こんにちは!総合商社マンです!今回は総合商社各社の従業員数から各社の特徴を見てみたいと思いますよ!
従業員数とは?
従業員数という言葉には二つの意味があります。一つは「単体の従業員数」、二つ目は「連結の従業員数」。前者は総合商社傘下の子会社は含まない純粋な総合商社だけの従業員数で、後者は傘下の子会社も含んだ従業員数という意味ですね。
今回は総合商社各社のこの2種類の「従業員数」を見ていきます。結構面白い面が見えてきますよ。
一応言っておきますが、この記事は「どこの商社が優れている!」とかそういうことを論評したいわけではなく、各社がどういう人員構成でビジネスをしているのかを考察しているという内容ですので悪しからず。
さて、総合商社各社の従業員数って何人いるか?こう問われた時に答えられる人はそんなに多くないでしょう。だって、興味ないですからね。笑 投資家からしたら利益だしゃーいいんだよって話ですね。笑 ただ、この従業員数に焦点を当てることで総合商社各社の特徴が見て取れますのでお付き合いください。笑
ということで早速参りましょう!
総合商社の単体従業員数&業績
総合商社の従業員数を見ていきましょう。まず単体です。以下表は各社2020年3月末時点の単体従業員数と、2019年度の連結当期純利益、そして連結当期純利益を従業員で割った一人当たりの利益です。表は単体人員が多い順に並べてみました。
ポイントを箇条書きします。
- 業界トップと"一応"(笑)言われている三菱商事が最も多い5,882人。
- 次いで2位に三井物産がランクインし5,676人。
- 3位に住友商事で5,207名。ここまで上位3位を財閥御三家が占めている。
- 次いで4位に2019年赤字だった丸紅4,404名でランクイン。
- 今期業績1位予想の伊藤忠は従業員数では5位の4,319名。
- 豊田通商が3,439名で6位、双日が2,460名で7位と続く。
従業員数にフォーカスすると上記の通りで、財閥が上位を押さえる一方、業績2位の伊藤忠は従業員数では5位ですね。
続いて右側の一人当たり利益に注目してみます。金銀銅の王冠を付してみましたが、一番一人当たり利益が多い順につけてみました。
- 従業員数で5位だった伊藤忠が一躍一位に躍りでて1.16億円。
- 次いで単体従業員数トップの三菱商事が利益面では2位となり0.91億円。
- 次いで単体従業員数2位だった三井物産は利益面では3位の0.69億円。
上位3社でも結構開きがありますね。赤字の丸紅は置いておいて(笑)住商、豊通、双日になると一人あたりの利益が一気に減少して0.3億円前後となります。
これを見ると「おー、伊藤忠の一人が稼ぐ力すごいやん!」という声が聞こえてきそうですが、連結従業員数でみるとまた景色が変わってきますよー。
総合商社の連結従業員数&業績
続いて総合商社各社の連結従業員数を見てみましょう。先ほどと同じで連結従業員数が多い順に並べつつ、当期純利益から一人当たりの利益を記載してみました。
お、ちょっと景色が変わりましたね。ポイントを箇条書きします。
- 単体従業員数では4位だった伊藤忠が連結では断トツの128,219名のトップ。
- 単体1位だった三菱が2位にランクインし、86,098名。
- 3位、4位、5位に住友商事、豊田通商、丸紅がランクイン。
- そして単体2位だった三井物産が連結では6位に登場し45,624名。
- 単体連結共に双日が7番手に登場。
単体とはだいぶ景色が変わりました。特に伊藤忠の連結従業員数の圧倒的な多さと、三井物産の連結従業員数の低さが際立っていると思います。
利益面に目を向けてみましょう。
- 単体では3位だった三井物産が連結での一人当たり900万円で1位。
- 次いで単体2位だった三菱商事が連結でも2位となり600万円。
- そして単体1位だった伊藤忠が400万円で3位にランクイン。
これまた単体とは景色が大きく変わりましたね。単体で見ても連結で見ても利益面では三菱商事、伊藤忠商事、三井物産が一人当たりの稼ぐ利益が大きいことが分かりました。
ここから何が言えるのでしょうか?次に纏めてみます。
まとめ:ビジネスモデルの違いによるもの
それでは最後に総合商社の従業員数と利益面から見えた特徴をまとめてみます。
端的に言ってしまえば以下の違いですよ。
- 三菱・三井は資源関連の比重が大きく、利益が大きい割に多くの連結人員を抱えることなくビジネスを行っている(重厚長大ビジネスの典型)。従い、単体、連結いずれにおいても比較的一人当たりの稼ぐ力が大きい。
- 伊藤忠は単体は小さい組織にする一方、数多くの子会社を抱えて小規模ビジネスの積み上げで儲けている会社。従い、単体で見ると一人あたり利益は大きくでる一方、連結で見ると一人あたりの稼ぐ利益は小さい。
- 住友商事・丸紅・豊田通商・双日はその中間のイメージ。
ざくっとまとめるとこんな感じ。
例えば 三菱商事や三井物産はよく会社紹介の写真でも見かけるような鉱山の資源権益ビジネス案件を多く抱えており、1案件のビジネス規模も大きくなりがちです。そうしたビジネスは連結では従業員数は多く抱えずに利益を生み出しやすいビジネスなのです。
一方、伊藤忠はファミリーマートやドールといったリテール寄りのビジネスが大きく、リテールの場合は従業員を多く抱える傾向にあるのですね。
これはどちらが良い悪いということではなく、会社によって注力するビジネスモデルの違いがこうした単体・連結従業員数の差を生んでいると考えれば良いのかなと思いますよ。
こうして色々な観点から見ると各社の様々な顔が見えてきますね!
尚、今回の考察は2020年3月期決算の業績ベースで行いましたので、コロナ禍で各社業績悪化するとまた違う景色が見えてくるかもしれませんね。
今回の従業員数から見た総合商社業界の状況が少しでも皆さんの理解のために役に立てば幸いです!
尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。
堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!
また、三菱商事を例に挙げて企業分析方法を学べる現役銀行員のたりたり社長という方が書いた良書もありおススメです。
ということで以上です!
当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。
今回も最後までお読み頂き有難うございました!
面白い・有益だと思った方は、Twitterや『はてブ』↓↓↓ぽちっと拡散頂けるととても喜びます!!