こんにちは!総合商社マンです!日産が2020年度第1四半期の決算発表を行ったよ!年間見通しも発表し巨額赤字転落、無配転落です!!
日産が2020年度第1四半期決算を発表
日産が本日7/28に20年度第1四半期の決算発表を行いました。日産は2019年度決算で巨額の減損引き当てを行い▲6,712億円という巨額の赤字に転落をしたことは記憶に新しいかと思います。
ゴーンショックの最中のコロナショックと、まさに泣きっ面に蜂状態の日産が今回どのような決算を出したのか、日産の決算説明資料を眺めながら見て行きましょう。
日産の2020年度第1四半期決算概要
日産の2020年度第1四半期決算の概要を早速見てみましょう。
定量実績
まず定量実績を見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。
ポイントを箇条書きします。
- 売上高は前年比半減。
- 営業利益は前年16億円だったものが▲1,539億円と大幅赤字に転落。
- 当期純利益は前年64億円だったものが▲2,856億円と大幅赤字に転落。
- フリーキャッシュフローは前年▲3,855億円から▲8,157億円に悪化。
なかなか酷い状況ですね。大幅赤字→キャッシュの流出が激しい状況です。
販売実績
販売台数を纏めたスライドがこちらです。上段を見れば良いかと思います。
左側が全需、右側が日産の販売台数ですね。
ポイントを箇条書きします。
- 世界の全需は前年比▲44.5%減少
- 日産の販売は▲47.7%減少
- 中でも北米は全需が▲36%減少する中で日産は▲50.8%と苦戦。
- マーケットシェアは全世界で5.5%から5.2%に悪化。
こんな感じ。北米だけ取り上げましたがその他市場でも日本・欧州も苦戦、中国は全需より販売伸ばしたという感じですね。厳しい状況が伺えます。
営業利益詳細
営業利益の詳細を見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。
このスライドは昨年度1Qの営業利益と今期の営業利益の差を要因別に分けて説明したものです。理由は非常にシンプルで販売台数が減少したことが最大の要因ですね。
- 販売減により▲2,322億円減益要因。
- コストカットを732億円(販売コスト359億円+固定費削減373億円)実施。
- 販売減を補え切れず赤字転落。
やはり自動車メーカーのような多くの設備を持っていると固定費が多くかかるので、販売の急減へのコストカットの機動力は無いですね。そういうビジネスモデルなので仕方がない面はありますが。
流動性の状況
流動性の状況を見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。
- ネットキャッシュは2,352億円。前年は1兆円あったので急減している状況。
- この資金減少対策として、社債発行や銀行借入で対応。
- 現時点で未使用のコミットメントラインは約1.9兆円。
売上急減によりキャッシュフローが急激に悪化している状況ですね。ネットキャッシュの減少具合が半端無いですが、銀行からのコミットメントラインが潤沢にあるのですぐにおかしな状況になるということは無いかもしれません。ただし、注意は必要です。
2020年度年間業績見通し&配当予想
2020年度の年間業績見通しも発表されましたので見てみましょう。これがまたエグイです。こちらのスライドをご覧ください。
ポイントを箇条書きします。
- 販売台数は前年比▲16.3%減少、売上は▲21%減少。
- 営業利益は前年▲405億円から▲4,295億円へ悪化。
- 当期純利益は巨額減損引き当てをした昨年の▲6,712億円とほぼ同じ▲6,700億円。
やばいです。やばたんです。
昨年度決算で構造改革費用として巨額減損の引き当てを行って赤字に陥ったのと同じ額の赤字に2年連続陥っています。
そしてこれは全く驚きでは無いですが、配当は今期は見送りとなりました。
ま、当然ですね。経営危機でキャッシュフロー大赤字の中で銀行からコミットメントラインも設定してもらい、という状況の中で配当なんか出したらコミットメントライン引き上げられちゃいますからね。笑
最後に:「泣きっ面に蜂」という言葉は日産のためにある
今回日産の20年度第1四半期決算を見てきましたが、予想通り目も当てられない決算状況となっています。そしてなによりすごいのが2年連続で▲6,700億円の巨額赤字という点ですね。
ゴーンショックで苦しんでいるさなかにコロナショックという状況で、「泣きっ面に蜂」という言葉は日産のために存在している、そんなような状況となっています。
全く笑えませんね。。。
日産は2019年度決算発表時に新中期経営計画「NISSAN NEXT」を発表して動き始めています。以下はその中計の定量目標スライドの抜粋です。
金額的な目標はなく、「マーケットシェア6%、営業利益率5%」という数字だけですね。リストラ(事業再構築)を進めて固定費の削減を進めることを謳っていますが、どうなることやら。
自動車産業はEVやMaaS(Mobility as a Service)といった流れが進み、過去のビジネスモデルが成り立たなくなってきている状況です。それに対応するためにはそれなりの投資が必要でしょうし、本当に日産にその投資余力があるのか疑問符がつきます。
個人的には現在日産の社長の内田氏がもともと双日と商社出身の方ですし、こういう経営危機の時に矢面に立つ人が真の経営者だと思っているので、応援しています。株は買いませんが(笑)、今後の日産の経営改革がどう進むのか、注目したいと思います!
ということで以上です!頑張れ日産!!
尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。
堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!
中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。
先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!
当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。
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