こんにちは!総合商社マンです!三菱商事が20年度第1四半期の決算発表したよ!想定以上の酷い決算となり、王者陥落です。
三菱商事が20年度第1四半期決算を発表
三菱商事が本日8/13の場中14:00に2020年度第1四半期の決算発表を行いました。今回の三菱商事の決算発表が総合商社の中で最後の第1四半期決算発表となります。(他商社の決算記事は当ブログ内の「総合商社関連カテゴリー」から御覧ください)
三菱商事の今回の決算発表は個人的に以下点において特に注目していました。
- 2019年度決算発表時から今回の決算発表に至るまでの間、今期業績予想を非開示としていたこと。
- アナリストにより今期業績のコンセンサスは年間2,433億円と伊藤忠の4,000億円を大きく下回っていたこと。
- 株価も低迷し、伊藤忠商事に時価総額を追い抜かれるとうい失態を繰り広げてしまっていたこと。
色々と注目ポイントがありますね。さ、本題の1Q決算を三菱商事が発表した決算資料を眺めながら纏めていきたいと思いますよ。
それでは参りましょう!
20年度第1四半期決算概要
三菱商事の20年度第1四半期決算の概要を、三菱商事が公表した決算資料を眺めながら纏めていきます。
業績概要
こちらのスライドをご覧ください。1Q決算と通期見通しのシートですが、ここではまず1Q決算にフォーカスします。
ポイントを箇条書きします。
- 1Q四半期利益は367億円と前年比▲1,245億円(▲77.3%)と大幅減益
- 367億円の内、事業系115億円(前年比▲843億円)、市況系194億円(前年比▲407億円)となり、両方とも厳しいが事業系の落ち込みが顕著。
- 事業系は三菱自動車工業の減損取り込み▲145億円等が発生。それ以外は事業系・市況系共に巡行利益の減少によるもの。
結構驚きというか怖いのが、一過性の減損で減益となった部分よりも、圧倒的に巡行利益の減少が大きいという点ですかね。
セグメント別
もうちょっと詳しく見てみましょう。セグメント別のスライドがこちらです。
緑色部分が事業系、黄色部分が市況系ですね。ポイントを箇条書きします。
- 1Qで赤字になったセグメントは総合素材、自動車・モビリティ(▲227億円)、コンシューマー事業(▲19億円)。意外と市況系は1Qでは赤字セグメント無し。
- 通期予想で赤字見通しとなっているのは自動車・モビリティ(▲500億円)及び市況系天然ガス(▲70億円)のみで、それ以外は黒字。
市況系は2015年度に巨額赤字に陥った際に減損計上で身軽になっているためか、赤字転落にはならず意外と耐性があるように思えますが、シンプルに資源価格下落→巡行利益の減少は避けられず減益といったところですね。
一方事業系は三菱自工が含まれる自動車モビリティがかなりの足の引っ張り具合です。年間▲500億円の赤字予想となっていますが、前年は+196億円の黒字セグメントでしたので、前年比では約▲700億円の減益要因ですね。
一過性損益
一過性損益についても見てみましょう。こちらのスライドです。
超細々としてしてみづいらですが、ポイントは以下です。
- 1Qにおける一過性利益は+47億円、一過性損失は▲145億円で、合計▲98億円。
- 一過性利益は一部事業売却、国内株式売却にによるもの。
- 一過性損失は三菱自工宛のもののみで▲145億円。
- 前年の1Qは一過性利益+32億円だったので、今期との差は▲130億円。
ま、三菱自工の減損ですね大きいのは。三菱自工の決算状況は以下記事に纏めていますので御覧ください。
今回の三菱自工宛減損▲145億円はあくまで三菱自工が行った固定資産の減損処理によるものです。上記記事を見て頂くと分かりますが、年間通して三菱自工は▲3,600億円の赤字転落予想を出していますので、20%株式を保有している三菱商事はこれだけで年間では▲720億円のインパクトです。これは減損には出てこずに持分法利益の減少のほうに出てくるので、先ほどのセグメント別の自動車モビリティ通期予想▲500億円の内数だと思います。
20年度年間業績見通し&配当予想
三菱商事の20年度年間業績見通し及び配当予想も見ておきましょう。今回の決算発表でついに年間業績予想を出しましたが、これがなかなか衝撃です。こちら冒頭に掲載したスライドの再掲ですが、その右側が通期業績予想です。
ポイントを箇条書きします。
- 年間業績見通しは前年比▲3,354億円(▲62.6%)減益の2,000億円。
- 2,000億円の内、事業系1,304億円、市況系516億円。
- 前年比▲3,354億円の内、コロナ影響は約▲3,000億円。
- 1Qの進捗率は18%。
- ただし、配当は期初公表済の134円を維持。
- その結果、配当性向は驚異の98.9%。
え、、、という項目が沢山ありますね。どこからいきましょうか。笑 まず年間の業績予想2,000億円。これは首位を伊藤忠商事に明け渡すことを意味します。これ自体は事前のコンセンサスでほぼ予期されていたので驚きでは無いですが、コンセンサスは2,433億円予想だったので、それを大きく下回ってきたことがサプライズです。1Qの進捗率は低迷していますが、1Q業績と年間予想を同じタイミングで出したので想定内でしょう。
そして配当。三菱商事は累進配当を宣言しているので期初公表の前年比+2円増配の134円は堅持しました。しかしながら配当性向は驚異の98.9%という水準に達してしまっています。どこかの国のタバコ屋さんみたいですね。笑
キャッシュフローが出ていれば配当支払えるので問題ないのと、ROEを上げていくためには利益の掃き出し必要ですし、それには良い機会かも、とホルダーの私は前向きに捉えてみます。笑
少し詳しく見てみます。セグメント別のスライドです。
- 通期で赤字転落となっているのは自動車・モビリティのみ。※天然ガスは事業系・市況系合わせると黒字。
- 前年比増益となっているのは石油・化学のみ。ただし、増益理由は前年のシンガポールにおける不正会計取引減損の反動というポジティブ要因ではない。
- それ以外は全て前年比減益。
好調なセグメントは一切なしというなかなか痺れる通期予想です。年間業績予想にどの程度一過性損益が発生する前提で織り込まれているのか公表資料だけだと良く分からなかったので、この点が気がかりですね。
最後に:2020年度は王者陥落
今回総合商社の1Q決算の大トリとして三菱商事が決算発表を行いましたが、まさに「王者陥落」という表現がふさわしい決算内容となってしまいました。個人的には事前のコンセンサスの数字からも今期首位の座を譲り渡すことは想定の範囲内でしたが、コンセンサスを大幅に下回ってきたところがサプライズでしたね。
のちほど別記事で総合商社各社の決算まとめはしますが、今回の決算発表で総合商社の業績が出揃った結果、以下の通りとなりました。
今期の年間業績予想順に並べていますが、三菱商事と伊藤忠の差が大きく開くとともに、後ろからは三井物産がひたひたと忍び寄ってきています。進捗率を見ても三井物産は上方修正する可能性もあり、2位も維持出来ない危険性がありますね。
ただ、三菱商事の2,000億円という数字も実力値からはかなり凹んだ数字だと思いますので、今後の業績回復に期待したいです。
この記事は決算発表後に速報で書いていますが、別途三菱商事が開く決算説明会で注目すべき発言があるのかどうか注目です。
個人的には2015年度決算で赤字転落した際に垣内社長が語った「一度首位に返り咲いたら二度と首位を譲らない」という発言に対し、今回何を言うのか、ここに注目しています。
頑張れ!三菱商事!!
負けるな!三菱商事!!
ということで以上です!
尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。
堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!
中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。
先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!
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