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【総合商社】2021年新年社長メッセージまとめ

こんにちは!総合商社マンです!総合商社各社の2021年新年社長メッセージを見てみましょう!

  

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2020年はバフェット砲を受けた年

新年明けましておめでとうございます!総合商社マンです。12月は個人的な都合でブログをお休みしておりましたが、1月から再開させて頂きます。実はこの年の瀬に別の国への横移動駐在が命じられて、12月はその影響でバタついておりました。笑

さて、2020年はコロナ禍が世界を席巻した歴史に残る1年となりましたが、総合商社業界においては投資の神様バフェットが5大商社に5%の出資を行ったことが一番のニュースでしたね。ほぼ横並びで5%程度を三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅に投資を行い、一躍注目を浴びたものの、その後の株価パフォーマンスは目を覆いたくなるような情けない動きとなった、なんともモヤモヤする一年だった気がします。笑

※伊藤忠商事だけは上場来高値更新中。

 

総合商社株、というか三菱商事株をポートフォリオの中心に置いている私にとっては、その影響をもろに受け、日経平均がバブル後高値を更新する中で日本株は鳴かず飛ばずという状況でしたので、今年に期待をしたいと思っています。笑

さて、そんな総合商社各社は年初にIRページに社長メッセージを掲載します。その各社の社長メッセージに今回フォーカスをして、どのような発言をしているのかを、個人的に注目した点を抜粋する形で見ていきたいと思います!各社カラーがあって面白いですよ。笑

※全文を見たい方はリンクも貼っておきますので、そちらから御覧ください。

 

三菱商事:垣内社長メッセージ

三菱商事垣内社長

まずは業界の雄、三菱商事の垣内社長メッセージを見てみましょう。大きく分けて3点を挙げています。一つ目が「地政学」、二つ目が「脱炭素の奔流」、そして三つ目が「DXとEX」です。

 

まず一つ目の「地政学」に関するパートの一部抜粋です。

 

コロナ感染における世界の様相は、まるでタイムスリップをして10年先の世界を見せられている様な気になってきました。世界中で中国のみがコロナ禍からいち早く抜け出し、順調にGDPを拡大させていることにより、国際的なプレゼンスが増しています。2030年頃には中国が米国を経済力、軍事力の両面で凌駕し、世界の覇権国となる未来を予言しているのかもしれません。

中国のコロナ封じ込めに関する一連の報道が正しいとすれば、感染対策における中国の優位性は3つあると思います。デジタル化によって、国民の全ての行動を容易に掌握できる為、感染拡大を完璧に防ぐことができる事。国家による計画経済によって、マスク・医療機器・治療薬・ワクチンなどの自国での生産体制が完備されている事。個人データの積み上げから消費動向を解析出来る為、全てのサプライチェーンを最適化するシステムを作ることによって計画的に自国経済をコントロール出来る事。 

 

中国の台頭に関しての言及からスタートですね。一部抜粋なのでここには掲載していませんが、ちょっと政治的な発言もあり、「民主主義」においてイノベーションは生み出されるというようなコメントもありました。

 

続いて二つ目の「脱炭素の奔流」に関する抜粋がこちら。

 

日本は昨年の10月に菅首相自ら「2050年迄に温室効果ガスの排出実質ゼロ(ネットゼロ)を目指す事」を宣言しました。時同じくして、中国も2060年の時間軸で同様の目標を掲げました。バイデン新大統領もパリ協定への復帰に関連して、就任1期目の4年間で2兆ドルの国家予算を投じる公約を掲げて当選しました。ヨーロッパに端を発した脱炭素の動きが、日・米・中へと世界中に浸透し、この流れは不可逆であることが鮮明になりました。

長年に亘り、エネルギーの安定供給の責務を担ってきた三菱商事としては、いっそうの責任と覚悟を持ってこの流れに適応していく必要があります。三綱領の精神の下、「経済」「社会」「環境」の三価値同時実現を、三菱商事の事業戦略として具体化していく事を改めて約束したいと思います。

 

これは政府が掲げている温室効果ガスの排出実質ゼロという政策に沿ってビジネスを行っていきますよ、というメッセージですね。資源を扱う三菱商事も所謂ESGを推進していくということです。

 

そして三つ目の「EXとDX」に関するパートの抜粋がこちらです。

 

昨年は「DX」に加え「EX」という言葉を使って、今三菱商事が検討すべき事を端的に示しました。昨年の年頭挨拶では、「DXを導入するパワーはマグマのごとく強い」と申しましたが、今や「EX」ももう一つのマグマとして、ともに産業界に地殻変動をもたらそうとしています。

全社DXタスクフォースでは案件の具体化を着々と進めており、いくつかの案件は近々公表できる段階にあります。全社でも60を超えるDX案件が動いており、各現場ではその実現に向けて邁進しています。

「EX」については、昨年エネルギー関連事業を管轄する3つのグループCEOで構成する「エネルギー委員会」を立ち上げました。その後7ヶ月で20回近くも議論を重ね、2050年ネットゼロの世界観を踏まえた三菱商事の戦略を練っています。

そこでは、再生可能エネルギー拡大による脱炭素化、火力発電の更なる低炭素化、その先には将来的な水素社会の到来も見据えています。三菱商事の温室効果ガス削減に留まることなく、欧州の先行事例を他地域へ展開することや、電動車や蓄電池を組み合わせ、産業を超えた取組みを目指します。エネルギーは、産業のみならず、人々の生活にエッセンシャルなものです。その安定供給という責任を全うしながら、並行してCO2の削減という社会課題も解決していく為の「最適解」を検討しており、21年度中にはこれを公表する予定です。

 

このパートが一番ビジネス寄りなメッセージですね。DXは「Digital Transformation」、EXは「Energy Transformation」の略で、後者は三菱商事が作った造語です。

 

三菱商事は昨年度位置情報サービス分野の世界的企業であるHERE社にNTTと共に出資をしてDXを加速化させたり、オランダの総合エネルギー事業を展開するENECO社に中部電力と共に出資をするなどしてEXを進めようとしています。その答えを近々発表出来そうだというメッセージですね。資源ビジネスを抱える三菱商事がどんなBest Solutionを発表するのか、正直今からワクワクします。笑

 

垣内社長メッセージ全文は以下URLから御覧頂けます。

三菱商事 - プレスルーム - 2021年 - 2021年 社長年頭挨拶 | 三菱商事

 

伊藤忠商事:鈴木社長メッセージ

伊藤忠商事鈴木社長

今期業績において1位がほぼ確実視されている伊藤忠商事の鈴木社長メッセージを見てみましょう。伊藤忠カラーが良く出ている気がします。笑 

 

新年の始まりにあたり、ここ10年の伊藤忠をまずは振り返ってみたいと思います。10年で、伊藤忠は大きく成長しました。2010年度1,611億円だった連結純利益は年々着実な成長を遂げ、2018年度と2019年度には2年連続で5,000億円に到達しました。昨年は、新型コロナウイルスの流行による不透明な経済環境でしたが、そんな中でも、利益計画は4,000億円と前年比2割減に踏み止まり、上期終了時点の進捗率も63%と大変順調に推移しています。

このように数字を見ても伊藤忠は10年で大きく変貌したわけですが、この変貌を可能にした要因は何だったのでしょうか?まずもって大きな要因は2013年に、当時の岡藤社長が、いち早く非資源中心の事業成長に舵を切るという大きな決断をしたことに始まります。それは、他商社が資源ビジネスに傾斜する中での決断でしたが、その2年後2015年に資源のスーパーサイクルは終了し他商社は大きな損失を出すことになります。

さて、今年2021年、新たな10年が始まりますが、何にもまして、まずは2020年度の連結純利益4,000億円を必達し、コミットメント経営を実践し続けなければなりません。当社では、コロナ以前から、右肩上がりの経済成長はいつまでも続くものではないと自らを戒め、有事に備えて経営してきたことで、幸いにもこれまで確りと対応できています。

本年も、引き続き、常に過去の失敗を思い出し、危うきに備える気持ちを忘れずに、各々の持ち場で伊藤忠のビジネスの基本である「か・け・ふ」を実践して頂きたいと思います。連結純利益、株価、時価総額で商社No.1となる「三冠」を達成すれば、創業から160年余り、長きに亘って他社の後塵を拝してきた伊藤忠の歴史が変わる大きな一歩となります。

 

さすが伊藤忠、新年のメッセージにおいても他商社との比較に言及していますね。笑 連結純利益、株価、時価総額で商社No1となる「三冠」をものすごい強調しています。事実株価のパフォーマンスは総合商社の中でダントツで、コロナ禍の中で「上場来高値」更新しているので、何も言い返せないですが。笑

 

鈴木社長メッセージ全文は以下URLから御覧頂けます。

2021年 社長COO年頭挨拶|プレスリリース|伊藤忠商事株式会社

 

三井物産:安永社長メッセージ

三井物産安永社長

三井物産の安永社長メッセージです。安永社長は12/23のプレスリリースで2021年3月をもって会長に退き、新たに堀専務執行役員が新社長となることを発表しているので、今回のメッセージが最後の新年メッセージになります。

早速安永社長のメッセージを見てみましょう。大きく3つで「環境認識」「企業の存在意義」、そして「真の変革と成長に向けて」こちらです。

 

まず一つ目の「環境認識」の一部抜粋がこちらです。

 

日本では長期にわたる安倍政権を菅首相が引き継ぎ、米国では新政権が選出されるなどの大きな動きもありました。地政学リスクの高まりには十分な注意が必要ですが、米国の「パリ協定」への復帰、EUの複合的なグリーンディールの影響、並びに菅内閣の「2050年までの温室効果ガス実質ゼロ」表明などにより、グローバルな脱炭素化の動きが着実に加速化していくでしょう。これらの変化をビジネス機会と捉え、既存事業の知見やネットワーク、そして本部間協業によるシナジーを活かし、再生可能エネルギー・水素・蓄電・CCUSなどGHG削減に繋がる新規事業や、データを活用した物流・人流の効率化やデジタルインフラ領域への取り組みなどを、積極的に進めていきたいと考えています。

 

三菱商事同様、資源が多い三井物産なので、やはりここでも「脱炭素化」に触れていますね。二つ目の「企業の存在意義」については特に真新しいこともないので飛ばして、三つ目の「真の変革と成長に向けて」の抜粋を見てみます。こちらです。

 

時代や社会の変化にあわせ、当社は自らの業態を変革しながら、長年にわたり産業価値を創出してきました。中期経営計画のテーマである、「変革と成長」を達成するには、これまでの常識・慣習を含めゼロベースで見直していく必要があります。

日本の既存制度が抱えるさまざまな課題はコロナにより浮き彫りになったともいえますが、私たち自身も一歩先をにらみながら、目の前の課題にしっかりと向き合っていかなければなりません。覚悟をもって行う「変革」はときに痛みを伴うかもしれませんが、私たちの「多様性」を力に、たゆまぬ「学び」を続け、それを「行動」に移していくことで、必ず成長につなげていくことができると信じています。

 

こちらも特にそこまで触れることは無いですね。笑 結構あっさりとしたメッセージとなっている印象を受けました。

 

安永社長メッセージ全文は以下URLから御覧頂けます。

リリース | 2021年「年頭の辞」 - 三井物産株式会社

 

住友商事:兵頭社長メッセージ

住友商事兵頭社長

住友商事の兵頭社長メッセージを見てみましょう。住友商事は今期の2020年度で総合商社の中で唯一赤字転落となっており、そのあたりについても触れられていますよ。また一番長文メッセージだったのが住友商事でした。以下でそのメッセージの中で気になった「2020年の振り返りと、2021年に取り組むこと」というパートの抜粋を見てみましょう。

 

世界情勢、事業環境が激変する中で、当社は、2020年度の業績予想が1,500億円の赤字となることを昨年8月に発表しました。これは、当社グループが広く展開する事業ポートフォリオの中で、元々弱みを内包していた懸念案件・不採算事業を中心に、COVID-19や景気悪化の影響を大きく受けることを想定するとともに、不採算事業の整理という構造改革第一フェーズを完遂する決意を踏まえ、必要なコストを見込んだものです。そして、2020年度を危機対応モードの一年と位置付け、キャッシュフローマネジメントに取り組み、手元流動性、財務健全性を維持してまいりました。さらに、厳しい状況下でも、トップラインの引き上げとコスト削減の両輪をしっかりと回して、事業環境の緩やかな回復を確実に取り込むことで、一過性を除く当社業績は改善の兆しを見せています。更に、大型事業の再生プランに目途をつけたことを含めまして、不採算事業の整理に向け着実に歩みを進めました。しかし、いまだ道半ばです。今一度、危機対応モードの基本に立ち返り、手元流動性の維持を堅持しながら、不採算事業の整理と業績回復に向けて努力を続けてまいりましょう。

 

今期赤字に触れていますね。住商が抱えていた弱みを一掃するための損失であることを言っています。第一フェーズというのが気になりますが、一過性を除いた業績は改善してきている状況とも言っていますので、来期はV字回復が期待出来そうです。 

 

続いて2021年に取り組むことの一部抜粋がこちら。

 

また、商社業界の中で、いち早くデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に力をいれ、ビジネスモデル変革へのチャレンジなど新たな成長・競争力強化へ取り組んできたことが評価されまして、昨年8月には経済産業省と東京証券取引所が選定するDX銘柄2020に選出されました。
サステナビリティ経営の高度化とDXの更なる推進は社会の常識となっており、当社グループの持続的な成長に欠かせないことを意味しています。この二つの大きな潮流をしっかりと捉え、SBUの事業戦略に落とし込み、手綱を緩めることなく推進していきましょう。

 

やはり住商もDXを掲げています。今、総合商社ではこの「DX」が流行になっているのが伺えます。住友商事は11月19日に英国Vodafoneとの戦略的提携を発表しており、DXを加速化させようとしていますよ。

 

兵頭社長メッセージ全文は以下URLから御覧頂けます。

2021年社長年頭挨拶 | 住友商事

 

丸紅:柿木社長メッセージ

丸紅柿木社長

最後に丸紅の柿木社長メッセージを見てみましょう。丸紅は2019年度決算において唯一赤字転落をした総合商社で、それについても触れつつ、メインは現在推進中の中期経営戦略GC2021についてです。

 

冒頭に2019年度の赤字決算に触れてスタートしています。

 

多くのステークホルダーの皆さまにご迷惑をかけた2020年3月期決算からの再スタート、新型コロナによる非常事態と、当社グループはダブルの危機の真っ只中です。この様な状況だからこそ、社是「正・新・和」の精神に立ち返り、丸紅グループ社員が一丸となって、信頼回復に向けて、新たなビジネスモデルに挑戦し、中長期的な企業価値向上を目指していく、新年を迎えるに当たり、この思いを改めて強くしております。 

 

そして現在推進中の中期経営計画についてです。

 

これまで述べた通り、当社グループを取り巻く環境は非連続の変化により見通し難い状況ですが、当社グループのやるべき事は変わりません。財務基盤の再生・強化を最優先課題としてキャッシュ・フロー重視の経営を徹底すること、そして中期経営戦略GC2021で掲げた「既存事業基盤の強化と新たなビジネスモデル創出により中長期的な企業価値向上を追求する」という成長戦略を変更なく実践していくことです。

 

現在の丸紅の中期経営計画は2020年5月7日に見直しの公表を行い、2022年3月期まで自社株買いを行わないことを宣言しているほど危機対応をしていることから、財務基盤の再生強化を優先課題として挙げているのですね。

 

そして最後に再び2019年度の赤字に触れています。

 

最後になりますが、2020年度も残り3カ月です。そしてその後に迎える2021年度はGC2021の最終年度です。2020年3月期の赤字決算を受けご迷惑をお掛けしたステークホルダーの皆さまから信頼を回復するための重要な年が続きます。

 

2019年度の赤字をかなり重く受け止めている様子が伺えます。一方、丸紅は今期業績については期初予算の1,000億円を前回2Q決算発表時に1,500億円へ上方修正、配当金も15円から22円に増配(前年比では減配)していることから、足元の業績は好調に推移していますよ。

 

柿木社長メッセージ全文は以下URLから御覧頂けます。

2021年 社長年頭挨拶

 

最後に:キーワードはDX

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総合商社各社の新年のメッセージを見てきましたが、キーワードは完全に「DX」ですね。三井物産だけ「DX」という単語は出さなかったものの、その他4商社の社長メッセージには「DX」という単語が含まれています。※三井物産もDXという単語は使わなかったものの「デジタルインフラ領域」という言葉でDXを表現しています。

 

冒頭にも触れましたが2020年は「バフェット砲」で一躍話題となった総合商社でしたが、今後そのバフェットは各社10%程度まで株式を買います可能性があることを公表しています。全ての商社がバフェットのお目にかかるのか、ここから選抜されていくのかが今後注目ポイントですかね。実力が試される年になるのかもしれません。

私のポートフォリオには三菱商事、伊藤忠商事、三井物産の3社が組み込まれていますが、どうなることやら。笑 

 

最後に、私の投資ポートフォリオを以下記事で公開しているので興味あれば御覧ください。

 

www.sogoshoshaman.com

 

上記記事でも公開している通り、私はポートフォリオの一部にビットコインも入れています。つい先日、JPモルガンがビットコインの長期的見通しを14万6,000ドル(1,500万円程度)と発表するなど、個人的には上昇相場にのれなかった時のリスクを意識してのことですね。

足元は大きな調整局面が来ているので、これから仮想通貨投資を始めるには面白いかもしれません。ただ、下落する時はなかなかの下落幅になり得るので、ポートフォリオのほんの数パーセント組み込む程度に抑えたほういいですよ。

もし仮想通貨を始めるなら業界大手のコインチェックが良いと思います。数百円程度から投資可能なので、ポートフォリオに数パーセントだけ入れることが可能です。口座開設は以下リンクから可能で、最短その日から取引出来るのでおススメです。株式と異なり、週末も取引出来るので暇つぶしにもなりますよ。笑笑

 

コインチェック

 

ということで、以上になります!

当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。

今回も最後までお読み頂き有難うございました!

 

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