こんにちは!総合商社マンです!今日は総合商社各社の社長メッセージを見てみるよ!
総合商社の新入社員向け社長メッセージ
総合商社各社は例年4月1日の新入社員の入社に合わせて社長がメッセージを出しますよね。この新入社員向けメッセージはプレスリリースに掲載されるので、実は新入社員に対してのメッセージに加えて対外的なメッセージも含まれているのです。
そこでコロナショックの最中、今年は総合商社各社の社長がどのようなメッセージを出したのか見ていきましょう!今後の行く末を予想するヒントが含まれているかもしれませんよ!
全文掲載するととても長くなってしまうので、今回のコロナショックが業績に与える影響に関してヒントがあるかなと思った部分のみ抜粋して記載します。全文見たい方は各社のURL記載しておりますのでそちらをご参照ください!
三菱商事
まず初めに業界の王者、三菱商事の垣内社長メッセージです。
---前略---
(外部環境認識と変化への対応力)
幸いなことに、わが社は足元の混乱や不安に対し、すぐに右往左往する状況にはありませんが、わが社を取り巻く外部環境認識について簡単にふれたいと思います。
世界の二大大国である米国と中国の間では、経済・軍事・デジタル分野に加え、イデオロギーも含めた覇権争いが継続しており、米中間の構造的な摩擦は長期化すると考えます。新型コロナウイルスの世界的蔓延が更なる混乱を引き起こしており、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災が引き起こした影響を上回る深刻な危機が訪れています。今後の世界情勢を見通すにあたっては、地政学的リスクを様々な角度から分析し、複数のシナリオをもって柔軟に対応していく必要があります。
---後略---
具体的な言及はさほどありませんでした。 現在の混乱に対してすぐさま右往左往する状況に無いという点くらいですかね。三菱商事は内部留保も分厚く、確かに頑丈な財務基盤があるので不安はありませんが、今期減損どの程度なのかが気になります。私的には去年子会社化で支援した千代田が原油価格下落でLNG価格も落ち込んでいるので、そのあたりが火を噴かないかが懸念材料としてあります。
【三菱商事:社長メッセージ全文】
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/pr/archive/2020/html/0000039665.html
伊藤忠商事
続いて伊藤忠商事の鈴木社長です。
---抜粋---
伊藤忠商事は、ここ10年に亘り、素晴らしい業績を継続しています。2018年度には初めて連結純利益5,000億円超を達成し、2019年度においても、第3四半期までの累計で、史上最高となる4,267億円を達成しています。
しかしながら、今年2月から拡大した新型コロナウイルスが、わずか2ヵ月で経営環境を激変させています。収束時期を見通すことは難しいですが、仮に早期に収束したとしても、冷え込んだ消費マインドは簡単に戻らず、経済の停滞はしばらく続くと覚悟する必要があります。大切なことは、その間に何をするかです。会社としては、まずは、社員とその家族の健康と安全を守ること、そして、300社からなる伊藤忠グループ全体の企業活動を維持し、確りと足場固めをすると共に、先を見据えて成長への布石を打ち続けることが必要です。
---中略---
伊藤忠の経営方針は「コミットメント経営」、その鍵となるのが、伊藤忠の商いの三原則「稼ぐ」、「削る」、「防ぐ」、頭文字をとって「か・け・ふ」です。「稼ぐ」は商人の本能。「削る」は商人の基本。「防ぐ」は商人の肝としています。向こう暫くは「稼ぐ」には難しい環境が見込まれる中、まずは「削る」「防ぐ」を徹底して計画の達成を目指さねばなりません。この様な厳しい経済環境こそ、伊藤忠のコミットメント経営の見せどころです。
---後略---
伊藤忠の社長メッセージには予算達成へのコミットが力強く表現されているように感じます。特に最後の「伊藤忠のコミットメント経営の見せどころ」というところが、2019年も5,000億円の予算達成しちゃうの???という期待を寄せてしまいます。笑
ただ先日のブログ記事でも記載したように伊藤忠にはCITICという爆弾を抱えています。この処理をどうするのか、個人的に注目です。CITIC記事を参照したい方はこちらからどうぞ!
【伊藤忠商事:社長メッセージ全文】
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2020/200401.html
三井物産
続いて三井物産の安永社長ですが、特にヒントはありませんでした。先日の減損にも触れず淡々とした新入社員向けメッセージです。
【三井物産:社長メッセージ全文】
https://www.mitsui.com/jp/ja/release/2020/1231078_11207.html
住友商事
続いて住友商事の兵頭社長ですが、三井物産同様、特に言及する項目はありません。
【住友商事:社長メッセージ全文】
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/topics/2020/group/20200401
丸紅
続いて丸紅の柿木社長です。
---前略---
既に報道などでご存知と思いますが、巨額の減損損失等の発生を見込んで2019年度の業績見通しを下方修正し、▲1,900億円の赤字決算となる見通しです。将来の懸念を払しょくして、成長戦略の実行に専念していくためにも、今年度以降へ不安要素をなるべく持ち越さない規模での減損見込みとなったわけです。
ビジネスの先行きが見通せない危機モードの中でも、地に足をつけて、やるべきことを着実に実行していくこと、そして、今後市場が落ち着いた後、より良い結果につなげていくよう、全社一丸となって取り組む必要があります。
---後略---
御覧の通り、先日の減損による1,900億円の赤字転落について触れています。
詳しくは以下記事をご参照。
この社長メッセージを見る限り、2019年度中に懸案は処理をして2020年以降V字回復を狙っているようです。ただし、コロナの状況がいつまで続き、どう影響するのか見えない中でV字回復が狙えるのかがポイントですね。↑の丸紅の減損について書いた記事でも触れましたが、丸紅の今回の原油に関する減損は前提を39ドルで置いています。それよりも低い価格で原油が推移するとなると、さらなる減損がありうることは念頭に入れておきましょう。
【丸紅:社長メッセージ全文】
https://www.marubeni.com/jp/news/2020/release/00007.html
豊田通商
豊田通商の貸谷社長メッセージについては特段言及する項目はありません。ただし、豊田通商はかなりのウエイトを豊田自動車関連のビジネスが占めていますが、豊田が世界中の工場を停止していることを鑑みるとかなりのインパクトがあるものと推測します。今期の数字がどのレベル感で出てくるのか注目です。
【豊田通商:社長メッセージ全文】
https://www.toyota-tsusho.com/press/detail/200401_004590.html
双日
最後に双日の藤本社長ですが、なんと双日だけ社長メッセージのプレスリリースありませんでした。笑 これも企業のキャラクターですかね。今後掲載されるかもしれませんが、掲載されたらアップデートします。
4/2追記
4月2日に双日もプレスリリースして掲載していたので以下ご参照。特段決算に関するヒントは無い挨拶となっています。
https://www.sojitz.com/jp/news/2020/04/20200402.php
総合商社・各社の特徴まとめ
総合商社各社の新入社員向けメッセージを見ていかがでしたでしょうか?ここでも結構各社の特徴が色濃く出ていますよね。やっぱりこういう対外的向けにメッセージを出すのが上手いのは伊藤忠かなと感じました。
既に丸紅・三井が減損発表しましたが、近いうちに他社も続々と出していくと私は思っています。発表されたら適宜ご紹介させて頂きます!
今回も最後までお読み頂き有難うございました!