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原油ETFで利益を出すにはどうすればいいのか?

 

 

原油ETFで利益を出すには原油価格がどうなればいいのか?

原油ETFで利益を出すにはどうすればいいのでしょうか?最近の原油暴落で原油ETFが個人投資家に人気となっており、注目を浴びています。先日以下記事で既に含み損を抱えている人向けに塩漬けは避けたほうがいいという記事を書きました。

 

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今回はこれからこの商品に手を出す人向けに、どうやったらこの原油ETFという商品で利益が出せるのかについて考察してみたいと思います。いつものごとく、この商品を理解するためにはロールオーバー、コンタンゴの知識は必須ですので、まだ理解してないよ!って方は先にこちらの記事をお読みください。

 

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尚、この記事は以下前提で書いています。

  • ロングで保有
  • 分かり易くするために為替影響は無視
  • 分かり易くするために信託報酬手数料、ETF買付手数料は無視

利益を出すためには限月間のスプレッドが重要!!

利益を出すためには限月間のスプレッドが非常に重要になります。過去にも何度か別記事でも書きましたが、原油先物には6月、7月、8月といった感じで先々に期日の来る限月ものが沢山あります。というか取引はほとんどないものの2030年頃まで毎月限月到来するものがあるくらいずっと先物まで存在しているのが原油先物という商品です。笑

とはいえ、そんな先のモノを見ても仕方ないので、2021年3月までの各月の先物価格を見てみましょう。

wti-price

上記の通り、2020年6月限月~2021年3月限月の先物の価格一覧です。これの各限月のスプレッドを以下で計算してみました。

限月 原油価格 スプレッド
6月 12.92 -
7月 18.65 44.3%
8月 21.90 17.4%
9月 24.15 10.3%
10月 25.47 5.5%
11月 26.50 4.0%
12月 27.45 3.6%
1月 28.29 3.1%
2月 28.82 1.9%
3月 29.54 2.5%

※CME先物価格を参照して筆者作成

本日時点のスプレッドは上記の通りです。直近6月と7月のスプレッドが恐ろしいことになっていることが分かりますね。笑 また将来になればなるほど各限月のスプレッドが小さくなっていることが分かります。

既にロールオーバー・コンタンゴはご理解されている前提で書きますが、本日時点では2021年3月時点で29.54ドルまでは上昇することが先物価格に織り込まれているので、仮に本日このETFを購入したとして、原油価格が上記の表の通り2021年3月に29.54ドルまで上昇したとしても、あなた様の利益はゼロです。毎月ロールオーバーで高い原油価格を買わされていくわけだから当然ですね。

つまり、これが超重要ですがこの先物価格に織り込まれていない以上の上昇があなたの利益になるわけです。もちろんあくまで上記の先物価格は本日時点のものです。原油の需要が回復し、相場が好転していくと先々の先物価格も日々上昇していくので、仮に2021年3月の先物価格が40ドル程度まで上昇してしまえば、それも織り込み済ということです。もう少し詳しく説明してみましょう。

織り込まれていない先物価格ってなんやねん??

先ほど織り込まれていない以上の上昇が利益を出すためには必要とお伝えしましたが、この意味分かりますか?簡単にいうとロールオーバーされた限月の原油がロールオーバーした時の値段よりも高くなれば、それが織り込まれていなかったものと言えます。

例えば

6月限月20ドル、7月限月25ドルという先物価格になっていたとします。ある日に6月限月のものを7月限月にロールオーバーして、あなたの持ち玉の原油価格は25ドルとなりました。当然差額の5ドルは利益になりませんね。そしてロールオーバーした後に好材料が出て7月限月の原油価格が28ドルに上昇しました。この25ドルと28ドルの差の3ドルが先物価格に織り込まれていなかったあなたの利益ということです。

ただし、将来の先物価格はもちろんそれにつられて上昇しますので、この織り込まれていなかったことによって得られる利益は今回だけです。来月以降はまた別の織り込まれていない「何か」が起きないといけません。

そういうわけで仮に毎月ポジティブニュースが発生したとしてもロールオーバー分は利益にならないので、原油価格の上昇とETFの価格の上昇率が一致しないわけですね!!

ではここから何が言えるのかを見てみましょう。

原油ETFは短期勝負が必要!

ずばり、原油ETFは短期勝負が必要!!ということです。長期で保有すればいずれ原油価格は回復する、というのは正論かもしれませんが、それは原油先物価格に織り込まれていくので先ほども言った通りあなた様の利益にはならないわけです。そして毎月ロールオーバーコストが嵩んできますので利益も出にくくなります(ロールオーバー後の原油価格は需要が回復していないと元の価格に下落します)。そのため、長期保有はむしろ傷に塩を塗ることになるので、短期勝負(=1~2カ月)でいくのがいい、ということです。

それではここからは原油ETFで有名な1671を例に、どうなれば利益が出ていくのかを見ていきましょう。

 

WTI原油連動型ETF(1671)の運用状況は?

WTI原油連動型ETF(1671)の運用状況はどうなっているでしょうか?これも冒頭に紹介した記事でも触れていますが、以下の通りです。

日付 2020/04/27  
限月 買い建て玉 比率
6月限                 - 0%
7月限       23,361 73%
8月限         8,534 27%
合計       31,895 100%

この通り、6月限月は既にロールオーバー済で、現在7月、8月限月で運用しています。そしてメインは7月限月となっており、それだけで7割を占めています。つまり、7月、8月限月(特に7月限月)が短期的に上昇すれば良いわけです。短期というのは1か月以内のイメージです。利益を出すにはもうほんとこれだけです。

ただし、利確・損切りせずにロールオーバーの時期を迎えれば、この7月限月もいずれ8月、9月ものにロールオーバーしていきますので、7月限月→8月限月のロールオーバーで17.4%、8月→9月限月のロールオーバーで10.3%持っていかれます。先ほども言った通り、ロールオーバー後に需要が回復していなければロールオーバー後の限月の原油価格も元の木阿弥で下がっていきますのでそうなると17.4%、10.3%は損失となるわけです。先日5月ものが終了して6月ものに変わった時、一時的に18ドル台から25ドル台になりましたが、その後ずるずる下げていますよね。18ドル→25ドルに変わった時の情報は以下記事をご参照。

 

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利益を出すには短期の急騰がマスト

結局、この原油ETFで利益を出すには短期の急騰がマスト!!ということがお分かりになりましたでしょうか?現在500円の1671が1,000円になるには本日時点で7月限月18ドル→36ドル、8月限月21.90ドル→43.8ドルへと急騰する必要があるということですね。

いや、無理だろ。笑 って思ったら早めに手を引くことをお勧めします。

あくまで、短期勝負前提の商品で長期保有には向かない商品ということです!

この点を肝に銘じてこの商品には手を出すようにしましょう!

 

この記事を書いている現在も6月限月は12ドル台に下落、、、、いやはや恐ろしい。。

今回は以上です!最後までお読み頂き有難うございました!!

 

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