こんにちは!総合商社マンです!みんな大好き累進配当銘柄まとめです!
累進配当とは
「累進配当」とはどういうものでしょうか。この言葉には以下の通り二つの意味合いがあります。
- タイプ①:毎期増配を目指すこと
- タイプ②:減配をせずに中長期的に増配をしていくこと
累進配当というと前者のイメージを持つ人が多いかもしれませんが、減配をせずに下限保証をして増配を目指していくスタイルもこれもまた累進配当と呼びます。
もちろん100%保証されているものではありませんが、その会社が株主への還元をコミットする姿勢を出すというのは、投資家にとっては非常にメリットですよね。
中には「累進配当」宣言をせずに毎期増配している企業もいますが、「累進配当」を宣言している企業と決定的に異なる部分があります。それが「株主へのコミット=約束」です。累進配当を宣言している企業としてない企業が減配をした時の株主からの批判の差は明らかですよね。それだけ「累進配当」を宣言している企業は経営に自信があることの表れでもあるわけです。
ということで、今回取り上げるのはあくまで「累進配当」を方針として宣言している企業です!
それでは早速見ていきましょう!
累進配当を掲げている銘柄はどこか?
累進配当を掲げている銘柄はどこでしょうか。2020年現在、以下の5銘柄が累進配当を掲げていますよ!
- 三井住友FG
- 三菱商事
- 伊藤忠商事
- 日本エスコン
- いちご
最初の3社の「三井住友FG」、「三菱商事」、「伊藤忠商事」は会社名を知っている人も多いと思いますが、「日本エスコン」と「いちご」は知名度がそこまで高くないので知らない人もいるかもしれませんね。そのあたりの会社の情報も含めて、各社それぞれの配当方針を個別に見ていきましょう!
※日本エスコンは2020年7月30日のプレスリリースで「累進配当政策撤回宣言」をしてしまいました。
三井住友FG
三井住友FGの累進配当政策を見てみましょう。
三井住友FGは先日5/15に2020年3月期の決算発表を行い、そこで合わせて中期経営計画も発表しました。これは2021年3月期~2023年3月期の3カ年計画で、以下の通り配当方針をだしています。
赤枠は私が付け足したものですが、「累進的」という言葉がありますよね。三井住友FGは先日の決算発表時に2021年3月期の配当予想も合わせて発表しましたが、2020年3月期同様の190円と減配をせずに配当を維持した形としました。つまり、最初に記載した「累進配当」のタイプでいうと、三井住友FGの掲げる「累進配当」は②の「減配はせずに中長期的に増配をしていく」タイプになります。
こちらが三井住友FGの過去の配当状況です。
御覧の通り、このスライドに出ている2008年以降一度も減配することなく累進配当政策を進めているという、株主にとっては超優秀な企業です。配当を維持する年は過去に何度もありましたが、減配はしておらず「累進配当」を強く推進しているのが分かります。
ちなみに今期も増配とならず配当維持予想ですが、今期はコロナショックで▲43.2%減益の4,000億円予想の中での配当維持ですので、如何に株主還元を重視しているかが分かりますよね。いやー、素晴らしい。
最新の決算状況を見たい方は以下記事に纏めているので御覧ください。
2019年度決算
2020年度決算
三菱商事
三菱商事の累進配当政策を見てみましょう。三菱商事は総合商社の王者で、過去から累進配当を掲げています。こちらが5/8に行われた2020年3月期決算発表時のスライドになります。
御覧の通り2016年以降、毎期増配を継続しています。三菱商事は2015年度までは累進配当を掲げておらず減配をすることもありましたが、2016年度から始まった「中期経営戦略2018」から累進配当宣言を行い、2019年から始まった現在推進中の「中期経営戦略2021」でもその累進配当政策を継続しています。そして、今のところパターン①の毎期増配を行っており、今期の2020年度業績予想は未発表なるも配当は2円増配の134円とすることを発表済です。さすが総合商社王者の貫禄。毎期増配は株主にとっては嬉しい限りですね!
三菱商事の最新決算状況は以下記事にまとめてるので御覧ください。
伊藤忠商事
伊藤忠商事の累進配当政策を見てみましょう。三菱商事に次ぐ総合商社業界2位の伊藤忠商事は、近年非常に業績好調で王者三菱商事に果敢と挑んでいる状況です。配当方針についても三菱商事同様に累進配当政策で対抗しています。
御覧の通り2020年度経営計画でも「累進配当」を掲げていますね。
そして過去の配当状況はこちらです。
御覧の通り毎期増配の累進配当がスタートしているのは2014年度以降です。そこから毎期増配し、2014年の配当46円から今期はほぼ2倍の88円まで配当額を増やしています。つまり三菱商事同様、パターン①の毎期増配型です。
ちなみに伊藤忠は2021年3月期で終了する中期経営計画「Brand-new Deal2020」を進めていましたが、税後利益5,000億円を早期に達成出来たことと、コロナの状況を鑑みて2021年3月期のみの1年間の経営計画を今回発表しています。もちろんそこでも累進配当を引き続き掲げています。来期の2022年3月期から始まる次期中期経営計画でも引き続き累進配当政策を継続してくれることを期待します!
尚、伊藤忠商事の最新の決算状況はこちらの記事からご覧ください。
日本エスコン(累進配当撤回済)
日本エスコンの累進配当政策を見てみましょう。この会社名聞いたことありますか?私はこの記事を書くにあたって累進配当株を調べるまでお恥ずかしながら知りませんでした。日本エスコンは総合不動産企業のデベロッパーです。マンション分譲から商業施設、ホテル開発等、いろいろやっており、日本エスコンの筆頭株主は中部電力で持分連結会社となっています。
そんな日本エスコンですが、しっかりと累進配当政策を掲げています。
ちょっと小さくて見ずらいですが、赤字ライン部分にしっかり「累進配当」の記載がありますね。また「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」と言っているのでパターン②の累進配当政策であることが分かります。
日本エスコンは2017年から開始した前中期経営計画である「IDEAL to REAL2019」から累進配当政策を掲げ、今年から新たに開始した中期経営計画「IDEAL to REAL2022」でも継続して累進配当政策を掲げています。現時点で2016年から4期連続増配をしている状況ですので、2022年まで累進配当が継続されれば7期連続増配となる見込みです。
ちなみに日本エスコンは12月決算会社ですので、既に4月28日に2020年1Q決算発表済ですが、通期の利益予想85億円に対し、1Qだけで64億円を稼ぎ出しています。さすがにコロナの状況を鑑みて上方修正はしませんでしたが、非常に好調な滑り出しをしていますね。
そして、この日本エスコン。累進配当政策だけでなく、株主優待もあります。
御覧の通り1年以上継続保有の株主に対し、株数に応じてクオカードを送っています。累進配当を掲げてそこに加えて株主優待もあったら、結構グリップ力増しますよね。笑
※2020/7/30追記
日本エスコンは2020年7月30日のプレスリリースで累進配当政策を撤回しています。詳しくは以下記事をどうぞ。
いちご
いちごの累進配当政策を見てみましょう。まず最初に、この企業知っていますか?この写真の「一期一会」というキャッチワードで、駅とかでも広告を出しているので見たことある人はいるかもしれません。あと、Jリーグのスポンサーなので結構あちこちで目に触れる機会があり知名度は上がってきていますが、何をやっている企業なのでしょうか。
いちごは不動産会社でオフィスやホテルのJ-REIT運営や、太陽光発電等のクリーンエネルギー事業を行っている企業です。ここの会長さんはスコットキャロン氏という外人の方です。そんないちごも累進配当政策を掲げています。
御覧の通り「原則減配しない」累進配当政策と言っているのでパターン②ですね。2013年以降増配を行ってきましたが、2020年2月期は配当維持となりました。そして2021年2月期は配当「未定」となりましたが、累進配当宣言は継続していますので、悪くても配当維持となる見込みですのでやはり安心感があります。
ちなみにいちごの面白いところは配当性向ではなく「株主資本配当率(DOE)」という指標を使っているところです。こちらがDOEを採用している理由の説明です。
株主資本を基準とした「株主資本配当率(DOE)3%以上」も採用し、配当のさらなる安定化を図っております。(「配当性向」は期ごとの純利益に連動するため変動率が高い一方、株主資本配当率(DOE)は配当の安定性が確保されます。)
利益の変動が激しい状況で累進配当をすると、確かに配当性向は大きく変動しますので不安定さがあります。そこでいちごは株主資本配当率を採用しているのですね。株主資本というのは「資本金+資本準備金+利益剰余金等」なので、利益と比べれば期ごとにそこまで大きくぶれることはないという考え方なのでしょうね。
おまけ:隠れた累進配当企業
ここで「累進配当」という言葉は使わないものの、ほぼそれに近い宣言をしている企業を1社紹介します。この記事のタイトルに+1社と記載したのはこの会社を含めたかったからです。それはどこかというと、ずばり「三井物産」になります。どういうことか具体的に見てみましょう。
こちらが先日2020年3月期の決算発表を行った際に合わせて発表された「中期経営計画2023」での株主還元方針です。
赤枠は私が付け足したものですが、「下限」と記載されているのがお分かりになりますでしょうか?そう、三井物産は「累進配当」とは言わないものの、配当を「下限保証」している、つまり減配しないことを宣言しているのです。
確かに先に紹介をしてきた累進配当宣言企業と比べると、増配スピードは遅く2018年:70円、2019年:80円、2020年:80円という状況ですが、2021年~2023年までの間も80円の下限保証を行っています。当然これも一つの強い株主へのコミットですし、業績上振れれば増配を狙っていく姿勢ですので、隠れた累進配当企業なのですね!
三井物産の最新決算は以下記事からどうぞ。
2019年度決算
2020年度決算
最後に:累進配当企業のコミット力は素晴らしい
如何でしたでしょうか。やっぱり累進配当企業って素晴らしいなーと改めて思います。
というのも、冒頭でも触れましたが、累進配当を宣言するということは実現できなかった時の株主からの批判リスクを取りに行くということです。それだけ経営陣が自信を持っている表れということです。実際、これらの企業の業績を見ると、しっかりとしたキャッシュフローを生み出しており、実績に裏付けされていることが分かります。
財務状況がボロボロな企業が累進配当するぞ!なんて宣言したってむしろマイナス効果にしかなりませんよね。まずは配当なんかより財務状況改善しろ!!って銀行さんや株主から怒られてしまいます。
今回紹介した累進配当企業はしっかりとした財務状況に基づいて行っていますので、少なくとも現時点では安心感を持って保有出来る状況だと私は思っています。
ただし、将来的にアフターコロナの世界や、GAFAが世界を席巻してビジネスモデルを大きく変えようとしている中で、それに適応出来た企業だけがこの累進配当政策を長期的に継続出来るのでしょうね。さー、この累進配当宣言をコロナの荒波に揉まれる中でいつまで継続出来るのか、そして新たな累進配当を掲げる企業が出現するのか、今後も注目していきましょう!
※2020年7月30日追記
累進配当を宣言していても日本エスコンが宣言撤回するような事象が生じています。累進配当宣言をしているから安心だ!という安易な考えはせずに、仮に投資をするのであれば企業の財務状況等をしっかり確認した上で判断する力が求められますね。
最後に、私の投資ポートフォリオを以下記事で公開しているので興味あれば御覧ください。
上記記事でも公開している通り、私はポートフォリオの一部にビットコインも入れています。つい先日、JPモルガンがビットコインの長期的見通しを14万6,000ドル(1,500万円程度)と発表するなど、個人的には上昇相場にのれないことを意識してのことですね。
足元は大きな調整局面が来ているので、これから仮想通貨投資を始めるには面白いかもしれません。ただ、下落する時はなかなかの下落幅になり得るので、ポートフォリオのほんの数パーセント組み込む程度に抑えたほういいですよ。
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ということで今回は以上です!当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。
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