こんにちは!総合商社マンです!今日は総合商社分析シリーズです!
今回は以前も取り上げた総合商社の時価総額を見てみます。前回2月に以下記事で各社の時価総額を見てみましたが、このコロナショックの大荒れ相場の中で総合商社各社もなかなかの下落に見舞われています。
(↓まだ見ていない方はこちらからどうぞ↓)
なんでまた今回も時価総額を取り上げるかというと、前回の記事でも触れた三菱商事VS伊藤忠商事の時価総額がデッドヒートを繰り広げているからです!
前回は総合商社全体を見ていきましたが今回はこの三菱商事VS伊藤忠商事に焦点を当てて見てみたいと思います!
7大商社の時価総額!!(2020年3月24日終値)
青色が一カ月前の2020年2月24日の時価総額で、オレンジ色が3月24日時点の時価総額。うーん、各社時価総額減らしているのが分かります。コロナショックの大荒れ相場で2月24時点では総合商社7社合計の時価総額は17.14兆円ありましたが、3月24日時点ではちょうど20%減少の13.66兆円になっています。総合商社の株主さん、ごめんなさい。笑
かくいう私も総合商社株ホルダーですのでこの1カ月で順調に資産を減らしたのは言うまでもありません。笑
さて、前回の記事と比較をすると総合商社の時価総額ランキング自体には特に変化は起きておらず、以下の通りの順番です。
- 1位:三菱商事
- 2位:伊藤忠商事
- 3位:三井物産
- 4位:住友商事
- 5位:丸紅
- 6位:豊田通商
- 7位:双日
🔥三菱商事VS伊藤忠商事🔥
さてさて、冒頭で申し上げたように今回の本題です。前回のブログでも言及した通り、三菱商事と伊藤忠商事の時価総額競争が燃えています。1カ月前時点では三菱商事4.5兆円に対し伊藤忠商事の時価総額は4.1兆円と約0.4兆円の開きがありましたが、見ての通り3/24終値時点ではその差がなんと0.17兆円(=三菱4.51兆円-伊藤忠4.12兆円)まで縮まっています。
時価総額 (兆円) |
2/24時点 |
3/24時点 |
下落額 | 下落率 |
三菱商事 | 4.51 | 3.74 | -0.77 | -17.1% |
伊藤忠商事 | 4.12 | 3.57 | -0.55 | -13.4% |
株価も3月24日終値で三菱商事2,349.5円に対し、伊藤忠商事は2,251.5円とついに100円割れの差です。ちなみに三菱商事と伊藤忠商事の発行済株式数は以下の通りほぼ同じレベルなので単純に株価の差が時価総額の差と連動すると考えて差し支えないでしょう。
三菱商事 :1,590,000,000株
伊藤忠商事:1,584,000,000株
伊藤忠商事の動向
もちろん伊藤忠商事も今回のコロナショックで高値の2,700円台から一時2000円割れまで株価は下落しましたが、中国が徐々にコロナから立ち直り始めているという情報もあり株価の戻しが早くなっています。また伊藤忠が強い理由の一つに2019年6月12日公表の自社株買いがあります。
伊藤忠の自社株買い概要
- 株式取得価額の総額:700億円を上限
- 取得する株式の総数:40,000,000株を上限(発行済株式総数の2.7%)
- 取得する期間:2019年6月12日~2020年6月11日
何が強いかというと、なんとこの自社株買い、2020年3月2日時点で未発動なのです(以下写真参照)!しかも期限が2020年6月11日となっていますので、これから自社株買いが一気に発動されてくるのではという期待もあり、需給環境を良くしており株価の上昇に繋がっています。
参照元:伊藤忠商事ホームページより抜粋
https://www.itochu.co.jp/ja/ir/news/2020/__icsFiles/afieldfile/2020/03/02/ITC200302_J.pdf
三菱商事の動向
一方、三菱商事の株価回復は少々遅れており、これは個人的な予想ですがコロナショックをきっかけに今話題の原油相場暴落が起き、他資源の価格もつられて下落していることが要因かと思われます。
というのも皆さんまだ記憶に新しいかと思いますが、2016年のシェール革命時の資源価格暴落による三菱商事の赤字転落を投資家はしっかり覚えており、その懸念がまだ続いていることが三菱商事の株価に大きく影響しているのではないかと推測します。
ちなみに三菱商事も伊藤忠商事同様に自社株買いを2019年5月9日に発表しています。
三菱商事の自社株買い概要
- 株式取得価額の総額:3,000億円を上限
- 取得する株式の総数:120,000,000株を上限(発行済株式総数の7.5%)
- 取得する期間:2019年5月10日~2020年5月8日
下の写真は2020年3月2日のプレスリリースのものですが、この自社株買い3,000億円の枠の内、既に2,628億円を使っており、残り400億円弱残っている状況です。伊藤忠商事の自社株買い枠700億円に対して王者三菱商事は3,000億円の自社株買いとなっており、金額ではさすが三菱商事と言いたくなります。にも関わらず、市場は伊藤忠商事を評価しており株価の差となって表れてきています。
参照元:三菱商事ホームページより抜粋
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/pr/archive/2020/files/0000039412_file1.pdf
三菱商事VS伊藤忠商事対決の今後の見通しは?
これは私個人の意見ですが、ずばり言います。
世紀のジャイアントキリング、即ち伊藤忠商事が三菱商事の時価総額を上回ることは十分にあり得るでしょう。
理由としては以下が挙げられます。
- 中国の市場のコロナからの立ち直りが早いと中国国営企業のCITICに5,000億円規模の投資をしている伊藤忠に追い風。
- 伊藤忠の自社株買いが解き放たれた時の需給環境改善。
- 現在の資源安で5月の2020年3月期の決算発表で再び三菱商事が資源安による巨額の減損を立てるのではという投資家目線での懸念。
ちなみに2019年度第三四半期の決算発表において伊藤忠商事の鉢村CFOは以下の様な発言をしています。
「業績面から中国関連の割合が大きいのは鉄鉱石のビジネスであるが、当年度は、ほぼヘッジが終わっているので影響は限定的。但し、来年度はまだ見通せず、影響が大きくなる可能性がある」
参照元:伊藤忠商事ホームページ
即ち、今回の資源暴落の影響は2019年度決算は影響少ないが2020年側には影響があると読み取れます。トレードには2019年側は大きく影響は出ないということでしょう。恐らく三菱商事もヘッジ済だろうと想像します。ただし、両社共に資源権益を保有しているので、そこでの減損がどの程度出るかが2019年の決算の明暗を分け、時価総額のランキングにも影響が出ることになると考えています。
三菱商事、王者の貫禄を見せられるか!?
ここまで伊藤忠商事がイケイケドンドンな感じ、且つ両社の競争を煽るような記事を書きましたが、実は私自身は三菱商事と伊藤忠商事の株を両方持っています。またどちらかというと圧倒的に三菱商事の株保有額のほうが大きいので伊藤忠だけでなく、是非三菱商事にも躍進してもらいたいのが本音です。笑
先日、総合商社各社の2019年12月時点の総資産について記事を書きましたが、王者三菱商事は伊藤忠の保有する資産の約2倍の大きさです(三菱商事18.2兆円、伊藤忠11.4兆円)。(↓まだ見ていない方はこちらからどうぞ↓)
総資産がでかけりゃいいというものではないですが、この資産というものは一朝一夕で築けるものではありませんし、私個人的にはこの三菱商事の総資産の大きさに三菱商事の底力を感じています。是非ともROAを上げて頂き、成長をお願いしたいところ!
今後は市場も来年の2021年3月期予想に徐々に注目が移行していくことになると思われます。コロナショックに資源安と総合商社業界には逆風が吹き荒れていますが、ぜひ両社共にデッドヒートを繰り広げて頂き、共に株価を上昇させて行ってくれればうれしい限りです。笑
ということでしばらく三菱商事VS伊藤忠商事から目が離せません!!もしまた両社の競争に動きがあればブログ更新させて頂きます。
今回も最後までお読み頂き有難うございました!!
参考になったと思われた方はツイッター等で拡散頂けると嬉しいです!!