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【三菱商事】20年度第2四半期決算概要!利益は4位に転落も底打ち感!?

こんにちは!総合商社マンです!三菱商事が20年度第2四半期の決算発表したよ!2Q決算も引き続き業界4位に転落継続です。

 

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三菱商事が20年度第2四半期決算を発表

三菱商事が11/5の場中14:00に2020年度第2四半期の決算発表を行いました。三菱商事は前回1Q決算の時に今期業績予想を開示し、通期で2,000億円という予想を出しています。

三菱商事は2019年度は首位を死守したものの、今期は首位争いを繰り広げていた伊藤忠が4,000億円という予想を出しており、今期は首位を明け渡すことは間違いない状況になっていましたね。

果たして今回三菱商事の2Q決算が王者の貫禄を発揮できた内容だったのか、三菱商事が発表した決算資料を眺めながら纏めていきたいと思います。

それでは参りましょう!

※当記事掲載のスライドは全て三菱商事の決算公表資料からの抜粋です。 

 

20年度第2四半期決算概要

 

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三菱商事の20年度第2四半期決算の概要を、三菱商事が公表した決算資料を眺めながら纏めていきます。

 

全体概要

まず全体の定量面概要です。こちらのスライドをご覧ください。

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ポイントを箇条書きします。 

  •  2Q累計実績は867億円と前年同期比▲64.2%減益(1Qは▲77.3%)。年間業績見通し2,000億円に対する進捗率は43%と50%を下回る水準。
  • 867億円のうち、事業系530(▲952億円)、市況系(▲637億円)と両者厳しい。特に事業系の進捗率が41%に留まっている。(市況系は51%)

引き続き厳しい経営状況が継続していることが伺えますが、少し明るい兆しも見えています。1Qの当期純利益は367億円でしたが、2Q(3カ月)は500億円と底打ち感が出てきているところですね。

またこの説明資料によると、進捗率は43%に留まるのは、もともと下期に資産売却益を見込んでいることによるものとのことなので、予算必達には問題無さそうです。

 

セグメント別

もう少し詳しくセグメント別に数字を見てみましょう。 

 

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セグメント別に前年同期比との数字を比べているものですね。

ポイントを箇条書きします。

  • 全10セグメント中、赤字セグメントは二つ(総合素材、自動車)。1Q時点ではコンシューマーも赤字だったが2Qで黒字化。
  • 前年比増益となっているのは二つ(石油化学、食品)。石油化学が増益というのに違和感あるが、これは前年にシンガポールで不正取引による損失計上があったことによるもの。つまり実質増益となっているのは食品のみ。

こんな感じ。これを事業系と市況系に分けてみているのが以下のスライドです。

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緑色が事業系、黄色が市況系ですね。ポイントを箇条書きします。

  • 2Q当期純利益867億円の内、事業系530億円、市況系265億円、その他72億円。
  • 事業系は前年比▲64%減益。特に昨年2番目の稼ぎ頭だった自動車が▲214億円の赤字に転落している影響が甚大(前年は+284億円)。それ以外のセグメントも食品と特殊要因のあった石油化学を除いて前年比大幅減益の荒れ模様。
  • 市況系は前年比▲70.6%とさらに厳しい。最大の稼ぎ頭である金属資源が▲545億円の減益で、これがセグメント別で最大の減益額。

いやー、厳しい。厳しいです。自動車は三菱自工の持ち分連結分損失取り込んでいることも大きな理由ですね。それが無くなりコロナが収まれば再度の稼ぎ頭になり得るポテンシャルはあると思います。

ちなみに三菱商事はこの三菱自工の株式を約20%保有しています。今期の三菱自工の通期赤字額は▲3,600億円と巨額でこの20%を三菱商事は損失計上する必要ありますので、単純にこれだけで▲720億円の減益要因ということです。 

 

一過性損益

一過性損益がどの程度含まれているのかについても見てみましょう。こちらのスライドです。

 

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細々としてしてみづいらですが、ポイントは以下です。

  • 2Q累計での一過性損益合計は▲99億円(前年は▲157億円)。
  • 前年より改善しているのは前年にシンガポールの不正取引で▲342億円の巨額赤字計上があったため。 

 ちなみに2Qまでの時点で最大の減損理由は、1Qに発生した三菱自工宛の▲145億円です。資源関連は特に巨額減損というのは今のところ発生していません。

先ほども書きましたが、年間通して三菱自工は▲3,600億円の赤字転落予想を出していますので、20%株式を保有している三菱商事はこれだけで年間では▲720億円のインパクトです。これは減損には出てこずに持分法利益の減少のほうに出てくるので、先ほどのセグメント別の自動車モビリティ通期予想▲500億円の内数だと思います。

 

キャッシュフロー

三菱商事のキャッシュフローの状況を見ておきましょう。

こちらのスライドをご覧ください。

 

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ポイントを箇条書きします。

  • 営業収益CFは前年の3,563億円から今期は2,291億円と▲1,272億円減収。
  • 投資CFは前年の251億円から今期は▲2,139円と増大。
  • その結果、フリーCFは前年の3,814億円から急減の152億円。

フリーキャッシュフローが急減していて大丈夫!?って思うかもしれませんが、これは今期は三菱商事が現在注力しているHEREや欧州総合エネルギー事業への投資があったことが要因なので大丈夫ですね。

ただ、もちろん営業収益CFが減っている点は注意が必要です。

 

20年度年間業績見通し&配当予想

三菱商事の20年度年間業績見通し及び配当予想も見ておきましょう。結論から言うと、前回発表時点から今回特に変更はありませんでした。

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  • 通期業績予想は2,000億円から不変
  • 年間配当も変更なしの134円(上期:67円、下期67円)で累進配当を継続

尚、配当性向は99%に達しています。笑 ただ、CF的には問題ない水準なので今のところ特に心配はしていません。

ちなみに上のスライドは今回わざわざ「未来を見据えた重要課題について」というタイトルで一枚モノのPDFを決算資料で公表したものです。

この中でDX(デジタルトランスフォーメーション)とEX(エナジートランスフォーメーション)という言葉が出てきていますね。この二つが今後の三菱商事の重要課題として取り上げられており、EXについては2021年度中に三菱商事なりの最適解を出すと言っています。どんな答えを出すのか、今から楽しみですね!

尚、累進配当政策については先日行われた個人投資家向け説明会でも触れられています。以下記事に纏めているので御覧ください。

 

www.sogoshoshaman.com

   

最後に:20年度は三菱商事は耐える時

今回三菱商事の20年度上半期決算を見てきましたが、底は脱したものの正直厳しい状況継続しているという印象を受けました。それは他商社と対比してみると良く分かります。

 

 

あくまで2Q決算時点での業績順ですが、三井物産、そして丸紅にまで抜かれて4位です(1Q時点でも4位だった)。下期に資産売却益があるので2,000億円達成すれば2位にはなるかもしれませんが、それは他商社も同じこと、上方修正の可能性はありますからね。

ただし、今期は三菱商事にとっては耐える時と割り切りも必要かもしれません。現在足を引っ張っている三菱自工の取り込み損益が無くなるだけで来期以降+700億円の増益要因になりますし、先日発行された三菱商事のアニュアルレポートでも、個人的に気持ちの良いメッセージがありました。それは増CFOの以下のメッセージです。

 

非常に安定的でリスクの低い事業体に移行することも考えていますが、その場合には、例えば資源価格が上昇した場合にはそのメリットを享受できなくなります。過去には、資源価格が上昇したときに爆発力をもって利益が上がっていたのも事実であり、それが次の投資の財源になることも確かです。どちらにも偏りたくないというのが三菱商事であり、中途半端といわれても構いませんが、両方持っているのが三菱商事の魅力です。

このアニュアルレポートについては以下記事に纏めているので見て頂ければと思いますが、私はこのメッセージ、すごい好きです。笑

 

www.sogoshoshaman.com

 

正直、今期2Q時点までの純利益実績だけ切り取れば業界4位ですが、会社の実力値は余裕で上だと思っています。苦難の時を乗り越えて、「三菱商事の夜明けぜよ!!」 と胸を張って言える日が近い将来くることを願っています。 

 

頑張れ!三菱商事!!

負けるな!三菱商事!!

  

ということで以上です!

他商社の決算概要まとめ記事も書いておりますので、

 

尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。

 

 

堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!

中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。 

 

 

先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!

  

また、今回の記事で取り上げている三菱商事を例に挙げて企業分析方法を学べる現役銀行員のたりたり社長という方が書いた良書もありおススメですよ!

 

 

当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。

今回も最後までお読み頂き有難うございました!

 

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