こんにちは!総合商社マンです!伊藤忠商事が20年度第3四半期の決算発表したよ!巨額減損発生も業界1位はほぼ確実か!?
伊藤忠商事が20年度第3四半期決算を発表
伊藤忠商事が2/4の場中に2020年度第3四半期の決算発表を行いました。伊藤忠商事は今期業績予想を総合商社トップの4,000億円に設定しており、2位の三菱商事の2,000億円を大きく引き離している状況です。
2Qの進捗率は63%と好調に推移しており、今期王者三菱商事を抜き去り1位になることはほぼ確実な状況でした(三菱商事は2,000億円の予想)。
先日社長交代も公表され、来期から始まる中期経営計画の概要も発表した伊藤忠商事の3Q決算を、伊藤忠が公表した決算資料から見ていきたいと思います!
※当記事内掲載のスライドは全て伊藤忠商事の決算公表資料の抜粋です。
20年度第3四半期決算概要
伊藤忠商事の20年度第3四半期決算の概要を、伊藤忠商事が公表した決算資料から見ていきたいと思います。
まず決算概要です。こちらのスライドをご覧ください。
ポイントを箇条書きします。
- 当期純利益は前年比▲624億円(▲14.6%)減益の3,643億円。2Q時点は▲12.6%減益だったので、減益率が悪化。
- 年間利益予想4,000億円に対しての進捗率は91%。
- 当期純利益3,643億円の内、一過性損益は+430億円。
- 実質営業キャッシュフローは前年比▲350億円減収の4,170億円(2Q時点は▲590億円減収)。
年間予算4,000億円に対する進捗率は既に91%に到達している状況ですが、今回上方修正はありませんでした(詳細後述)。四半期毎の基礎収益に関しては3Q単体で1,185億円となり、これは過去最高だったようです(伊藤忠はほんと「過去最高」という言葉が好きですね)。
利益面についてもう少し詳しく見ていきます。
こちらのスライドはセグメント別の前年比較です
細々としているのでポイントを箇条書きします。
- 3Q実績の当期利益3,643億円の内、非資源は2,865億円。非資源比率は80%(前年並み)
- 前年同期比で増益となったセグメントは「食料」「情報金融」のみで、それ以外のセグメントは前年比減益。
- 一方、対予算進捗率では「エネルギー化学品」が100%超え、金属も96%に到達。一番低迷しているのは「住生活」の44%。
好調不調それぞれ存在しているようですが、2Qに続いて一つも赤字のセクターが無いという状況は伊藤忠の強さを物語っているかもしれません。
続いて一過性損益(減損等)の発生状況を見てみます。こちらのスライドです。
2Q時点で495億円の一過性利益が出ていましたが、今回の3Qではそれが430億円に減少していますが、減損どころか一過性の利益が出ている状況に変わりはありませんね。利益が減ったのはファミマ関連で減損があったようです。
後ほど触れる巨額減損計上を発表したコロンビア案件がここに出てきてこないので「あれ?」と思うかもしれませんが(正確には▲40億円が含まれている)、既に連結決算から外していることが要因のようです(後ほど触れます)。
キャッシュフロー
伊藤忠商事のキャッシュフローを見てみましょう。こちらのスライドをご覧ください。
ポイントを箇条書きします。
- 営業CFは前年比▲214億円減収の5,984億円(2Q時点では▲267億円減収)
- 投資CFは前年比▲307億円の▲1,824億円。
- その結果フリーCFは前年比▲521億円減収の4,160億円。
- 一方、営業CFから運転資金・リース会計の影響を除いた実質フリーCFは前年比▲2,300億円減収の370億円。
キャッシュフローは特に問題無さそうですね。実質フリーキャッシュフローが大きく減少していますが、ファミマ取得でキャッシュアウトしたことが要因で、悪化しているという状況ではなさそうです。
CITICの取り込み利益状況
伊藤忠が出資をしている中国国営企業CITICの取り込み利益の状況についても見ておきましょう。よくこのCITIC案件が伊藤忠商事のリスクとして語られますからね。こちらのスライドをご覧ください。
赤枠は私が付け足したものですが、これがCITICの取り込み損益の部分です。
- 3Q時点のCITIC取り込み利益は459億円と前年比▲65億円(▲18%)と減益。
- 今期年間では620億円の利益取り込みとしており、進捗率は74%(2Q時点では56%)。
2Qよりも3Qのほうが進捗率が悪化している点はちょっと気になりますね。
またCITICは香港に上場している企業なので株価も見ておきます。
※Bloombergから引用
これは1年間のチャートになりますが、前回2Q決算発表があった11/4時点では5.78香港ドルだった株価は現在6.00香港ドルとなっています。2020年1月は10.42香港ドルだったので株価が戻ってきていない状況であることが分かりますね。この点も注意は必要です。
20年度年間業績&配当予想
伊藤忠商事の20年度年間業績予想及び配当予想も見ておきましょう。
結論をいうと今回業績予想4,000億円、配当予想88円からから変更なしです。3Q時点の進捗率が91%に達しているにもかかわらずです。その理由は決算発表に合わせてプレスリリースされたコロンビアでの石炭ビジネスにおける巨額減損が原因かなと思いましたがどうやら違うようです。こちらをご覧ください。
※伊藤忠プレスリリース資料抜粋
- コロンビア炭鉱と輸送インフラ事業の持ち分を全量売却。
- この結果特別損失886億円を計上。ただしこれはFVTOCI資産で処理。
- 年間業績予想4,000億円に変更なし。
今の時代の潮流であるSDGsへの貢献・取り組み強化の一環で資産整理を行ったようですね。ただ、ここにも記載されている通り、FCTOCI金融資産で処理とあるので、PLにそのままヒットするわけでないということですね(包括利益で処理してPLを通さないということです)。
そうすると、上方修正をしなかった理由はなんなのか、、、4Qでなんらかの減損を想定している可能性がありますね。
配当についても見ておきましょう。こちらのスライドです。
- 従来通り累進配当方針を掲げて88円/年。
- 自社株買いを機動的、継続的に実行。
ここは不変ですね。配当性向は32.8%となっています。
自社株買いは現在700億円の枠の内1月末時点で100億円しかつかっていません。期限は今年の6月なので、今後実弾が投入されてくることを期待したいですね。最新の自社株買いの進捗については以下記事に書いています。
最後に:年間予算をひたすら死守
今回伊藤忠商事の3Q決算を見てきましたが、今年も伊藤忠は期初に設定した年間予算の死守をするようですね。他商社が上方修正を発表する中で面白みにかけるところはありますが、なんだかんだ株式市場で一番評価されているのが伊藤忠商事であることを考えると、年間予算の必達というのは重要なことなのかもしれません。
少なくとも2020年度はほぼ伊藤忠商事が業界1位となることが確実になってきました。現状では2位が三井物産、3位が三菱商事という順番になりそうですが、来期以降のアフターコロナの世界で各社どのような業績予想を出してくるのか、個人的に大注目しています!
さてさて、どうなることやら。今後の伊藤忠の動きに注目です!
最後に三菱商事、伊藤忠商事等の総合商社株を中心に置いた最新の私の株式投資ポートフォリオを以下記事に纏めていますので御覧ください。
少し話は変わりますが、上記記事でも公開している通り、私はポートフォリオの一部にビットコインも入れています。JPモルガンがビットコインの長期的見通しを14万6,000ドル(1,500万円程度)と発表するなど、個人的には上昇相場に乗れないリスクを意識してのことですね(もちろん下落リスクもあります)。
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ということで今回は以上です!当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。
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