こんにちは!総合商社マンです!今日は原油市場の動向を見てみよう!!
3月初旬のOPEC+総会でロシアが追加減産を拒否した結果、サウジが増産に踏み切ったことで原油相場が大荒れとなっています。今回は4/9に行われたOPEC+とその翌日4/10のG20エネルギー相会議の結果がどうなったのかを纏めてみたいと思います。今回の暴落の流れをまだ理解していない方は↓の前回書いた記事を読んだうえで、今回の記事を読んだほうが理解しやすいと思いますので以下ページからどうぞ!
ちなみに本題に入る前に、ちょっとアイスブレイク。冒頭の写真についてですが、これがOPECの旗です。見たことありましたか?意外と見たことない方が多いかと思います。OPECはOrganization of Petroleum Exporting Countriesの頭文字です。この旗、よーく見てください。旗の下にOPECとアルファベットで書かれていますが、実は上の良く分からない絵も、OPECのアルファベットをちょっとデザイン変えて書かれているんですよ~。はい、ちょっとしたアイスブレイクでした!笑
それでは動向を見ていきましょう!
OPEC+臨時総会の結果(2020/4/9)
OPEC+臨時総会の結果を見ていきます。このOPEC+臨時総会はサウジアラビアが呼びかけをして実現したものです。当初4/6に予定されていましたが、各国の事前調整が間に合わない見込みとなったため4/9に延期されていました。また通常この類の会議はOPECの総本山であるオーストリアのウイーンで開催されますが、今回はコロナの影響もありテレビ会議という形を取っています。議論の結果に関してはOPECのサイトに記載されています(英語)。興味がある方はどうぞ。
OPEC : The 9th (Extraordinary) OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting concludes
それでは具体的にどのような議論が交わされ、どういう結果となったのかを見てみます。
- 議論された内容:20mbdの協調削減
- 合意出来た内容(条件付):10mbdを協調削減するという基本方針
削減スケジュール
2020年5月1日~6月末 10mbd減産
2020年7月1日~12月末 8mbd減産
2021年1月1日~ 6mbd減産
- 条件付きとなっているのは、本OPEC+臨時総会中にメキシコに割り当てられた0.35mbd~0.40mbdという減産量の内、メキシコが合意したのは0.1mbdだけだったため。従い、OPEC+としてはメキシコに割り当てられた減産量への満額同意が得られなければこの基本方針は実行には移さないとした。
- 今回参加しなかった米国等に5mbdの追加削減を求める。(仮に実現すればOPEC+の基本方針10mbd+5mbdの15mbdの削減が実現する)
この結果、9日のWTI原油先物市場は 一時前日比13%上昇するも、合意した減産量が期待値よりも低かったことから一気に下落に転じ、終値は前日比9%超え下落の22.76ドルで引けるという、まさにジェットコースターのような動き方をしました。
前回の記事でも書きましたが、通常時の世界の原油需要は100mbdです。今回のコロナにより原油需要は20mbd減少の80mbdとなっていると言われていますので、単純に20mbd減産しないと需給が一致しません。そういう意味でこの10mbd減産という基本方針では市場は満足せず、WTI原油先物は下落をしたということになります。
G20エネルギー相会議の結果(2020/4/10)
G20エネルギー相会議の結果を見てみましょう。これもテレビ会議での実施で、日本からは梶山弘志経済産業相が参加しています。
合意された内容:石油市場を安定化させること(具体的な減産目標提示出来ず)
残念ながらG20の声明では具体的な減産目標を示すことが出来ませんでした。一方で、OPEC+とG20各国で世界の原油供給量を15%削減することが議論されたようです。先ほど触れたように世界の原油供給量は100mbdですので、つまり合意すれば15mbdの減産となります。OPEC+臨時総会では10mbdの減産合意でしたので、追加で5mbdの減産を目指しているのですね。具体的には10mbdはOPEC+各国で削減を行い、追加の5mbdを米国・カナダ・ノルウェー等で減産するというものです。
尚、前日のOPEC+で懸念となっていたメキシコの不足分については、米国が肩代わりをすることになり一件落着しています。ま、トランプ大統領のことなので別の形でメキシコからしっかり借りを返してもらうことになると思いますが。笑
原油市場・今後の課題
原油市場の今後の課題は以下。
- G20で具体的な削減目標値に踏み込めなかったものをどうするのか(恐らく米国次第。米国の原油産業は民間なので政府がどう削減に対応していくのか注目。)
- 仮に15mbdの削減に同意出来たとしても、まだ需給は供給のほうが多い状態が継続。※とはいえ、石油生産国が同調して削減方針を示せれば原油市場にはプラスか。
兎にも角にも、コロナが収まり世界の経済が回りださない事には需要が増えないので、コロナの早期収束が一番の原油市場への良薬であることは間違いないですね。尚、次回のOPEC総会は6月10日です。
※G20絡みの情報はまだ完全に収集仕切れていないので、情報入り次第随時追記していきます。なお、原油価格をウオッチしたい方はおススメのサイトを以下記事に纏めているので良ければどうぞ。
ということで今回も最後までお読み頂き有難うございました!