こんにちは!総合商社マンです!住友商事が20年度第1四半期の決算発表したよ!1Q赤字、そして通期でも赤字転落へ!
住友商事が20年度第1四半期決算を発表
住友商事が本日8/7の13:30場中に2020年度第1四半期の決算発表を行いました。総合商社各社の決算発表は三井物産、豊田通商、丸紅、双日、伊藤忠に続き6番目の決算発表となります(他商社の決算記事は当ブログ内の「総合商社関連カテゴリーから御覧ください」)。
住友商事は今期業績予想をまだ出していない状況下で先日、▲550億円という巨額の減損損失計上を発表して市場をざわつかせたのは記憶に新しいですね。詳しくは以下記事をどうぞ。
そんな住友商事がどんな数字を今回1Q決算で出してきたのかを、住友商事が発表した決算資料を眺めながら見ていきたいと思います。なかなか衝撃です。それでは参りましょう!
20年度第1四半期決算概要
住友商事の20年度第1四半期決算の概要を見ていきます。定量面からです。こちらのスライドをご覧ください。
ポイントを箇条書きします。
- 1Qの当期純利益は前年比▲1,208億円減益の▲411億円と赤字転落。
- ▲411億円の内、一過性損益は▲670億円、一過性を除くと260億円。
- 一過性▲670億円の内、▲550億円は先日リリースのマダガスカルニッケル案件。
- 一過性を除いた260億円の内、資源は▲100億円、非資源は360億円。
こんな感じ。先日発表した減損▲550億円+αにより1Qは赤字に転落してしまいました。この規模の減損を先日発表していたの1Q赤字転落はそこまでサプライズではないと思いますが、今のところ総合商社で赤字転落会社は住友商事だけです。
もう少し利益面を詳しく見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。セグメント別の利益スライドです。
左側の灰色棒グラフが2019年度、右側の青色棒グラフが2020年度の1Q実績です。
ポイントを箇条書きします。
- 黒字セグメントは金属、インフラ、メディア・デジタル、生活不動産。その中でも前年比増益となったのはメディア・デジタル。
- 赤字セグメントは輸送機・建機(▲94億円)、資源・化学品(▲603億円)。
- 大きな一過性減損損失は輸送機・建機で▲90億円、資源・化学品で▲550億円。つまりこの両セグメントは減損なくとも赤字転落していた。
好調なセグメントはメディア・デジタルだけですね。また減損なくとも2つの赤字セグメントはどっちみち赤字転落だったという点はこのセグメントの厳しさを物語っている気がします。
続いて、キャッシュフロー、財政状態を見ていきます。こちらのスライドをご覧ください。
- 営業キャッシュフローは+468億円(前年は+489億円)。前年比減少しているものの、キャッシュ自体は稼げている様子。
- フリーキャッシュフローは▲64億円(前年は▲404億円)。1Qに▲532億円の投資を実行していることによるもの。
- ネットDEレシオは1倍と2019年度末から変わらず。※ネットDEレシオはざっくりいうと有利子負債と自己資本+手元キャッシュの比率。1倍ということは同額。1倍を切る(=自己資本が多い)のが望ましい。
キャッシュフローに関しては営業CFがそこそこ稼げているのでそこまで問題無さそうに見えます。フリーキャッシュフローは赤字ですが、投資のタイミングでいくらでも触れるので1Qだけで見てもあまり意味はないので、気にしなくてよいかと。
20年度年間業績&配当予想
住友商事の20年度年間業績予想及び配当予想も見ておきましょう。これが結構衝撃ですよ。
まず年間業績予想はこちらです。
ポイントを箇条書きします。
- 通期予想は前年比▲3,214億円減益の▲1,500億円の赤字転落。
- このうち、一過性損益が▲2,500億円、一過性を除くと1,000億円(前年は2,480億円)の黒字。
な、な、なんと。年間業績予想を今回初めて発表したわけですが、びっくりポイントが多いです。
- 通期赤字転落という事実
- 一過性損失が1Qからさらに▲1,800億円近く悪化
- 一過性を除いた損益も前年比60%減とかなり厳しい。
かなり厳しい様子が伺えます。一過性損益をまとめたスライドがこちらです。
- 1Qはインドネシア自動車金融業▲60億円、マダガスカル▲550億円、その他▲60億円の合計▲670億円。
- 2Q以降にさらに▲1,830億円程度の減損計上見込みで年間合計▲2,500億円発生見込み。
- この追加減損は既に減損計上済のマダガスカル案件・インドネシア自動車禁輸事業で更に見込まれ、それ以外にも欧米州青果事業、インド事業等で発生見込み。
かなりの金額の減損を見込んでいますね。マダガスカル案件は根深い。。今回発表した今期の大きな減損は住商が現在行っている「中期経営計画2020」という2018年~2020年度を対象とした中計最終年度中に不採算事業を整理し、来期からの新中期経営計画に備えるということのようです。
セグメント別予想の詳細は割愛しますが、一過性を除いた損益では金属、資源・化学品が年間通しても赤字となるようです。
そして気になる配当を見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。
細々としていますが、
- 期初公表予想の70円(中間35円、期末35円)からは変更なし。
- 一過性損失はキャッシュアウトしないことが配当維持の最大理由。
期初に年間業績予想を出さなかったのに配当は先に発表していましたので、配当は変更しないだろうなと思っていましたが、やはり維持してきましたね。年間でフリーキャッシュフローを1,900億円見込み、配当総額は▲875億円なので、配当後フリーキャッシュフローも黒字維持ですし、無理しているわけではないです。
住商は前年は80円の配当だったので減配しているように見えますが、前年は10円の記念配が含まれているので、実質配当を維持したことになります。
最後に:今期は赤字転落も来期以降が重要か
今回住友商事の2020年度1Q決算と年間予想を見てきましたが、今期の赤字転落は来期から始まる新中期経営計画でのV字回復を狙っているものなのかなと個人的には感じました。
ですので、今期の構造改革での膿み出しにより来期以降成長出来るかがポイントですね。ただ、マダガスカル案件で過去からひたすら損失計上を連発したりと、近年は住商らしくない面が多く見えている気が個人的にしています。
別記事でも書きましたが住商は「石橋を叩いて渡らない」と揶揄されるほど慎重で保守的と言われてきましたが、最近は「石橋を叩きすぎて自分で壊してから渡り始める」ような印象を受けるくらい「定期的に一過性損失を計上」しています。ま、減損は住商に限った話では無いですけど、商社の一過性損失の連発が株価低迷の主要因なんでしょうね。
ということで以上です!
尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。
堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!
中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。
先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!
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