こんにちは!総合商社マンです!丸紅が20年度通期の決算発表したよ!サプライズ決算で増配発表も!でも21年度決算予想はいまひとつ!?
丸紅が20年度通期決算を発表
丸紅が5/6の14;30場中に2020年(2021年3月期)通期の決算発表を行いました。丸紅は2019年度に総合商社の中で唯一赤字転落、しかも▲1,975億円という巨額赤字を計上するといった厳しい決算でしたが、今期はV字回復予想でしたね。
前回の3Q決算発表では以下の通り2Q決算時に続いて連続となる上方修正と、期初発表の配当予想を引き上げてサプライズ決算となっていました。
- 当期利益を2Q決算で1,000億円から1,500億円、3Q決算で1,900億円に上方修正。
- 配当は2Q決算で15円から22円、3Q決算で28円に上方修正。
しかも上方修正後でも3Q時点の進捗率は86%に達しており、昨年大赤字だった時から急速に回復していることを裏付ける決算だった丸紅です。果たして、この勢いが4Qも続いているのか、そして気になる21年度業績予想はどうなっているのかを、丸紅が公表した決算資料から見ていきたいと思います!
結論を先に言うと上方修正後業績予想をさらに超え、そして増配です!!
※当記事内のスライドは全て丸紅が公表した決算資料の抜粋です。
20年度通期(21年3月期)決算概要
丸紅の20年度通期(21年3月期)決算の概要を、丸紅が公表した決算資料から見て行きたいと思います。まず21年3月期業績サマリーにフォーカスします。こちらのスライドの赤枠をご覧ください(赤枠は筆者が追加したものです)。
ポイントを箇条書きします。
- 当期純利益は2,253億円となり、前回3Q上方修正した1,900億円を更に上振れ。
- 実態利益(所謂、基礎利益)は2,420億円と2019年度を上回る2,420億円。
- 基礎営業キャッシュフローはほぼ前期並みの3,696億円。
- ネットDERは大幅に改善し0.88倍と1倍割れを達成。
- 配当金は3Qで年間28円に増配したものをさらに引き上げて33円。
なんと2Q、3Qと当期利益及び配当を上方修正してきましたが、最終的にさらにそれを上振れして着地させるというアゲアゲな決算となっている状況ですね!実態利益も昨年を超えてきており、コロナ禍からの回復を既に達成しているとも言えるような状況のようです。
決算内容についてもう少し詳しく見てみましょう。その実態利益にフォーカスして業績の状況を見てみます。実態利益を前年と比較したスライドがこちらです。
実態純利益というのは一過性要因を除いた利益です。ポイントを箇条書きします。
- 実態純利益は前年2,250億円から2,420億円へ増益達成。
- (A)インフラ等の安定事業収益は前年比+250億円増益の1,110億円。
- (B)トレード事業は前年比▲70億円減益の500億円。
- (C)新型コロナの影響を受けた市況事業が前年比▲80億円の800億円。
実態利益が前年を超えてきたものの、トレードやコロナ影響を受ける事業ではさすがに減益となっている一方で、インフラがけん引したことでネットで増益を達成しているという構図です。
セグメント別でも見てみましょう。こちらのスライドです。上段が純利益、下段が実態純利益です。
純利益にフォーカスしてポイントを箇条書きします。
- 丸紅は大きく分けて全部で6セクター。このうち、赤字となっているのは次世代事業開発のみでそれ以外は全て黒字。
- 昨年大幅赤字の要因の一つとなったアグリ事業だけで前年比+1,195億円増益。
- 昨年大幅赤字の最大の要因となったエネルギーで前年比+1,612億円増益。
- 金属も大幅に改善して前年比+671億円増益。
昨年はアグリ、エネルギー等で大幅な減損処理をしたことで当期純利益が大幅赤字になっていましたが、その反動もあってV字回復を達成している状況ですね。
20年度の一過性損益についても見ておきましょう。こちらのスライドです。
ポイントを箇条書きします。
- 20年度通期での一過性損益はネットで▲170億円のみ(前年は▲4,220億円)。
- 一番大きなもので決算と合わせて発表された航空機リース事業の減損等があった金融・リース事業で▲60億円。
- 続いて食料の水産事業▲50億円、電力IPPで▲50億円。
昨年の減損額が如何に凄まじかったかが分かりますね。食料で減損が出ていたのでまたガビロンかなと思いましたが、それはさすがにもうなく、水産事業と別のもののようです。
キャッシュフロー
丸紅のキャッシュフローも見ておきましょう。こちらをご覧ください。
ちょっと見にくいですが、上段の棒グラフが基礎営業キャッシュフロー、折れ線グラフが株主還元後フリーキャッシュフローの推移です。ポイントを箇条書きします。
- 棒グラフの基礎営業キャッシュフローは比較的安定しており、20年度は3,696億円。昨年の大赤字になった時も減損が理由だったのでCFの沈みはなし。
- 一方の株主還元後フリーキャッシュフローは浮き沈み激しいが、2020年度は2,313億円と前年比で大幅増収。
- この株主還元後フリーキャッシュフローは債務返済に回す。
株主還元後フリーキャッシュフローというのは配当や自社株買いを行った後に手元に残るフリーキャッシュフローのことです。丸紅は21年度が最終年度となる現在の中期経営計画期間は自社株買いは行わずに財務体質改善を行うことを公言しているので、その通りの対応を取ることになっているのが分かります。
21年度(22年3月期)年間業績予想&配当予想
丸紅の21年度(22年3月期)年間業績予想を見てみます。こちらのスライドをご覧ください。先ほど掲載したスライドと同じですが、今度は右側の赤枠部分をご覧ください。
ポイントを箇条書きします。
- 21年度当期純利益は2,300億円と20年度からほぼ横ばい。
- 実態純利益はまさかの2,420億円⇒2,400億円に減益。
- 基礎営業CF、株主還元後FCFもそれぞれ減収見込み。
- 配当は20年度から1円増配の34円。
おーーーっと、なんとも言えないイマイチな業績予想を出してきました。コロナ禍からの回復を期待出来る2021年度にむしろ実態純利益が減少する見込みという数字です。当期利益は2,300億円となっており、市場コンセンサス2,314億円は超えてきていますが、如何せん20年度に2,253億円という数字を叩き出してきていることを考えると、どうしても物足りなさを感じますね。ちなみに以下が市場コンセンサスでした。
楽天証券4/29時点総合商社21年度コンセンサス。
— 総合商社マン (@sogoshoshaman) April 29, 2021
※()は20年度会社業績予想
1️⃣伊藤忠 5146億円(4000)
2️⃣三菱商事 4626億円(2000)
3️⃣三井物産 4461億円(2700)
4️⃣丸紅 2314億円(1900)
5️⃣住友商事 2244億円(-1500)
6️⃣豊田通商 1,655億円(1346)
7️⃣双日 493億円(300)
明日双日・物産超えられるか注目👀
ちなみにこの業績予想の前提となる市況等に関するスライドも掲載しておきます。
気になるポイントだけ抜き出します。
- WTI原油55ドル/バレル(前年実績は42ドル)
- 銅8,000ドル/トン(前年実績6,560ドル)
- USD/JPY期中平均:109円(前年実績106.06円)
WTI原油は現在65ドル近辺をうろうろしているので余裕ありそうです。一方、為替はあまり余裕をもった設定にはされていないのが気になりますね。ちなみに原油が1ドル動くと5億円、ドル円為替が1円動くと約13億円純利益が変動する要因とのことです。
尚、こちらが純利益と年間配当金の過去の推移です。
今回2Q、3Qに続いて増配を発表して最終的に20年度配当金は33円となりました。ただし、減損を発表して大赤字になっていた2019年度ですら35円の配当を払っており、そこからは減配になっているという点は注目に値すると思います。
最後に:見事なV字回復も21年度は物足りず?
今回丸紅の20年度通期決算発表を見てみましたが、2Qに続いて3Qでも上方修正を発表した数字をさらに超えて着地をしてきたことはポジティブサプライズである一方で、21年度の業績予想はイマイチだなぁというのが個人的な感想です。
ただ、総合商社の雄、三菱商事の20年度会社業績予想が2,000億円(明日決算発表予定)ですので、仮に三菱商事がその数字となると、20年度決算に限ってみれば一時的に業界3位に浮上ということになりますね!
丸紅は2020年度に期中2回も上方修正をしてきていることを考えると、21年度もまた保守的に数字を作って期中に上方修正をすることもあり得ますので、丸紅ホルダーの人はそれに期待ですね!
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ということで、以上になります!
当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。
今回も最後までお読み頂き有難うございました!