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【ANA】20年度第1四半期決算速報!

こんにちは!総合商社マンです!ANAが2021年度3月期の第1四半期決算を発表したよ!コロナの影響や如何に!?

 

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ANAが20年度第1四半期決算を発表

ANAが本日7/29に20年度第1四半期の決算発表を行いました。コロナ禍の影響を最も大きく受けている業界の一つである航空業界。ANAの決算発表資料から、どれほどの影響が出ているのかを見てみたいと思います!

 

20年度第1四半期決算概要 

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ANAの2020年度第1四半期決算の概要を早速見てみましょう。

 

定量実績

まず定量実績です。こちらのスライドをご覧ください。

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すごい数字が並んでいます。ポイントを箇条書きしますね。

  1. 売上高は前年比▲75.7%減少。
  2. 営業利益は前年162億円の黒字だったものが▲1,590億円と大幅赤字転落。
  3. 当期純利益は前年583億円の黒字だったものが▲1,088億円と大幅赤字に転落。

このスライドの右側に旅客数もありますが前年比で国際線▲96%、国内線▲88%とほぼ営業活動が出来なかった状況であることを如実に示していますね。貨物線は踏ん張っていたようです。

この赤字はシンプルに旅客数の減少ということが分かります。減損でもなんでもありません。いかついですねー。もう少し詳しく見てみましょう。営業利益の前年比を要因別に分けたスライドがこちらです。

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ポイントは以下です。

  1. 2019年度1Qの営業利益は141億円で今期2020年度1Qの営業利益は▲1,537億円。
  2. 売上減少により▲3,443億円の下押し要因。国内旅客・国際旅客で半々の影響。
  3. これに対しコスト削減(燃料費等の変動費及び人件費等の固定費)を1,764億円実行。

ここまでコロナにより営業停止をさせられていたら仕方がないですね。コスト削減についても少し詳しく見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。

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先ほどのスライドではコスト削減は1,764億円と記載ありましたが、このシートでは1,625億円となっているのが不思議ですが気にせずいきます。笑 ポイントは以下です。

  1. コスト削減額1,625億円の内、変動費1,300億円,固定費325億円(245億円+80億円)
  2. つまり営業が活動出来なかったことで減少した変動費が全体の80%を占める。※需要に応じて減便した自助努力もここに含まれる。
  3. 削減した固定費の325億円の内、大半は人件費(含むボーナス)。

航空業界の方々はまさにコロナ禍が給料にまで及んでいることが分かりますね。ただ、ここまで飛行機を飛ばせない状況だと人件費削減まで踏み込んでの自助努力だけではどうしようもない状況です。

 

財務状況

ANAの財務状況を見てみましょう。気になりますよね。ここまでの赤字で倒産しないのかとかとか。今のところ大丈夫そうです。こちらのスライドをご覧ください。

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ANAの6月末時点の財政状況を3月末と比較したものですね。ポイントを箇条書きします。

  1. 総資産は+2,972億円増加、自己資本は▲932億円減少した結果、自己資本比率は▲7.6%悪化し33.9%となった。
  2. 有利子負債が+5,160億円増加した結果、D/Eレシオは0.8倍から1.4倍と急激に悪化。※D/Eレシオは端的に言うと自己資本と負債どっちが多いかを見る指標で1倍を超えると負債のほうが多いという意味。
  3. 手元流動性(現金等)は+3,382億円増加。

自己資本比率は30%が一つの目安と言われていますが、今後赤字が継続するでしょうから更なる悪化が懸念されます。一方、これだけ売上が減少する中で現金が増加しているということは銀行借入を行ったようです。ただし、その結果、D/Eレシオが急激に悪化しているという状況なので格付け等に影響が出てきそうです(格付け下がると借入金利上昇だったり機関投資家の株式売却等、悪影響出ます)。

手元流動性確保のために銀行借入等を実施した模様ですね。その点についてどういった施策を行ったのか詳しく見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。

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  1. 手元流動性確保のために5,350億円の借入を実行。
  2. さらに銀行からコミットメントライン5,000億円を確保。
  3. 投資を抑制し、空港使用料の支払い猶予を国に要請。

やはり銀行借入を実施していますね。さらに5,000億円の融資枠を設定してもらっていますのですぐに資金に困窮するような状態にはないと思われます。とはいってもこの融資額のインパクトがどの程度なのか分かりにくいですよね。ということで1Qのキャッシュフローを見てみましょう。こちらのスライドです。

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  1. 営業キャッシュフローが1Qだけで▲1,353億円となっています。
  2. つまり第1四半期だけで通常のビジネスにおいてこれだけのキャッシュがANAから出て行ってしまったということです。
  3. 仮に1Qの最悪の状態が1年間継続したとすると、単純計算ですが1,350億円×4で年間約5,400億円のキャッシュアウトとなりますが、それでもまだ資金繰り可能というレベルということです。ただ、もちろん投資もしていかないといけませんが、そうだとしてもコミットメントラインもあるのですぐに資金ショートにはならない、そんなイメージかと思います。

酷い決算状況で財務は急激に悪化していますが、銀行団が融資で支えている、そんな状況であるということが分かりました。

 

20年度年間業績見通し&配当

ANAの20年度年間見通しと配当予想はどうなっているでしょうか。決算説明資料には記載なかったの決算短信から見てみましょう。

まず年間業績見通しはこちらです。

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御覧の通り、「コロナ禍により合理的に算出不可」ということで1Qが終わったタイミングでも「未定」としていますね。ま、仕方ないですねこの状況だと。

続いて配当についてはこちらです。

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こちらについても「未定」としています。よくこの状況下で「無配」と言わずにまだファイティングポーズ取れるなと思ってしまいますが、まだ諦めていないということなのでしょうきっと。ただ、この銀行から支援をしてもらっている中で配当を出すのはなかなか難しいでしょうねきっと。期待しないほうがいいと思います。

 

最後に:しばらく厳しい状況が継続しそう

これはANAに限った話ではありませんが、航空業界全体はしばらく厳しい状況が継続するでしょうね。コロナワクチンが開発されたとしても急激に旅客数の回復は期待出来ないのではと個人的には思っています。まさにニューノーマルの世界ですね。かつての日常がそのまま戻ってくると思っていると痛い目にあう気がします。そう意味ではバフェット氏が航空株を買ってすぐに手放したというのは中長期的には正しい判断だったのかもしれません。その答え合わせは数年後ですが。

さて、ANAは本日7/29に決算発表しましたが、一方のJALの決算発表は8/3(月)に予定されています。似たような決算状況だと思われますが、財務状況には両者に違いがあるでしょうから、決算発表された比較してみたいと思いますよ。

ANAもJALも厳しい状況ですが、個人的には仕事柄よく両便を利用させて頂くので早期に回復してもらいたい気持ちでいっぱいです!

 

頑張れANA&JAL!!

 

 

ということで今回は以上です!

尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。

 

 

堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!

中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。 

 

 

先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!

  

当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。

今回も最後までお読み頂き有難うございました!

 

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