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【三菱商事】20年3月期決算説明会の質疑応答に注目してみたよ!

こんにちは!総合商社マンです!三菱商事の決算説明会資料にいろいろ面白い情報あったよ!

 

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三菱商事決算発表終了

三菱商事は5/8に算発表を行いました。事前の前評判では遂に伊藤忠が王者三菱商事を抜いて税後利益で1位になるのではと各所で言われていましたが、蓋を開けてみたら王者三菱商事が5,354億円、伊藤忠商事が5,013億円となり、三菱商事が王者の座を守りきった形となりましたね。

総合商社各社の決算状況は以下に纏めていますので御覧ください。

 

www.sogoshoshaman.com

 

さて、そんな王者三菱商事ですが、決算発表を行った5/8の後、5/12に決算説明会を開催しています。決算説明会の中でアナリスト向けの質疑応答もあり、その内容が5/20付けでホームページに掲載されていましたので、今回はその内容を見てみましょう!

 

三菱商事の決算説明会

 

三菱商事の決算説明会は5/12に以下の出席者で開催されています。

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垣内社長、増CFOとトップ2による直接の説明会です。この説明会は三菱商事のホームページでリアルタイムに放送されていたので私も見ていましたが、決算説明会の後半のアナリストによる質疑応答は、少なくとも私がホームページから見ていた限りは放送されず、あくまで一般の人が見れたのは三菱商事側からの決算説明パートだけでした。

なんか不公平だなと思いつつも、どんな質疑応答がなされたのか気になっていたのでホームページを確認したところ5/20付けで質疑応答の議事録が掲載されていたわけです。

どんな質疑応答が行われたのか気になりますよね。

アナリストからの質問は全部で13個掲載されています。全てを見たい方は三菱商事のホームぺージから見れるので御覧頂ければと思いますが、この記事では私が注目だなと思った部分のみ抜粋していることはご了承くださいね。早速見てみましょう!

 

質問①:投資及び成長ドライバーに関して

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投資方針や利益の成長ドライバーに対する質問ですね。

赤ライン部分がポイントですが、回答のポイントは以下かな。

  • 「投資は抑制」する時期
  • 成長ドライバーは「デジタルトランスフォーメーション(DX)」

前者はコロナの状況で見通し難しいということで守りの姿勢ということでしょう。

後者のDXについて、昨年12月にNTTと業務提携を結んで、オランダHERE社への出資等、アクティブに推進していますね。ちょうど今日のプレスリリースでHERE社への出資が完了したことも発表しているので、今後加速していくことが期待できますね!

 

質問②:自社株買いに関する考え方について

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自社株買いに対する考え方への質問ですね。株主にとっては気になるポイントです。ナイス質問!

さて、赤字部分の回答ですが、ポイントはこちら。

  • 4月末に完了した自社株買いの有効性は確認出来た
  • 今後も自社株買いについては投融資レバレッジに囚われず適宜判断
  • 配当総額は維持するも自社株買いにより株数減少で増配を実現
  • 配当を中心とした株主還元を積極的に実施していく方針

うん、頼もしい。はい、頼もしい。すんごく頼もしい!笑

非常に株主還元に積極的なことがうかがえる発言ですね。

三菱商事は累進配当を宣言していますので、株価下支えという目的に加え、増配を目的とした自社株買いを今後も行っていくことを示唆する内容となっています。

ちなみにここで一つ難しい単語が出ています。「投融資レバレッジ」です。私もちゃんと分かっていませんでしたので調べてみたところ、以下の計算式で算出されるそうです。

投融資レバレッジ(%)=[有形固定資産+投資+融資+無形資産及びのれん]÷[資本合計+格付資本(ハイブリッド社債・ローンによる調達額の50%)]-100%

小難しい単語が並んでいますが、誤解を恐れずに端的に言うと「自己資本を使って、それにどの程度レバレッジを掛けて投資を行っているかを見る指標」ということですかね。

自社株買いをしてその株を消却したら自己資本は減りますのでレバレッジは大きくなりますが、あまりそこにはこだわらずに(正確に言うと今後の利益の積み上げで適正化)今後も自社株買いを検討していくということでしょう。

 

質問③:資本配分の優先順位について

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三菱商事の財務体質に関する質問ですね。

  • Debt Equity Ratio(DER)は現在1.0倍を下回っている
  • リーマン時はDERは2倍程度だったので、当時とは財務体質は異なる(改善)
  • 配当後フリーキャッシュフローをプラスにすることを基本方針
  • 財務規律を維持していくことに変更なし

また小難しい単語が出てきました。Debt Equity Ratio(DER)。ま、小難しいと言いましたが、実は別に難しくもなんともなく、日本語でいうと「負債資本倍率」とのことです。計算式でいうと「有利子負債÷株主資本」となります。

要は自己資本(返済義務ないお金)に対してどれだけ借り入れを行っていますか?という指標で1倍以下であれば借入よりも返済義務のない自己資本のほうが多い状態ということです。三菱商事はリーマンの時はこれが2倍だった(=有利子負債のほうが多かった)ものが現在は1倍を下回る(自己資本のほうが多い)、つまり非常に健全な財務体質となっているということです。

フリーキャッシュフローは営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いたものですが、さらにそこから配当を支払ってもまだ黒字を確保するという極めて健全と言える(言い方を変えると冒険しない)財務規律を維持していくという方針ということですね。ま、安心感はありますね。笑

 

質問④:三菱自動車を継続する意義について

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これは私も気になっていたのでナイス質問!と思いましたが、三菱自・ルノー・日産の関係については回答する立場に無いため回答を差し控えるとのこと。ま、そらそうですわね。笑 各社上場企業ですから、三菱商事が勝手にコメントするわけにはいきませんね。私がこれを気にしていたのは、三菱商事がルノーに出資する可能性があるという記事を3/26付けのロイターで読んだからです。こちらがそのロイターの記事。

 

[パリ 26日 ロイター] - 三菱商事(8058.T)がフランス自動車大手ルノー(RENA.PA)の株式を一部取得する可能性があると、関係者2人が明らかにした。ルノー、日産自動車(7201.T)、三菱自動車工業(7211.T)の3社連合(アライアンス)強化に向けて議論されている案の一つという。

同件を先の報じた仏経済紙レゼコーによると、三菱商事はルノー株式の10%を取得する可能性があるという。三菱商事は三菱自の株式を20%保有している。

また三菱商事によるルノー株取得は案の一つで、リストラ計画や新たなコスト削減策も議論されている可能性があるとした。

ルノー、日産、三菱自の3社は今年5月をめどに各社が新たな中期経営計画を発表する方針。関係者の1人は5月までは何も決定されない可能性があるとした。ルノーはコメントを控えた。

 参照元:https://jp.reuters.com/article/renault-mitsubishi-idJPKBN21D2ML

 

ま、事実なのかどうかは分かりませんが、今後の動向に注目ですね。

 

質問⑤:シェールガス事業、LNG事業減損リスクについて

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カナダでのシェールガス事業及びLNG事業に関する質問ですね。

  • 100億円の減損は原油下落で採算が悪化し採掘停止をしたことによるもの
  • シェールガス事業はガスだけでなく、中間留分(液分)も発生している
  • その収入が収益を下支えしている

つまり本業のガスは儲からないけど、おまけで出てきた中間留分が収益を下支えしているらしいです。ほー、面白いですね。

そしてLNG事業に関しては

  • LNG事業にはFVOCI区分のものと、FVOCI区分以外のものがある
  • FVOCI区分のものは毎期時価評価を行うが減損は発生しない
  • FVOCI区分以外については現時点で中長期的な見通しに変更なし

また変な単語が出てきましたが、FVOCIというのは包括利益のことで、PLには出てこずに処理されます。これ説明すると本題から外れるのでしませんが、少なくとも現時点で中長期的な見通しに変更なしとのことです。ただ、「中長期的な見通し」が何を指すのか良く分からん回答になってますね。

 

質問⑥:LNGの今後の価格見通しについて

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先ほどの質問⑤と一部重複しますが、LNGの価格見通しと減損リスクに関する質問ですね。まず価格見通しは「判断出来ないので回答出来ない」とのこと。

そして価格下落による減損リスクについては

  • 収益の大半は長期契約によるもの
  • 余剰分をスポット販売しているだけ
  • 従い、必ずしも損失に繋がるものでは無い

とのこと。

電力会社等へ納入するLNGの価格は長期契約で結んでいるのですぐに損失に繋がるわけではないということですね。これは商社側は強しです。一方、LNGを購入している側(電力会社等)はこの低価格を完全にエンジョイ出来ているわけではないことも想像出来ます。

 

質問⑦:NTTとのDX事業での時間軸・利益規模について

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三菱商事の一番力を入れているDX事業についての質問ですね。

  • 最も進んでいるのは食品流通関連
  • すぐに100億円規模の利益が見込めるものでもない
  • 今年度中に何らかの手応えが出てくる見込み

「DXを推進するぞー!」と声高らかに宣言はしていますが、すぐにこれで収益が大幅に増えるというものでないようです。ただ効率化が非常に重要になってきている世の中ですから避けては通れないものなので応援したいですね。食品流通関連というと三菱食品とかローソンあたりのことかなと想像します。

 

こんな感じです!先ほども言いましたが全部で質問は13個あり、今回紹介したのは私がポイントかなと思った7個だけです。全部見たい方は三菱商事のホームぺージをご覧くださいね。

 

最後に:正直質問が物足りない

如何でしたでしょうか?株主還元に対する考え方を改めて確認出来たのは、ホルダーさんにとっては有益な情報だったのかなと思います。

一方で、私の個人的な感想ですが、一つ不満があります。

それは誰も現在の中期経営戦略の定量値に対して質問しないことです。

何のことかというと、三菱商事が現在進めている「中期経営戦略2021」は2018年11月2日に発表されたものですが、そこでは中計最終年度にあたる2022年3月期の利益目標を9,000億円と高らかにぶち上げているのですが三菱商事側からは自ら何もこれに対するコメントがありません。だからこそアナリストや記者の方に質問して欲しかった。

こちらが中計の抜粋です。

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ね?9,000億円ぶちあげてるでしょ?

しかも注目すべきは「既存事業の延長線でも9,000億円の利益目標は達成可能」とまで言い切っているわけです。言い換えるなら、新規案件に投資せずとも達成可能ということですよこれ。笑 さらに配当は「税後利益9,000億円で配当性向35%前提とした場合200円前後」という方針も出していたくらいなのです。

もちろん「累進配当」は方針通り継続してくれているので素晴らしいことですが、なぜこの質問の場で誰もこの中計に触れないのか不思議で仕方がありません。私が質問できる立場だったら絶対するけどな。笑

もしかすると記者の方は誰もこの中計をもう信じていないことの裏返しなのかもしれませんが、垣内社長がこの中計に対する対外的なコメントを少なくとも私は見たことがありませぬ。

実際、コロナの前から既に達成難しい状況だったように見えたので、そこにコロナが発生したらこの中計は完全に「雲散霧消」だと個人的には思っていますが、なんらかのコメントがやっぱり欲しいですよ垣内社長!

 

ということでわたくし三菱商事の株主なので最後熱が入ってしまいましたが、いち弱小株主からの叱咤激励ということでご理解ください。笑 

つい昨日伊藤忠商事との時価総額逆転劇が発生したばかりですが(詳細は以下記事をご覧ください)、ぜひ三菱商事には今後も成長と共に株主還元を充実してもらいたいですね!

 

www.sogoshoshaman.com

 

 

 ということで今回は以上です!

今回も最後までお読み頂き有難うございました!

 

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