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【レオパレス21】第1四半期決算遂に発表!債務超過、そして増資へ

こんにちは!総合商社マンです!債務超過に陥ったという報道のあったレオパレス。当初8/7に予定されていて延期となっていた第1四半期決算を遂に開示です。

 

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レオパレス21が第1四半期を開示

レオパレス21が第1四半期決算を開示しました。レオパレスは3月決算会社ですので、もともと8/7に第1四半期決算発表が予定されていましたが、コロナの影響、従業員解雇の影響もあり、2回も延期していたのですね。

  • 当初予定:8/7
  • 延期1回目:9/11
  • 延期2回目:9/30

1回目の延期の理由はコロナによる在宅勤務等としていましたが、2回名の延期は希望退職募集でで、決算に従事する従業員が想定以上に退職したことで時間を要するという理由です。これだけ、かなりやばい状況であることが伺えます。

後ほど今回発表されたレオパレスの決算内容を見ていきますが、レオパレスの業績が傾き始めたのは2017年12月に放送されたガイアの夜明けで明るみになった「サブリース契約問題」からです。当初30年家賃保証を謳っておきながら10年経過するとサブリース契約を解除することを組織ぐるみで行っていたというものです。

その後もガイアの夜明けのスクープは続き、「施工不良問題」まで明るみに。屋根裏の防火壁が設置されていなかったり、それを指摘されてからも調査が遅々として進まない等、企業のずさんな対応が問題になったという流れです。この一連の問題で1万4,443人もの入居者に転居を求めていますし、入居者側からしたらたまったもんじゃないですよね。まさに不祥事のオンパレードといった状況だったわけです。

さて、そんなレオパレスが債務超過に陥ったという報道が数日前に流れましたが、本日米投資ファンドのフォートレス・インベストメントグループが約600億円の出資・融資をするという情報も流れ、前日比20%超えの爆上げとなっています。

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◆最新株価指標(20/9/30)◆

株価:191円(前日比+34円、+21.66%)

PER:-

PBR:35.77倍

年初来高値:423円

年初来安値:147円

配当利回り:0% 

 

なかなかエキサイティングな銘柄ですね。笑

そして、後場が閉まった後にレオパレスが正式に米投資ファンドから総額約570億円の資金調達を発表しましたね。内訳は以下の通りです。

 

総額570億円の資金調達内訳

  • 普通株式による増資で120億円
  • ファンドからの融資で300億円
  • 子会社のレオパレスパワーが優先株で150億円の増資。

ひとまず増資&融資で倒産は免れ、株式市場は素直に好感したという流れですね。

ということで、実際どのような決算の状況になっているのかを、レオパレス発表のIR資料から見ていきたいと思います!

 

第1四半期決算概要

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 レオパレスの第1四半期決算概要です。

損益計算書

第一四半期の損益計算書を見てみましょう。こちらの決算ハイライトをご覧ください。青く塗りつぶされた部分が第1四半期決算の数値です。

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※レオパレス決算資料から抜粋

ポイントを箇条書きします。

  • 売上高は前年比▲8.2%1減収の1,039億円。
  • 営業利益は前年比約2倍悪化の▲68億円。
  • 営業利益率は前期比2.8%悪化したものの計画比では+0.6%と改善。
  • 当期純利益は前年比2.5倍悪化の▲141億円。計画比でも▲30億円の悪化。

なかなかひどい決算状況ですが、営業利益率の改善は損失引当金の戻り入れとコスト削減によるものだそうです。

ここまで当期純利益が悪化している主な要因は保有不動産の減損(▲37億円)、補修工事損失(▲19億円)、退職特別金(▲24億円)といった特別損失が発生したことによるものですね。 

 

財務状況

続いて気になる財務状況を見てみましょう。こちらのバランスシートをご覧ください。

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  • 手元現預金は3月末605億円だったものが6月末は▲184億円減少し420億円。
  • 純資産額が20年3月末時点は16億円のプラスだったものが▲118億円とマイナス転落。
  • 自己資本比率は前年同時期は+0.7%だったものが▲6.9%とマイナス転落。
  • つまり、債務超過に転落。

やはり事前の報道にあった通り、債務超過に転落していることが分かります。減収減益、特損も発生しており、3月末時点の自己資本比率が既に0.7%だったことを考えると驚きではないですが。

ただし、冒頭書いたように米ファンドからの増資及び融資により、この債務超過を解消する見込みとなっています。

 

キャッシュフロー

続いてキャッシュフローを見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。

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水色が前年同期、灰色が前年通期、青色が今回の1Qの数字ですね。

  • 営業キャッシュフローは前年に引き続き赤字の▲151億円。
  • 投資活動によるキャッシュフローは▲12億円。
  • 財務キャッシュフローは▲19億円。

なかなか恐ろしいキャッシュフローです。何が恐ろしいかというと、キャッシュが全く稼げていない(営業CF)状況で、成長のための投資も出来ておらず(営業CF)、さらに借入も出来ていないどころか返済で資金流出している(財務CF)状況だからですね。このスライドの右側を見てもらうと現金残高が右肩下がりで減少しているのが分かります。

 

今後の計画

レオパレスの今後の業績見通し、計画を見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。

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青塗部分が今期の業績見通しですね。

  • 21年3月期の当期純利益は▲80億円の赤字。1Qで既に▲141億円の赤字であることから2Q以降は黒字決算を出していく計画。
  • 22年3月期の当期純利益99億円の黒字決算転換。
  • 23年3月期は191億円まで当期純利益を成長させる計画。

いわゆるV字回復を狙っていくということのようです。どのように達成していくのかがきになるところですね。詳細は割愛しますが、ポイントが纏めらえているスライドがあったので、こちらをご覧ください。

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  1. 事業基盤の再構築(選択と集中)
  2. 構造改革
  3. 社会的信頼の回復

この3つを掲げています。一つ目については多角化から、賃貸事業における収益強化を目指すという方針。二つ目についてはリストラとガバナンス改革。三つ目については施工不備問題解決の確実な遂行とのこと。

これをどうとらえるかは人それぞれ違うと思いますが、特に3点目の信頼回復は言うは易しで、一度失った信頼を取り戻すことほど難しいものはありません。

また気になったのは賃貸事業に集中させるという点。ここがまさに不祥事が発生した部分だと思うのですが、今からレオパレスで不動産投資始めようと思う人いるのかな?という素朴な疑問を個人的には持ちました。

当記事ではあくまで概要だけ抜粋しただけですので、詳細はレオパレスのIRページの資料をご覧くださいね。

 

最後に:信用&回復出来るか!?

 レオパレスは過去に数多くの不祥事を起こしたことで、正直信用は地に落ちている状況といっても過言ではないと思います。今回不動産ビジネスに知見のある米ファンドによる支援を受けられたわけですが、今回発表した2023年3月期に190億円程度の黒字にまでV字回復させられるかどうか、いち個人投資家として非常に興味ありますね。

業績回復はもちろんのこと、施工不良で被害を被った不動産オーナーへの補償や改修作業の一日も早い実現を期待したいと思います!

 

尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。

 

 

堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!

中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。 

 

 

先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!

 また、三菱商事を例に挙げて企業分析方法を学べる現役銀行員のたりたり社長という方が書いた良書もありおススメですよ!

 

 

ということで今回は以上です!当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。

今回も最後までお読み頂き有難うございました!

 

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