- 丸紅2020年3月期決算発表
- 丸紅の2020年3月期実績
- 丸紅の2020年3月期の減損規模はどの程度だったか?
- 丸紅の2020年3月期期末配当
- 丸紅、中期経営計画の修正を発表!2021年3月期業績予想はいかに??
- 丸紅の株価推移
- 最後に
丸紅2020年3月期決算発表
丸紅が本日2020年3月期の決算発表を行いました。先週の双日、豊田通商、三井物産に次いで4番目の決算発表です。特に丸紅は3月に巨額の減損による赤字転落のプレスリリースをだしていましたので、その内容について個人的に気になっていたので、注目していました。その時の記事はこちらです!
それでは今回の決算の内容を早速見てみましょう!
丸紅の2020年3月期実績
丸紅の2020年3月期実績を見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。
御覧の通り当期利益は▲1,975億円と3月に赤字転落のプレスリリースを発表した際の内容とほぼ同額の赤字額となりました。このスライドには記載ありませんが、収益も7.8%減少していますので、減収減益の厳しい決算内容となっています。 前期は2,309億円の黒字でしたので、増減額は▲4,283億円という巨額の減益となっていますが、先ほど言ったように丸紅は3月25日に既にプレスリリースにて4,000億円程度の減損を計上することを公表していましたので、2020年3月期の決算内容に関しては特段サプライズはありませんでした。
丸紅の2020年3月期の減損規模はどの程度だったか?
丸紅の2020年3月期の減損はどの程度発生していたのでしょうか?決算資料のこのページに記載がありましたので見てみます。
左側の列が前回3月末の赤字転落のプレスリリースを出した時の内容で、右側が今回発表した実績となっています。それほど大きな変更はないですね。
- 石油ガス・開発事業:▲1,313億円
- 米国穀物事業 :▲982億円
- チリ銅事業:▲603億円
- 海外電力・インフラ事業:▲457億円
- AIRCastle事業(航空機):▲392億円
- その他:▲190億円
- 合計:▲4,220億円
資源関連だけ赤字で書きましたが、減損額4,220億円の内、資源は石油ガスとチリ銅事業合わせて約1,900億円と半分以下で、むしろ資源の減損以外のダメージのほうが大きいことが分かりますね。
特に米国穀物事業で▲982億円の減損が出ていますが、これはガビロンです。丸紅は過去にこのガビロンという米国の穀物事業企業を買収し、その後何度も減損を引き当ててきた案件として有名で、商社業界では高値掴み案件と揶揄されているくらいです。
それ以外にもインフラや航空機事業等で400億円規模の減損を出しており、今回丸紅の一人負け感が色濃く出た決算内容となっています(まだ三菱、伊藤忠、住友は決算発表していませんが)。
丸紅の2020年3月期期末配当
丸紅の2020年3月期期末配当に関してはどうでしょうか。こちらのスライドをご覧ください。
これについても3月のプレスリリースから変更なく、期末配当17.5円は維持するとのことです。丸紅は配当性向を25%に置いていますが、丸紅は期初に発表した配当予想は下限保証していますので、今回も据え置きです。ま、今回の赤字は減損によるものが多くキャッシュフローのマイナスではないので配当支払いには影響ないですしね。
一方、2021年3月期は減配の15円ということです。既に決算発表している三井物産は利益予想を1,800億円と前期比54%減と置きましたが、配当は80円を下限保証しています。こういう時に財務状況の強さで配当への対応が変わるという良い例ですね。
尚、以下ページで総合商社各社の配当方針を纏めていますので、興味がある方は御覧ください。結構各社違いがあって面白いですよ!
丸紅、中期経営計画の修正を発表!2021年3月期業績予想はいかに??
丸紅が今回の決算発表に合わせて中期経営計画の修正を発表しました。丸紅は現在GC2021という名前の中期経営計画の真っただ中ですが、昨今のコロナショックで経営環境が大きく変わったということで、今回見直しを行ったようです。丸紅の2021年3月期の業績予想含めていきましょう。
2021年3月期の定量目標
定量目標はこちらのスライドをご覧ください。
御覧の通り2021年3月期の純利益予想は1,000億円としています。過去2年間の推移と見比べてみましょう。
- 2019年3月期:2,309億円
- 2020年3月期:▲4,283億円
- 2021年3月期:1,000億円
いかがでしょうか。私個人的な印象ですが、2020年3月期にこれほどの減損を計上しておきながら、2021年3月期の利益の反発が非常に弱い印象です。これに失望して本日株価も暴落したのだと思われます。
前提条件
2021年3月期の前提条件はどうでしょうか?こちらのスライドをご覧ください。
- 原油価格(WTI):20ドル
- ドル円:110円
該当部分を赤枠しました。WTI原油価格は超保守的の20ドル前提で置いています。一方、ドル円の為替は110円と現在のレートよりも円安で置いています。WTIを20ドルと超コンサバに置くのなら為替も105円とか今の水準よりも円高に置けばいいのになと、個人的にはちぐはぐな印象を受けました。笑
株主還元方針
中期経営計画の中での株主還元方針はどうでしょうか?
配当額については大きな変更はありません。既に触れた通り15円(上期7.5円、下期7.5円)としています。そして期初に公表した配当額は下限保証するという内容です。
一方、個人的に驚いたのはこのGC2021という中期経営計画の期間中、自己株式の取得は実施しないと公表していることです。完全に個人的な意見ですが、「そんなこと言わんでえーやん」と思いました。笑 例えば「状況を見て機動的に実施」とか他に言い方あるやんってね。笑 まー、正直な会社ということでしょうか。この中期経営計画は2022年3月期までのものなので、その間自社株買いを丸紅は実施しないということです。
他商社の最新の自社株買い状況については以下記事に纏めているので御覧ください。
丸紅の株価推移
丸紅の株価推移を見てみましょう。以下日足チャートです。
丸紅の株価はコロナ拡大が本格化する前の年初は800円程度で推移していましたが、コロナの影響で下落を続け、現在年初来安値の458円ちょっと手前の460円台で推移している状況です。資源価格の戻りが早ければ業績予想上振れ期待で株価の上昇あるかもしれませんが、自社株買いやりませんと言い切ってしまっていたりするので、需給はしばらく改善しないかもしれませんね。さー、丸紅の今年の株主総会は荒れそうですね。笑
ちなみに丸紅の株主総会は6/19(金)に予定されています。詳しくは以下記事に纏めているので御覧ください。
最後に
いかがでしたでしょうか?今回の丸紅の発表で総合商社4社の決算発表が終わり、いよいよ明日、伊藤忠(13:00)、住友商事(13:30)、三菱商事(14:00)の3社が決算発表を行い、総合商社7社の決算が出揃うことになります。
住友商事は既に4/8のプレスリリースで税後利益を3,000億円⇒2,000億円に下方修正済ですので恐らくそれくらいの数字を出してくるでしょう。詳しくはこちらの記事をどうぞ。
そして私がやっぱり注目しているのは、三菱商事VS伊藤忠商事のトップ争いです。この2社ともに、特に現時点で減損発表をしていないので、どんな数字を出してくるのか、注目です!!さあ、明日は3社発表ということで、ブログ記事との闘いだな。笑 3社ともに記事していきたいと思いますのでお楽しみに!
尚、既に発表済の他商社の決算を見たい方は以下記事からどうぞ!
双日
豊田通商
三井物産
ということで今回は以上です!
最後までお読み頂き有難うございました!
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