商社マンは今日も走る!現役総合商社マンの資産運用ブログ

総合商社マン(5大のどれか)の企業分析、投資(株式・原油ETF)に関するブログです!

【住友商事】20年度第2四半期決算発表速報!赤字だが回復の兆しあり!?

こんにちは!総合商社マンです!住友商事が20年度第2四半期の決算発表したよ!今期総合商社の中で唯一の赤字転落の住友商事。その行方や如何に!?

 

sumitomo-logo-ceo-eyecatch

  

 

住友商事が20年度第2四半期決算を発表

住友商事が11/6の場中13:30に2020年度第2四半期の決算発表を行いました。今回この住友商事の決算が総合商社決算ウイークの大トリを飾ります。

住友商事は総合商社の中で今期唯一の赤字予想を出している状況ですね。その額なんと▲1,500億円です。果たして2Q決算で回復の兆しは見えるのか、早速決算公表資料を眺めながら纏めていきたいと思います!

※当記事内のスライドは全て住友商事が公表した決算資料からの抜粋です。 

  

20年度第2四半期決算概要

sumitomo-corporation-financial-result-2020q2-1


住友商事の20年度第2四半期決算の概要を見ていきます。

定量面からです。こちらのスライドをご覧ください。

sumitomo-corporation-financial-result-2020q2-2

ポイントを箇条書きします。

  1. 上半期の当期純利益は前年比▲2,126億円減益の▲602億円と1Qに続き赤字。
  2. ただし1Qの赤字▲411億円に対し2Q単体の赤字額は▲191億円と改善。
  3. 上半期に一過性損益は▲1,350億円含まれており、それを除いた基礎収益は上半期で+750億円。内、1Qは+260億円、2Qは+490億円と基礎収益も改善中。

1Qに引き続き赤字決算が続いているものの、1Qが業績の底だったのか、2Qは基礎収益の改善が顕著になっているのが分かりますね。これもあってか、決算発表後の住友商事の株価は上昇で反応しています。

 

もう少し利益面を詳しく見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。セグメント別の利益スライドです。

sumitomo-corporation-financial-result-2020q2-3

左側の灰色棒グラフが2019年度上半期実績、右側の青色棒グラフが2020年度上半期実績です。

ポイントを箇条書きします。

  1. 全6セグメント中、黒字セグメントは1Q時点で4セグメントあったものが2セグメントに減少。具体的にはメディア・デジタル、生活・不動産のみ黒字。
  2. 金属、インフラは1Q時点で黒字だったが2Qで赤字に転落。
  3. 6セグメント中前年比増益となっているのはメディアデジタルのみ。

好調なセグメントは1Qに続きメディア・デジタルだけですね。ただし、全6セグメント中4セグメントが赤字になっているというのは思い切った構造改革をしている表れでもあります。上のスライドの一番下に各セグメントに含まれている一過性損益がいくらなのか記載ありますよね。堅調なメディアデジタル以外全てのセグメントでこの一過性損益が発生しているのが分かります。

この一過性損益についても詳しく見てみましょう。

sumitomo-corporation-financial-result-2020q2-4

ポイントを箇条書きします。

  • 上期の減損額合計は▲1,350億円。1Q▲670億円、2Q▲680億円の減損損失発生。
  • 通期では▲2,500億円の減損損失計上を予定。
  • 最大は1Qに発生したマダガスカルニッケル案件の▲550億円。
  • 2Qでは豪州インフラで▲250億円、インドネシア自動車金融で▲150億円等。

減損祭りですね本当に。しかも注目は1Qで発生したマダガスカルニッケル案件について、更なる追加減損を示唆しています。今期はコロナを理由として大ナタを振るった構造改革で一気に減損を出すということかもしれませんが、実は過去にコロナ関係なくこの案件は減損計上をしています。本当に今期で減損終わるのか、、、注目です。

 

キャッシュフロー、財務状況

住友商事のキャッシュフロー、財政状況も見ていきます。こちらのスライドをご覧ください。

sumitomo-corporation-financial-result-2020q2-5

 

  1. 営業CFは+2,223億円(前年は+662億円)。コロナ禍の中前年比大幅に改善。キャッシュは稼げている状況。
  2. 投資CFは▲741億円(前年は▲1,103億円)と投資を絞っている状況。
  3. その結果フリーCFは+1,483(前年▲441億円)と大幅に改善。
  4. ネットDEレシオは1倍と2019年度末から変わらず。

キャッシュフローはしっかり稼ぎ出せている状況であることは分かりますね。1Qよりも営業CFも大幅に増加しており、このあたりからも最悪期は脱したということが伺えます。

ちなみにネットDEレシオというのはざっくりいうと、有利子負債と自己資本+手元キャッシュの比率です。1倍を切る(=自己資本が多い)のが望ましいと言えます。

 

20年度通期業績&配当予想

住友商事の20年度通期業績及び配当予想も見ておきましょう。

こちらのスライドをご覧ください。結論から言うと、今回は変更なしです。

sumitomo-corporation-financial-result-2020q2-6

ポイントを箇条書きします。

  1. 通期予想は▲1,500億円の赤字予想から変更なし。
  2. 配当額についても年間70円(上期35円、下期35円)から変更なし。

業績は改善してきていますが、ネットDERも1倍程度となっていますし、財務状況の改善を優先するという説明ですね。今期はしっかり赤字を出し切って来期からの戦いに備えるということでしょう。

 

  

最後に:底は脱したか。株価はポジティブに反応

今回住友商事の2020年度2Q決算を見てみましたが、今期はもともと赤字予想を出している状況なので、赤字そのものにサプライズはありませんが、むしろ1Qに比べて2Qの基礎収益力改善がGOODポイントでしたね。株式市場も好感して捉えたようで、株買いは前日比+2.92%と大幅に上昇して引けています。

住友商事はもともと「石橋を叩いて渡らない」と揶揄されるほど慎重で保守的と言われている企業です。しかしながら近年は定期的な巨額減損を計上をすることが多くなった印象を受けます。前にもどこかの記事で書きましたが、「石橋を叩きすぎて自分で壊してから渡り始める」ような印象を受けるくらい「定期的に一過性損失を計上」しています。

今回の構造改革で一気に膿を出し切って、来期からの業績回復に期待したいですね!

 

これにて総合商社、決算発表ウイーク終了です!お疲れ様でした!

尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。

 

 

堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!

中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。 

 

 

先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!

また、同じ総合商社の三菱商事を例に挙げて企業分析方法を学べる現役銀行員のたりたり社長という方が書いた良書もありおススメですよ!

 

 

当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。

今回も最後までお読み頂き有難うございました!

 

面白い・有益だと思った方は、Twitterや『はてブ』↓↓↓ぽちっと拡散頂けるととても喜びます!!