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【三菱商事】20年度決算説明会質疑応答まとめ!鍵は原料炭!!上方修正可能性高い!?

こんにちは!総合商社マンです!三菱商事が5/7に開催した決算説明会の質疑応答に注目してみたよ!上方修正高いかも?!

 

三菱商事ロゴ
  

 

三菱商事が決算説明会を開催

三菱商事が5/7の場中13:45に2020年度通期の決算発表を行いました。そして、その決算発表当日の16:45~17:45にアナリスト向け決算説明会が開催され、その質疑応答資料が5/13に三菱商事のIRページに掲載されました。

 

今回はその三菱商事の決算説明会における質疑応答の内容に着目して、個人的に気になった定量面に関するものを中心に抜粋しながら、個人的な意見を書いていきたいと思います!

 

尚、三菱商事の決算概要は以下記事に纏めていますので興味あれば御覧ください!

 

www.sogoshoshaman.com

 

簡単に決算おさらいだけしておくと

 

  • 20年度当期純利益は1,726億円と期初予算の2,000億円に未達。対前年比では▲3,628億円の大幅減益。
  • 当期利益1,726億円の内、事業系は1,066億円(前年比▲2,138億円)、市況系は506億円(前年比▲1,484億円)。

かなり厳しい数字となりましたね。そして今期となる2021年度見通しは以下です。

 

  • 当期純利益は3,800億円。内、事業系3,163億円、市況系647億円。
  • 配当金は20年度は134円(+2円増配)、そして21年度は134円据え置き。

 

累進配当自体は継続も、2021年度は2020年度と同額の134円となり、減配はしない累進配当政策を21年度は取ることになっています。

その配当に関する考え方についても質疑応答で触れられていますので、投資の参考になるかと思います!

それでは参りましょう!

※当記事内のスライドは三菱商事のIR資料からの抜粋です。

※オリジナルの全文を見たい方は三菱商事のIRページから御覧頂けます。

2020年度決算説明会 | 三菱商事

 

三菱商事の決算説明会質疑応答まとめ

三菱商事決算説明会質疑応答2020q4-1

三菱商事の2020年度決算説明会の質疑応答で個人的に気になったものを独断と偏見で抜粋していきながら、私個人の意見を書いていきたいと思います。

 

質問①:21年度業績について

Q.21年度業績見通し3,800億円に関して、4Q(3か月)の巡航利益が1,200億円を超えた中で、現在の実力値をどの様に捉えているか?通期見通しに関しては競合他社とも差が生まれつつあると考えられるが、その背景は原料炭事業等の事業環境で向かい風が吹いている影響と理解すべきか?現在取り組んでいる不採算事業による影響等もあるのか?

 

  • 4Q(3 か月)は一過性を除くと約1,200 億円となる。但し、4Q(3 か月)は原料炭市況で価格の裁定が働き、正常化が図られたこともあり足元よりも価格が高かったこと、更にはEneco の季節要因による利益の偏重等もあり、それらを差し引くと 4Q(3か月)の実力値は1,000億円弱程度と見ている。
  • 通期業績見通しの3,800 億円は、豪中関係を起因とした原料炭市況の低迷による MDP の厳しい事業環境を考慮した上での見通しとご理解頂きたい。
  • 赤字会社や低採算事業の整理は着手しており、対応が完了した先は、今後赤字は発生しなくなるものの、取り組みを進める時期により20年度・21年度の両年度に跨って手仕舞い損失が発生する。21 年度については、手仕舞いによる損失が赤字削減により相殺されるため、大きな影響は含まれていない。
  • 3,800億円からの更なる収益改善という観点では、MDP の20 年度業績は100億円程度であったが、19年度には1,000億円以上、18年度には2,000億円以上あったことから、原料炭市況が戻ってくれば、以前の収益水準に回復していくと考えている。

 

面白い質疑応答ですね。あくまで私個人の意見として聞いてもらえればと思いますが、誤解を恐れずに言うならば、三菱商事の業績は原料炭ビジネス次第と言えます。最後の黄色マーカーをしている部分が一番重要なポイントだと個人的に思いますが、豪州原料炭事業の利益は18年度2,000億円以上、19年度1,000億円以上あったものが、2020年度は100億円のみにまで減少しています。

そしてその原料炭ビジネスを行っている金属資源セグメントの2021年度業績は以下スライドの赤枠部分です。

 

三菱商事決算資料セグメント別202103

 

20年度はこの金属資源セグメントで781億円を稼ぎましたが、この内、原料炭は100億円のみ、そして2021年度の金属資源セグメントはほぼ横ばいの800億円となっており、原料炭ビジネスが回復しない前提となっていることが分かります。

つまり裏を返せばこの原料炭ビジネスが息を吹き返すと、1,000億円、2,000億円の単位で利益が回復する可能性があるということをこの質疑応答で言っているわけですね。

とても大事な部分なのでもう少し踏み込んで見てみましょう。こちらのスライドの左下をご覧ください。豪州原料炭価格の推移チャートです。

 

三菱商事決算資料202103原料炭価格

 

原料炭ビジネスだけで2,000億円以上を稼いでいた2018年度の原料炭価格はざっくりUSD200ドル程度で推移していましたね。一方2020年度は期末に少し戻したものの、概ねUSD100ドル~150ドル近辺で推移していたことが分かります。

 

これは豪州と中国がコロナをきっかけに政治的に対立をした結果、中国側が豪州の原料炭輸入を制限したことから価格が低迷しているものです。もっというと、中国は豪州産の代わりに北米等から代替の原料炭を輸入して対応しており、そちらの価格は上昇する一方、豪州産は低迷しているという構図です。

 

そしてもう一つおまけ情報として触れておきますが、JOGMECという独立行政法人が出している「一般炭、原料炭、鉄鉱石の市況動向」という2021年3月に出したレポートに面白いスライドがあるので、ここに掲載しておきます。こちらをご覧ください。

 

JOGMEC資料

※JOGMECレポートから抜粋

 

これは2016年~2020年までの豪州原料炭(緑色)、鉄鉱石(茶色)の価格推移を示したチャートです。ここから何が言いたいかというと、総合商社=資源というイメージで一括りで見られることが多いですが、実は総合商社の中でも三菱商事は原料炭が強く、三井物産、伊藤忠商事は鉄鉱石に強いという特色があります。もう何を言いたいか分かったかもしれませんが、2020年度の鉄鉱石価格上昇が凄まじいですよね。そう、これを追い風に三井物産と伊藤忠商事は業績比較的好調に推移した一方、三菱商事の強みとする原料炭はコテンパにやられてしまい、業績に大きく差が出てしまったということです(もちろん資源だけでなく、三菱商事はローソンや三菱自工が足を引っ張ったのは言うまでもありませんが)。

 

質問②:累進配当について

Q.20年度の厳しい事業環境に於いても営業収益キャッシュ・フローは6,252億円であったことを踏まえると、現中経後も累進配当の方針は継続できると思われるが、 22 年度以降の配当方針に対する考え方は?

 

  • 現中経の21 年度までは約東している通り、減配しないという、累進配当の方針に変更は無い。22 年度以降の次期中経期間については今お話しすることは出来ないが、足元のキャッシュ・フローの状況を勘案す ると、財務の観点からは現在の水準である年間2,000億円程度の配当は可能だと思う。

 

これまたいい質問ですね。三菱商事は累進配当方針を掲げており、2016年度から5期連続増配を続けてきています。

三菱商事配当推移2016年~2021年

 

しかしながら今回の決算発表で2021年度の配当金を2020年度と同額の134円に据え置き、連続増配記録がストップする公算となっているのです。そしてこの質問の中で「次期中期経営戦略」でも累進配当を継続するのかと問われていますが、これは2021年度が三菱商事が現在進めている現在の中経の最終年度にあたり、来年の2022年度から新しい中期経営戦略が始まるのです。そういった背景もあり、引き続き来年以降も累進配当を掲げるのか?という質問がされているというわけです。

 

そしてこれに対する回答は「来期以降についてはまだ触れられないものの、減配せずに現在の水準の配当は維持することは可能だと思う」、というものです。ここにきて一気に増配に対する意欲が落ちており、減配しないことに重きを置いているように個人的には感じました。それもそのはず原料炭価格が息を吹き返さないと本格的な業績回復は難しく、まだコメント出来る状況に無いということでしょうね。

 

質問③:増配&自社株買いについて

Q.21 年度の株主還元に関して、仮に業績の上振れが期待できる場合、増配を期待出来るか?又、投融資レバレッジは 20 年度末には 54%と適正水準を若干上回っている状況だが、資本配分の選択肢の一つとして自社株買いも検討し得るか?

 

  • 20 年度の配当性向は一時的に 100%を超えたが、21 年度見通しに基づく配当性向は 52%である。マーケットの中の上位 100 社における配当性向の平均は 4 割程度であること等も勘案し、その時の利益水準に応じて配当は弾力的かつ柔軟に検討したい。
  • 自社株買いに関しては、投融資レバレッジ等を勘案する方針に変更は無く、適正水準を下回った場合には機動的に実施していくものだが、利益に応じてレバレッジの改善も今後期待できるため、レバレッジの水準を見つつ検討していく。

 

これまたホルダーとしては気になる質問です。まず21年度の配当性向は54%という水準で、上位企業100社の平均は40%程度よりも高い水準であると言っていることから、業績の上方修正=増配とはあまり考えていないことを示唆しているように感じます。

そして自社株買いについては投融資レバレッジ等を勘案した上で検討すると可能性を残した形になりましたが、今の利益水準ではあまり期待しないほうが良いかもしれません。

 

質問④:原料炭市況について

Q.原料炭市況に関して、4Q(3 か月)に価格が回復した一方、足元の価格は再度下落してきている。21 年度業績見通しでは、原料炭価格は比較的保守的な前提に基づいているものと理解するが、今後の市況をどの様に見ているか?

 

  • 直近の価格は 110 ドル/トンを切っているが、足元の水準は通常ではなく、この水準が継続するとは考えにくい。中国は豪州以外から非常に高い価格で輸入しているため、時間は要するだろうが、価格の裁定が働き、市況は一定程度回復するものと考えている。
  • 尚、価格要因以外に為替による影響も挙げられる。MDP の収入は米ドル建である一方、コストは豪ドル建のため、原料炭以外の資源価格高騰等による米ドル安豪ドル高の影響がコスト増に繋がっている。従って、為替要因も変数として含んでおり、利益がついてこない一因である。

 

質問①で細かく触れた原料炭に関する質問ですね。直近足元の価格はUSD110を切っているが、市況は一定程度回復するものと考えているとのこと。つまり、上方修正する可能性は高いと捉えることが出来るような言い回しです。ただし、豪ドルが高くなると為替の影響で利益が目減りすることから、豪ドルの動向にも注意必要ですね。

 

質問⑤:21年度見通し策定について

Q.20 年度業績見通し 2,000 億円が未達となった要因は?それを踏まえ、21 年度見通し策定における工夫は?

 

  • 業績見通し 2,000 億円を公表した昨年 8 月時点では、ローソンの減損は想定しておらず、この減損が未達の要因。21 年度見通しについては、資源価格が大きく上昇することを織り込まず、原油価格や銅価格は足元の水準よりも下落するという前提を置いた上で、慎重に策定している。

 

20年度の期初予想が未達となったのは7大総合商社の中で三菱商事と住友商事、双日の3社でした。そういったこともあり、未達の原因と、21年度の見通しに対する工夫があるのかを質問したものですね。

まず業績未達となった要因はローソンの減損を期初に想定していなかったことが挙げられています。そして気になる21年度見通しについてですが、「資源価格が大きく上昇することを織り込まず、原油価格や銅価格はむしろ下落する前提」としているという説明です。

先ほど一個前の原料炭に関する質問では、今後価格は一定程度上昇すると考えているという回答がありましたが、それは見通しには織り込んでいないということに加えて、原油、銅は下落前提としているということで、かなり保守的に予算を作り、この予算を必達することに重きを置いているように感じますね。つまり資源価格が上昇すれば、上方修正可能性が極めて高いということです。

 

最後に:三菱商事の業績は原料炭次第!

今回三菱商事の20年度決算説明会における質疑応答にフォーカスをして見てきましたが、もう三菱商事の業績は「原料炭次第」と言っても過言ではないと思います。そしてその価格動向次第で今期業績が上振れするのかどうかがほぼ決まると思っても良いかもしれません。その価格を決める要因はもちろん経済回復は言わずもがなですが、オーストラリアと中国のいがみ合いが最大のポイントになってきますよ。

 

三菱商事は20年度は業界の王者から陥落、そして21年度も伊藤忠商事(5,500億円)、三井物産(4,600億円)の後塵を拝す業績予想3,600億円となっており、二期連続王者からの陥落が現実味を帯びてきました。

でもやっぱり財務体質や資産の大きさは三菱商事がまだピカイチであり、どのタイミングで王者の貫禄を見せつけて業界首位に返り咲くのか、三菱商事株ホルダーとしては期待をしてしまいますね。まだしばらく総合商社のデッドヒートから目が離せません!!

 

 

最後に、三菱商事、伊藤忠商事、三井物産の総合商社株を含んだ私の最新投資ポートフォリオを以下記事で公開しているので興味あれば御覧ください。なかなか偏重しております。笑

 

www.sogoshoshaman.com

  

上記記事でも公開している通り、私はポートフォリオの一部にビットコインも入れています。ビットコインに関しては最近は本当に話題が欠かないですね。年明けてからだけで以下の様な出来事が起きています。

  • JPモルガンがビットコインの長期的見通しを14万6,000ドル(1,500万円程度)と発表。
  • イーロンマスク率いるテスラがビットコイン購入。
  • 米国金融大手のBANK OF NEWYORK メロンが仮想通貨資産管理サービス導入
  • VISAも仮想通貨に参入
  • 米大手仮想通貨取引所コインベースがナスダックに上場

 

そして次の大きなイベントは米フィデリティのビットコインETF上場になるかもしれませんが、またイーロンマスクが暴れてビットコイン価格が大暴落しており、相変わらずのエキサイティングな相場続いています。笑 この大きな下落相場はビットコインやそれ以外の仮想通貨を買うには面白い相場かもしれませんね!

 

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下落する時は大きく下落するのが仮想通貨なので、ポートフォリオに数パーセントだけ入れてリスクヘッジしながら投資するのが吉だと思います。口座開設は以下リンクから可能で、最短その日から取引出来るのでおススメです。

個人的な仮想通貨の一番のメリットは週末も取引が出来て暇つぶしになることかな。笑

 

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ということで、以上になります!

当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。

今回も最後までお読み頂き有難うございました!