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オリックス株は買って大丈夫?航空機ビジネスに焦点当てて見た

こんにちは!総合商社マンです!今日は個人に人気のオリックスの考察をしてみよう!

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オリックス株は買って大丈夫なのか?

オリックス株は買って大丈夫なのか?オリックスは株主優待や高配当利回りから個人投資家に非常に人気の株なので気になる人も多いと思います。

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オリックスの株価は4/6終値時点で1,186.5円。2月頭には1958.5円という年初来高値を付けていたもの、その後3月22日に一時年初来最安値である1,100.5円を付けました。実に50%程度の激しい下落に見舞われた状況ですね。

この下落により配当利回りは6.41%、PER5.06倍、PBR0.5倍と、数字だけみると飛んでもなく割安のように見えますが注意が必要です。というのも、この配当利回りもPERもPBRも、「予定通り配当が支払われれば」、「見通し通り税後利益が出れば」、「減損等でBalance Sheetが痛まなければ」という前提での数字です。現在のコロナショックのような異常事態の局面ではあまり意味を為さなくなっている数字であることは念頭に置く必要があります。

また最近のオリックス株の激しい下落は、オリックスが行っている航空機ビジネスへの懸念が大きくなっているためというのが世間一般の声として聞こえてきます。ですので、今回はオリックスの航空機ビジネスの規模がどの程度なのかに焦点を当てて、オリックスのホームページ上で公開されている情報から見ていきたいと思います。ちなみに私はオリックス株は現在所有しておりませんので、その点は先にお断りしておきます。笑

それでは、まず初めにオリックスの最近の業績を見てみましょう!

 

オリックスの最近の業績は? 

 

オリックスの最近の業績をまずは見てみましょう。

 

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参照元:オリックスホームページ

https://www.orix.co.jp/grp/pdf/company/ir/library/event/Presentation_191213J.pdf

 

御覧の通りリーマンショックで利益が激減した時期を除いて2010年以降飛躍的に成長をしてきたのがわかりますね。また、オリックスの個人投資家向けプレゼンテーションで面白い情報があるのですが、オリックスの税後利益規模を銀行と総合商社と比較しています。

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これを見ると2019年3月期のオリックスの税後利益は3,237億円。銀行セグメントの中では三井住友FGに次いで3位、総合商社セグメントでは三井物産に次いで4位、住友商事の3,205億円よりも高い水準であることをアピールしています。直近までは順調に業績を伸ばしてきたイケイケな企業であることが分かりますね。

 

オリックスの 2020年3月期会社予想は?

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2020年3月期第三四半期決算を2020年2月3日に発表をしており、第三四半期時点での税後利益は2,443億円、年間では3,000億円を予想しています。つまり進捗率は81.4%と絶好調の数字と言えますね。この中に航空機関連ビジネスはどの程度の含まれているのでしょうか?セグメント別に切り出してみましょう。

まずオリックスの発表資料ではビジネスを以下の通り6セグメントに分けています。

※()内数字は2020年3月期第三四半期税後利益、及び資産

  • 法人金融サービス:  (132億円、10,001億円)
  • メンテナンスリース: (258億円、9,009億円)
  • 不動産:       (561億円、7,561億円)
  • 事業投資:      (556億円、8,085億円)
  • リテール:      (704億円、41,103億円)
  • 海外:        (1,319億円、32,832億円)

※セグメント別利益の合計が税後利益の2,443億円と一致しないのは恐らくセグメント利益が営業利益もしくは経常利益あたりで計算されているのではと推測します。

 

オリックスの航空機ビジネスは大丈夫?

 

オリックスの航空機ビジネスはこの中のどこに含まれているのでしょうか。答えは海外セグメントの部分になります。このページをご覧ください。

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これは第三四半期の海外セグメントのページになりますが、グラフの水色部分が「航空機・船舶」になり、海外セグメントにおける1,319億円の利益の内、328億円が航空機・船舶」で稼ぎ出しているものになります。また右側のグラフは資産の数字になりますが、セグメント資産32,832億円の内、6,784億円が航空機・船舶です。

つまり2020年第三四半期決算税後利益2,443億円のうち、ざっくり10%程度が航空機関連で稼ぎ出している状況と言って良いかもしれません。利益貢献具合としてはそこまで大きくはありませんが、私が個人的に注目しているのはこの総資産の6,784億です。オリックスは2018年に2,500億円を投じてアイルランドのAvolon社の30%の株式を取得しています。その株がこの資産に含まれているでしょうから、この減損リスクが極めて高いように感じます。ちなみに持ち分連結をしたアイルランドのAvolon社から取り込んでいる利益は第三四半期時点で141億円となっていますので年間換算で200億円程度のビジネスに育っているようですね。来期この取り込み利益が大幅に減ることになるでしょう。

↓Avolon株取得時のプレスリリース

https://www.orix.co.jp/grp/company/newsroom/newsrelease/pdf/180808_ORIXJ.pdf

また、現在のコロナショックで世界中の航空会社が運航を止めている中で、リース契約解除となると、もちろんオリックスorAvolonとして違約金を受け取ることは出来るかと思いますが、その後新たなリース先を見つけることが出来ないと、不良資産となる可能性が高いということで減損計上をすることもありえるかもしれませんね。

 

結局オリックス株、どうなの?

 

結局オリックス株、買っていいのか?オリックスについてここまでごちゃごちゃ書きましたが、私個人的にはこの下落局面は妙味アリだと考えています。その根拠ですが、今回焦点を当てた航空機ビジネスの減損リスクが高くなって大きく売られている状況との理解なので、その減損が発表されればまずは一旦悪材料出尽くしで株価は戻すと思っています。また中長期的にも航空産業は今後も伸びていく可能性が高いビジネスです。現在のコロナによる一過性の収縮は確かにマイナスですが、将来の可能性まで潰すことになるとは到底思えません。

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これはオリックスの開示資料にある情報ですが、世界の中間所得人口は増加し、それに応じて旅行回数も増えるという試算です。そのまま鵜呑みも良く無いですが、一理あると思っています。

一つ航空機以外に懸念があるとすると、法人金融サービスセグメントが前年同期比▲66億円(▲33%)減少の132億円となっているあたりでしょうか。

 またこれはサイド情報ですが、リーマン時は残念ながら減配とはなりましたが実はオリックスは黒字を確保しました。もちろん当時とリスクは変わっているものの、これは一つ評価出来るポイントですね。ただ当時株価は2007年の高値3,245円から2009年2月にはまさかの204円という95%の暴落をしている点は留意必要です。

 

オリックスの株主優待

オリックスは株主優待も充実しています。3年以上保有をすると優待内容が充実するので、この下落局面で株を買って、3年程度じっくり時間を掛けて育てていくというスタンスも面白いかもしれませんね!

 

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参照元:オリックスホームページ

www.orix.co.jp

 

今回は以上です。自分でこの記事を書いていてオリックス株買いたくなってきました。笑 減損発表のタイミングで参入しても面白いかもしれませんね!

最後までお読み頂き有難うございました!