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【オリックス】20年度第2四半期決算説明会!株主還元への踏み込んだ発言あり!

こんにちは!総合商社マンです!オリックスの決算説明会で語られたことを見てみましょう!業績に関するヒントもあるよ!

 

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オリックスが20年度第2四半期決算説明会を開催

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オリックスが11月2日引け後に20年度第2四半期の決算を発表し、その後決算説明会が電話会議形式で開催されました。決算説明会は井上社長、谷口専務執行役員、矢野財経本部長が対応しています。

さて、この決算説明会自体は2020年度2Qの決算説明をした後に、アナリストからの質疑応答という形で1時間程度の時間で開催されています。

2Q業績については既に以下記事に纏めていますので、そちらをご覧頂ければと思いますが、決算説明会の中で個人的に気になったことを独断と偏見で抽出していきたいと思います。

 

www.sogoshoshaman.com

 

それでは参りましょう!

※当記事で掲載されているスライドは全てオリックスが公表した決算説明会資料の抜粋です。

 

オリックス決算説明会

オリックス決算説明会でわたくし、総合商社マンがきになった部分を抜粋していきます。先ほど掲載した決算記事の内容とは重複しないようにしていきますが、一部重複する部分もある点はご了承くださいませ。

 

今期の業績見通し/株主還元について

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  • 下半期においては各国ばらつきあり、コロナは終息していないため業績予想を開示することは困難だが、今回純利益予想を1,900億円とした。前期比▲37.2%の落ち込み。5月の決算発表時にはコロナの影響もあり、今期業績予想を第三四半期までにコロナ正常化で1,800~2,000億円、1年間影響継続で800億円から1,200億円前後と説明した。今現在も先行き見通せない状況に変わりないが、ワーストケースは想定する必要はないという判断。
  • 通期の配当は76円もしくは配当性向50%以上、どちらか高い方。
  • 資金調達では営業CF、財務CFともに安定。懸念無いこと確認できたので、自社株買い442億円を実施し、年度内に完了予定。
  • 来期以降の配当性向、自社株買いの是非は2021年3月期決算発表の際に来期以降の戦略と合わせて報告。
  • 2021年3月期上半期は各国の財政拡大で主要な株価数はコロナ前に戻っている。再生エネルギー、不動産等もコロナの影響を受けずに高止まりしているものもある。しかし米中対立、米国選挙、コロナ拡大はあり、来期以降も一定程度の影響が残る。しかし、オリックスの13兆円の資産はリスク分散され健全性を維持出来る構成。オリックスを取り巻く環境が落ち着き始めているという判断が出来ている。資産の入れ替え、新規投資を進めていく積極的な営業活動が行える時期が到来したと判断する。

 

最悪期を脱したということにかなり強い自信を持っていることを窺わせる内容ですね。積極的な新規投資の再開が将来の成長に繋がっていくことを期待したいところ。

 

航空機リース事業について

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  • オリックス保有の期待は市場変動幅が比較的小さいNarrow bodyの比率が85%。残りの機体含めほぼ全て大手フラッグキャリア向けのリース。1Qに支払い繰り延べ要請を受けたが、現在はほぼ支払いが再開されている。9月に鑑定大手会社数社による全機種の鑑定結果が出たが、減損は必要なしと結論づけた。
  • 出資先のAvolonは発注機数を400機から286機へと削減。航空会社の需要減退リスクに対処済。2022年までに引き渡し予定の機体は全てリース先を確保。9月にはUSD650milの無担保社債も発行出来ており、資金調達に問題無し。
  • 航空機リース事業には決して楽観はしていないが、上記の通り減損の懸念なし、Avolonも適切に対処している。
  • 中国国内の旅客数はコロナ前の需要に戻っている。国内も回復してきており明るい兆しもあるが、国内外の航空旅客事業がどのように回復してくるか予想は難しい。しかしオリックスは40年以上の経験ノウハウを持っており、損失を最小化することが出来ると考えている。
  • 空港コンセッションや不動産についてはコロナの影響は限定的であり、今後利益の回復を見込んでいる。

このオリックスの航空機ビジネスが投資家の懸念項目としてよく挙げられますね。今回の説明だと、もちろん油断出来ないものの、ビジネス構造上リスクは結構限定的であることを強く示唆している説明内容です。

 

新規投資の進捗状況

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  • 第1四半期決算説明会時点で約2兆円の投資パイプライン(投資候補)があることを示した。中には取り下げしたものもあるが、着実に進捗しており、順次対外公表する予定。これらの案件は将来の成長に寄与すると確信している。
  • しかしながら、これから投資をするものについては、取り組みのためのコストが先行して計上されること、将来の成長を見込んでいるものは必然的に相当な無形固定資産(Good will)を計上することになる。本格的に収益に貢献するタイミングは1期ないしは2期程度の時間が必要。

この投資パイプラインがどの程度あるのかを開示しているのは、個人的にはIRをしっかりやっているなという印象を受けて分かり易くて良いですね。先ほどもあったように、新規投資を積極的に進めていく時期が到来しているという説明を裏付ける内容ですね。

 

今期以降の見通し

 

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  • ROEの改善にはある程度の時間が必要。現状を鑑みると、巡航速度に戻るのは2023年3月期頃。既存のビジネスポートフォリオでは11%に戻すには数年かかると考えるので、新規投資と資産売却で回復シナリオを早める所存。
  • その際、株主還元を充実したものにしていくといった施策を考えていくことになる。
  • 今回の予想に加えて中期計画の方向性も開示したかったが、コロナ改善が見えないため時期尚早と判断。資産の入れ替え含め、新規投資が順調に推移することにより、純利益水準を3,000億円に戻すこと、さらに4,000億円、5,000億円の到達も以前説明した時間軸よりは遅れると思われるが、達成可能だと判断している。

ここは個人的に結構気になったポイントです。まず巡航速度は利益3,000億円程度の規模感のことを指していると思います。そしてそれが2023年3月期頃を想定しているとのこと。急速な回復は見込んでいない状況ということですね。ただ、こればっかりはコロナ次第だと思うので、早まることも全然あり得るとは思います。

また、ここで「株主還元を充実したものしていく施策」という言い方で触れてきています。オリックスは来年度から新中期経営計画を開始することになるので、その中でどのような株主還元施策が設定されるのか、非常に期待をさせる表現ですね。

 

Q&Aセッション

決算説明会の最後にアナリストからのQ&Aセッションが設けられています。今回も個人的に気になった質問を抜粋してお届けします!

 

質問1:キャピタルゲインの考え方について(大和証券)

  • Q:新規投資案件動き出したということは今期中の売却益計上も可能となった理解でよいか?今期の業績予想に航空機の減損リスクは織り込まれていないということだが、1,900億円必達のために資産売却の利益で吸収可能と考えてよいか?
  • A:1,900億円の中には売却益はせいぜい数十億円のものしか入れていない。大きな売却益は1,900億円には入っていない。理由は多くの投資家が買収に動いていたりするが、買収の金額を下げてきていたりするので、その安値で売る必要はないということで、今期は売却を多く考えていないため。後半流れが変われば売却をスタートすることもありえる。
  • A:航空機の減損については、皆様から見るとキーに思われるかもしれませんが、Avolonは既に減損実施している。我々保有の飛行機は一機も返還されていないし、リースが続いている。リース料も遅ればせながら支払われている。今期は減損の必要性はないと考えている。減損が顕在化するとなったら来期以降。今期は無い。

もちろん来期以降の環境が更に悪化すれば航空機ビジネスに限らず減損は発生し得るものなので、来期以降については当然このような回答しか出来ないと思いますが、少なくとも今期の減損は無いと言い切っていますね。

 

質問2:自社株買いについて(ゴールドマンサックス)

  • Q:本決算時と具体的に何が変わって今回自社株買いを実施することになったのか。また、利益改善が緩やかな一方で自社株買いに積極的な印象を受けたが、どういう考え方なのか。
  • A:自社株買い442億円未消化としたことについては、相当皆さまからご批判を受けた。正直リーマン時に資金繰りがタイトになったことを目のあたりにしていたため、とりあえず未消化となってしまった。リーマンとの違いは、金融がタイトになってしまったが、なんと今回は資金繰りになんら影響なし。むしろジャブジャブな状況となり、それが継続している状況だということが分かったことから自社株買いを再開することとした。
  • A:来期以降については、さらに引き続き自社株買いを考えていかなければならない。それよりも当期利益1,900億円、配当76円、自社株買い442億円を消化する。勝負は来期以降。

自社株買いは安全を見て一旦中止したという説明ですね。リーマンの時とは環境が違い過ぎることに気付いたため再開したということです。また来期以降の自社株買いも示唆です。次の質問で自社株買いについてより詳細に踏み込んでいますよ。

 

質問3:自社株買いについて(みずほ証券)

  • Q:今回の442億円は資金繰り環境が悪くない状況で、未消化だったためということだったが、来期以降の判断においてどのような材料を考えているのか?
  • A:今回の442億円は未消化分をとりあえず消化してしまうという考え。来期以降についてはROEが6%台に落ちてしまったことは由々しき事。11%に戻すために1,000億円、2,000億円の自社株買いをしたところで大勢に影響はない。よって、前向きの案件がどこまで出来るか、キャッシュフローをどれだけメンテ出来るか。もし投資が減っていく状況であれば、当然自社株買いをやらなければ立ち行かない。大統領選挙次第では株価は下がるかもしれない等、不安定な状況なので、そういったことを見極める。自社株買いゼロはマーケットが許さない、自社株買いは継続してやっていきたい。一方前向きな投資案件も多くあり、このあたりのバランスを見ながら検討したい。
  • Q:今の説明だと自社株買いをストップすることはないという印象を受けたが。
  • Aストップはない。6.3%のROEはなんとしかしなければいけないと考えている。

ROEが低下していることを非常に重く受け止めていますね。確かに小手先の自社株買いをしてもすぐにROEが改善することは無い一方で、自社株買いゼロをマーケットが許さなことを明確に認識しているあたりが、かなり踏み込んだ発言で素晴らしいという印象です。

 

最後に:相変わらず株主還元への姿勢が素晴らしい

 今回オリックスの20年度第2四半期の決算説明会を見てみましたが、毎度のこと、このオリックスの経営陣の株主還元への姿勢には目を見張るものがあります。

結構、多くの日本企業は株主還元に対する質問をされても当たり障りのない表現で逃げることが多いのですが、オリックスの決算説明会では毎度結構踏み込んで発言をしてくれるのです。笑

しばらく業績は厳しい状況が継続する見込みですが、次期中期経営計画での更なる株主還元施策に期待をして、がっちり保有株をホールドしておきたいと思わせてくれる決算説明会でした!

 

頑張れ!みんな大好きオリックス!!

 

尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。

 

 

堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!

中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。 

 

 

先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!

また、三菱商事を例に挙げて企業分析方法を学べる現役銀行員のたりたり社長という方が書いた良書もありおススメですよ!

 

 

ということで以上です!

当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。

今回も最後までお読み頂き有難うございました!

 

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