
- KDDI
- NTTドコモ
- ソフトバンク
最近は菅首相の誕生で携帯値下げ圧力の高まりから業績悪化懸念が浮上し、この大手3社の株価が大きく下落して話題になっています。
KDDI
NTTドコモ
ソフトバンク
なかなかの下落っぷりですね。恐るべしガースー砲。笑 コロナショックとはほぼ無縁だった通信業界がここにてコロナショックならぬ、ガースーショックで一人負けのような状態になってしまっていますね。
さて、今回の記事では一旦ガースーショックは横に置いておいて、この3社の最新業績や、財務状況、株価指標等を比較して業界地図を理解することを主眼におきたいと思います!
それではお付き合いください!
KDDI&NTTドコモ&ソフトバンク比較
KDDIとNTTドコモ、そしてソフトバンクを色々な角度から比較していきたい思います。
主にこの記事で取り上げるのは以下の比較です。
- 業績比較
- 財務状況比較
- その他(時価総額とかとか)
一つ一つ見ていきましょう!
業績比較
まず初めに大手通信3社の最新決算を比較してみたいと思います。最新といっても2020年度はまだ第1四半期までしか出ていないので、年間業績のある2019年度で比較してみますよ。
こちらの表をご覧ください。
※2020年3月期決算実績。
ポイントを箇条書きしてみます。
- 全ての項目においてKDDIが1位で王者。
- 売上高は3社ほぼ横並びの規模感。
- 営業利益率もほぼ横並びだが、ここでもKDDIが19.6%とトップ。
- 当期純利益は差が出てKDDIが6,398億円でトップ。次いで2位はドコモの5,915億円、3位はソフトバンクの4,731億円と続く。
- EPS(一株当たり利益)もKDDIがダントツの275.69円。ソフトバンクの3倍弱。
3社とも営業利益率が20%弱ありますが、まさにこれが菅さんが指摘している点ですね。笑
それはさておいて、2019年度の業績においてはKDDIがあらゆる点で王者感を出しています。でもね、次の比較を見ると違う面が見えてきて面白いですよ~。
財務&CF比較
続いて通信3社の財務とCF比較してみたいと思います。こちらをご覧ください。
※2020年3月末実績
先ほどの業績比較とは違う景色が広がってますね。ポイントを箇条書きします。
- 総資産が一番大きいのは実はソフトバンクで9.8兆円。KDDIの9.6兆円をわずかに上回っている。ドコモは7.5兆円。
- 自己資本比率はドコモがダントツの69.7%!高すぎ!一方ソフトバンクは10.2%!低すぎ!
- ROEはソフトバンクが42.1%とダントツの高さ!とはいえ、KDDI14.9%、ドコモ11.1%も悪くない数字。
- フリーCFはドコモが1位で8,000億円程度。次いでKDDIが7,124億円で2位。ソフトバンクは3,494億円で3位と続く。
いろいろ突っ込みどころがありますね。笑
まず自己資本比率で企業のカラーが大きく出ています。自己資本比率は高いほうが財務の安全性は高いと言われていますが、実際は高ければいいって話でもないです。自己資本溜め込むくらいなら株主還元に回せ!という議論にも繋がりますからね。
実際ドコモの70%近い自己資本比率は高すぎな気もしますし、一方のソフトバンクは低すぎますね。KDDIの自己資本比率42.1%がいい塩梅なのかもしれません。
さて、この自己資本比率の違いがROEに結果となって出ています。ROEはReturn On Equityの略で「株主資本利益率」のことですね。株主のお金をどれだけ効率良く運用していますか?という指標です。
ソフトバンクは自己資本を小さくしている分、このROEの高さが異様な高さとなっています。孫さん率いるソフトバンクグループに吸い上げられているのかな?笑
この点は次の項目で見てみますよ!
株式指標比較
大手通信3社の株式指標を比較してみます。こちらをご覧ください。
ポイントを箇条書きします。
- 時価総額(20年9月17日終値)はドコモが最も大きい8.9兆円。株式市場の評価はドコモが一番高い。
- 配当性向はソフトバンクがダントツの85.6%。ドコモも66.7%と高水準。KDDIは40.5%と他社と比べると落ち着いて水準(決して低くはない)。
2019年度の業績面ではKDDIが王者でしたが、時価総額ではNTTドコモがダントツの1位であることが分かります。現時点での王者はNTTドコモだったのですね。
そして1個前の比較でソフトバンクの自己資本比率の低さとROEの異様な高さが際立っていましたが、その答えがこの配当性向ですね。実に利益の85%を配当に回しています。ソフトバンクグループのATMと揶揄されていた所以ですね。笑 余計な剰余金をソフトバンクには持たせずに、親会社のソフトバンクグループが吸い上げているということだと思います。別にそれが良い悪いというわけではなく、そういう事実があるということです。
最後に:菅政権誕生、楽天参入等あるも5Gの成長性に期待
今回大手通信3社の業績や財務状況等々を見てきましたが、文字通り三者三様の個性を持っていることが分かりましたね。笑
通信業界は菅政権の誕生で携帯値下げ圧力の高まりや、楽天が第三極ならぬ第四極として殴り込みを図ってきたりと(ま、結局4社25%ずつシェア分け合うのかなと想像しますが)、いろいろ逆風が吹いています。
一方で今後5Gの導入でモノとモノの繋がり、いわゆるIoT(Internet of Things)が加速していくでしょうから、まだまだ成長産業だと個人的には思っています。
携帯料金が下がること自体は一消費者としては非常にウェルカムですが、そういった(通信業界にとっての)難局を乗り越えて更なる成長を期待したいところですね!
KDDIとNTTドコモの最新2021年度の決算は以下記事に纏めてありますので、ご興味あれば是非御覧ください。
KDDI
NTTドコモ
尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。
堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!
中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。
先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!
また、三菱商事を例に挙げて企業分析方法を学べる現役銀行員のたりたり社長という方が書いた良書もありおススメですよ!
ということで以上です!
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