こんにちは!総合商社マンです!総合商社の配当方針まとめましたよ!!
総合商社株は買って大丈夫なのか?総合商社が高配当株である理由。
総合商社株は買って大丈夫なのか?総合商社株は良く配当利回りが高いこと(高配当)で話題になります。配当利回りは「配当額÷株価」で導き出されますので、配当利回りが高い=配当の額に対して株価が割安で放置されているということになります。
その理由でよく言われるのがコングロマリットディスカウント(Conglomerate Discount)によるものです。なんやら難しい単語に聞こえるかもしれませんが、要は色々なビジネスがあり過ぎて全体像が見えにくく、その分市場から評価されにくい状態のことを指します。確かに総合商社は「ラーメンからミサイルまで」と言われるように多種多様なビジネスを営んでおり、お恥ずかしながら総合商社で働いている私でも他部門のビジネスのことは十分に理解出来ていなかったりします。
ということは外部の方からしたら尚更ですよね。そうしたこともあり株価が安く放置され、配当利回りが高い状態となっているのです。
ちなみに本記事を執筆時点最新の総合商社各社の配当利回りは以下となっています。
【2020年3月27日終値/高利回り順】
- 双日6.37%
- 住友商事6.00%
- 丸紅5.92%
- 三菱商事5.36%
- 三井物産4.92%
- 豊田通商4.36%
- 伊藤忠商事3.63%
ばらつきはありますが総じて高利回りになっているのが分かりますね。
そんな総合商社株ですが高配当株好きの投資家にはけっこう人気だったりします。かくいう私も総合商社株は好きで、保有株のメインに据え置いています。ただ、高配当株の一番恐ろしいのは「減配や無配に転落することです」。
減配や無配になったら「配当は減るわ、株価も下がるわ」で目も当てられませんからね。笑 そこで今回は総合商社各社の配当方針を確認し、各社の配当に対する考え方を整理してみたいと思います!
総合商社・配当方針まとめ
三菱商事
まずは業界の王者・三菱商事の配当方針を見てみましょう。2018年11月に発表された現在の中期経営計画2021にはっきりと書かれています。
- 配当は累進配当を継続し、配当性向は現在の30%から将来的に35%程度に引き上げていくことを目指す。
参照元:三菱商事ホームページ
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/about/plan/
なかなか株主にとっては頼もしい言葉が並んでいます。まず注目したいのが「累進配当」という言葉。これは現在の中期経営計画期間である2021年度まで、つまり2022年3月期まで毎年増配をしていきますという宣言になります。
そして累進配当に加え、配当性向も30%から35%に引き上げるという目標を掲げています。現在の世界経済状況を鑑みると利益を大幅に増やしていくことは難しいでしょうから、累進配当をしていれば自ずとこの配当性向には達してしまう気はします。笑
こちらは2015年度以降の配当実績及び2019年度の配当見通しが記載されています。 2015年以降増配継続していますね。三菱商事は現在の中期経営計画2021を発表した際、この中計の最終年度である2021年度の利益目標を9,000億円、配当を200億円と公言しています。現在の2019年の配当が上記の通り132円を予定しているので、如何に高い目標が設定されるかお分かりになるかと思います。これは私の予想ではありますが、この中期経営計画は2018年11月2日に発表されたものなので、今回のコロナショックの影響を鑑みるとこの利益目標並びに配当額の達成は恐らく無理でしょう。ただ、三菱商事のキャッシュフロー、利益剰余金及び自社株買いによる発行株数の減少を鑑みると、宣言済の累進配当は私は維持するのではと思っています。
伊藤忠商事
次に純利益業界2位の伊藤忠商事の配当方針を見てみます。これについては2018年10月1日に配当方針を発表しホームページ上で公表しています。
- 配当性向の段階的な引き上げ
将来的に配当性向を30%目途とすべく、段階的な引き上げを実施します。 -
自己株式取得の更なる積極活用
1億株程度を目途として、キャッシュフローの状況等に鑑み継続的に実施します。
尚、今後の取得余力を創出するため、2018年10月19日に自己株式消却(0.78億株)を実施しました。
参照元:伊藤忠商事ホームページ
https://www.itochu.co.jp/ja/about/plan/index.html
https://www.itochu.co.jp/ja/ir/shareholder/dividend/index.html
伊藤忠商事も三菱商事同様に累進配当及び配当性向の引き上げを宣言しています。こちらもまた株主にとっては頼もしい配当方針だと思います。
これは2012年度以降からの伊藤忠商事の配当実績ですが毎期増配を継続しているのが分かりますね。今回のコロナショックの影響がどう出るか分かりませんが、私の個人的な予想としては累進配当を方針として掲げている中で2019年度決算は減損はあるかもしれませんが減配は無いと思います。また2020年度も累進配当を宣言しているので、名物の岡藤会長のキャラクターを考えると来期も増配を目指してくるでしょう。
ちなみにここまでに紹介をした三菱商事と伊藤忠商事は純利益だけでなく、時価総額についてもデッドヒートの競争を繰り広げています。まだ見ていない方は以下の記事をどうぞ!
三井物産
続いて三井物産の配当方針を確認してみましょう。三井物産の配当方針を探すのに意外と手古摺ったのですが、三井物産HP内のCFOメッセージ及び個人投資家向け資料に記載がありました。
- 2020年3月期は1株当たり80円を配当の予定です。引き続き業績の向上を通じた配当金額の継続的な増加を目指すことを基本に、今後の事業計画の進捗に応じて、柔軟な追加株主還元を図ることも検討していくとともに、2020年3月期ROEの10%達成ならびにさらなる向上のための諸施策を継続していきます。
参照元:三井物産ホームページ
https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/annual/chapter2/cfo/index.html
三井物産は税後利益に対する配当性向何%という考え方はしておらず、基礎営業キャッシュフローに対する総還元性向という尺度を使っています。またこれは配当+自社株買い合計での還元性向なので、一般の個人投資家には少々分かりにくいですね。笑
ちなみに三井物産は2020年3月期までの中期経営計画では配当の下限を設定しています。つまり利益に関わらず、この配当額は保証しまっせ、というものですね。但し、三菱・伊藤忠がしている累進配当の宣言はありません。というか日本企業の中で累進配当を宣言している企業がそもそも珍しく、三井住友FG等数社しかいません。
先日三井物産は今期の決算で500-700億円程度の減損を発表しましたが、配当は維持する見通しも合わせて発表しました。ここで配当下限保証というのが効いたわけですね。
住友商事
続いて住友商事の配当方針を見てみましょう。
- 連結配当性向30%程度を目安に、基礎収益やキャッシュフローの状況等を勘案の上、配当額を決定。
参照元:住友商事ホームページ
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/ir/stock/information
シンプルで分かり易いですね。ずばっと配当性向30%程度が目標となっています。住友商事は特に累進配当も配当下限保証もしていませんので、利益が減れば配当が減る可能性もあります。ただし、上記の図を見てもらうと分かる通り2014年度に赤字決算となった時は前年同額の配当を維持しています。これはポイントが高いです。さすがにリーマン後は浮き沈みがあり減配していますが、今回のコロナショックがリーマン並みとなるともしかすると同様に住友商事は減配するリスクはあるかもしれません。
丸紅
続いて先日大きな減損を計上し、赤字転落することを発表した丸紅を見てみましょう。
※丸紅の赤字転落については以下記事をご参照ください!
- 2020年3月期から2022年3月期までの中期経営戦略期間における配当につきましては、各期の業績に連動させる考え方に基づき、連結配当性向25%以上、かつ各年度の期初に公表する予想配当金を下限とすることを基本方針とします。
参照元:丸紅ホームページ
https://www.marubeni.com/jp/ir/stock/dividend/
丸紅もシンプルですね。配当方針のページに特にプレゼン資料もありませんでした。笑 配当性向25%以上が基本、つまり利益が減ればそれに連動させて配当も減る可能性があります。ただし、期初に公表する予想配当金は下限保証するのが方針ということなので、基本的に期中の減配はしないということですね。
豊田通商
続いて豊田通商の配当方針です。
- 連結配当性向25%以上を基本方針とし、安定的な配当の継続並びに1株あたりの配当の増額に努めていく
参照元:豊田通商ホームページ
https://www.toyota-tsusho.com/ir/individual/dividend/
豊田通商も非常にシンプルですね。特に下限・累進は宣言していないので利益に合わせて配当が増減する可能性があります。
双日
最後に双日の配当方針です。
- 当社は、株主の皆さまに対して安定的且つ継続的に配当を行うとともに、内部留保の拡充と有効活用によって企業競争力と株主価値を向上させることを基本方針とし、経営の最重要課題と位置付けています。2018年4月にスタートした3か年計画「中期経営計画2020」では、この基本方針の下、連結配当性向30%程度を基本としています。
参照元:双日ホームページ
https://www.sojitz.com/jp/ir/stkholder/stkholder/
双日もシンプルに配当性向30%程度を方針としており、累進配当も下限保証もありませんので利益の変動で減配リスクは高いと思います。
総合商社の配当性向・累進配当・下限保証まとめ
総合商社の配当方針を見てきましたが、各社色々癖があるのが分かったかと思います。色々書いてありましたがシンプルに纏めると以下の通りです。
累進配当 | 下限保証 | 配当性向 | |
三菱商事 | 〇 | 〇 | 30-35% |
伊藤忠商事 | 〇 | 〇 | 25-30% |
三井物産 | × | 〇 | NA(※1) |
住友商事 | × | × | 30% |
丸紅 | × | ▲(※2) | 25% |
豊田通商 | × | × | 25% |
双日 | × | × | 30% |
※1: 基礎営業CFに対する還元性向のみ公表 | |||
※2: 期中の減配はしない。 |
如何でしょうか。私的には三菱商事と伊藤忠の配当方針には結構安心感があるかなと思っています。 高配当株は利回りが非常に魅力的ですが、減配こそ最大のリスクと言えます。これは特に総合商社に限った話では無いですが、単純に利回りだけで購入するのは非常に危険です。各社の配当方針やCFの状況等をしっかり理解した上で投資をする判断をするようにしましょう!
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