こんにちは!総合商社マンです!三菱グループの三菱自工が決算発表!三菱商事が20%保有する持分法連結会社で大赤字発生です!
三菱自動車工業が20年度第1四半期決算発表
三菱自動車工業(以下、三菱自工)が7/27に20年度第1四半期の決算を公表しました。三菱自工はその名の通り三菱グループの自動車メーカーであり、三菱商事が19.9%の第二位株主となっています。第一位株主は「日産自動車」で33.9%ですね。
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最後に触れますが、三菱商事はこの三菱自動車の業績に関して以前株主総会で言及していました。 私自身は三菱商事の株式を多く保有しているので、三菱自工に興味があるというよりは三菱自工の業績の三菱商事への影響に興味があるという状況ですが、今回その三菱自工の業績がすごいことになっているので、三菱自工発表の決算説明資料を見て行きたいと思います。
三菱自工の20年度第1四半期決算概要
三菱自工の第1四半期決算を早速見てみましょう。まずこちらのスライドをご覧ください。
ポイントを箇条書きします。
- 売上は前年同期比▲57%と半減。
- 営業利益は前期はギリ黒字(39億円)だったものが▲533億円と赤字転落。
- 当期純利益は前期は93億円の黒字だったものが▲1,762億円の赤字転落。
減収減益、そしてなかなかいかつい数字が並んでいます。特に営業利益と当期純利益は、まるで年間の赤字額かと思ってしまうレベルですし、年間だったとしても大きすぎる赤字額という具合です。
どんな要因でここまでの赤字に陥っているのか詳しく見て行きましょう。まずこちらの販売台数に関するスライドをご覧ください。
地域別の販売台数を前年同期比と比較したものです。なかなか凄惨なことになっています。ほぼ全世界において前年比半減です。特に三菱自工が強いアセアン市場が一番の落ち込みとなっており前年比▲68%となっていますね。
続いて営業利益が赤字転落に陥った要因分析をしたスライドがこちらです。
このスライドでは前年の営業利益からどういった要因があり今期の営業利益となったかを表した変動要因分析シートです。一番左が昨年の影響利益、一番右側が今期の営業利益ですね。
これは非常にシンプルです。ずばり最大の要因は「売上の減少」です。▲535億円の売り上げ減少があったものの、経費削減できたのは僅かながら40億円程度。自動車製造業なので機動的にコスト削減することが難しいということと、三菱自工は固定費が高いということもあり、ひとたび売り上げが減少するとすぐに赤字転落になってしまう構造になっているのが分かりますね。
そして営業利益が▲533億円の赤字という状況の中、当期純利益は▲1,762億円と大きな乖離があります。決算説明プレゼン資料では触れられていないのですが、別途プレスリリースが出ていますので、こちらをご覧ください。
細々と書かれていますが要は「今回の新中期経営計画により将来の販売台数見直しを行い、資産を回収可能額まで減額をした結果、▲1,159億円の減損損失を計上」したということですね。
もともと三菱自工は今期にリストラ(解雇という意味ではなく、事業の再構築の意)をすることを発表していたので、減損を出すこと自体は驚きではないですが、金額がなかなかのパンチ力でした。笑
年間業績見通し及び配当
年間業績見通し及び配当についても見ておきましょう。こちらのスライドをご覧ください。
ポイントを箇条書きします。
- 売上高は前年比▲35%の1.48兆円。
- 営業利益は▲1,400億円の赤字(前年は+126億円)。
- 当期純利益は▲3,600億円(前年は▲258億円)。
- 配当は無配転落。
もう目も当てられない項目がゴロゴロ転がっています。。。第1四半期で既に当期純利益は▲1,762億円の赤字となっていますが、これが年間では2倍以上に膨れる見通しです。これについては同様に本日プレスリリースが出ており、以下がその抜粋です。
要は「構造改革費用を含めて年間で▲2,200億円の特別損失計上を予定」しているとのこと。今回かなり大ナタを振るった構造改革を進めるということなのでしょうね。
そして配当についてですが、当然のことながら「無配転落」です。若干この記事を書いていて滅入ってきました。笑
尚、この記事では詳しくは触れませんが、三菱自工は今回の決算発表のタイミングで新たに新中期経営計画「Small But Beautiful」を発表しています。対象期間は2020年度~2022年度の3カ年計画となっており、その中では「固定費削減や三菱商事との連携強化、営業利益目標6%」等を掲げて発表しています。三菱自工のHPから見れますので興味がある方は御覧ください。
最後に:三菱商事はこの減損を示唆していた
今回三菱自工の決算概要を見てきましたが、実は三菱商事は今回の減損を過去に示唆していました。それは三菱商事の株主総会です(以下記事)。
詳しくは上記記事をご覧頂ければと思いますが、株主総会で三菱商事の垣内社長が触れている該当部分を以下に抜粋します。
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自動車については各自動車メーカー含めて構造改革をこのタイミングでやろうということになっているので、2020年度中にそれをやり遂げて、2021年に向けてエンジンをフル回転していくという体制。従い、自動車事業は2020年度は大きくは望めない。むしろ構造改革から出るネガティブなファクターが2020年度は続く。
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コロナが自動車産業を直撃している。自動車モビリティグループはその影響を大きく受ける部隊の一つ。具体的には世界的な自動車需要の低迷、工場の減産・操業停止がある。我々にとって一つの柱である三菱自動車については本年度に構造改革を行うと聞いている。従い、今年度は全体として非常に厳しい状況が想定される。
確かにしっかりと「構造改革を行うこと」に触れていましたね。ということで個人的にある程度今期に三菱自工で減損は出るだろうなとは思っていましたが、三菱自工の赤字額は正直想定以上でした。
さて、この三菱自工の決算が三菱商事にどう影響を与えるかについてですが、単純に考えると20%保有して持ち分連結していますので三菱自工が▲3,600億円の赤字となるとその20%となる▲720億円が持ち分損失として取り込まれることになります。
実は三菱商事は2019年度決算でも三菱自工の株式で▲342億円の減損を計上しています。2期に渡り巨額損失を出すという状況ですので、株主への丁寧な説明が求められますね。
ちなみに三菱商事における自動車ビジネスというのは規模はかなり大きく2018年度で972億円稼ぎ出しています。2019年度は上記のように三菱自工の減損等あり196億円まで減少していますが、今期はそれがさらに悪化する可能性が高いということですね。
尚、その三菱商事の決算発表は8/13(木)14:00に予定されています。三菱商事は今期業績予想をこの記事を書いている時点でまだ発表していませんので、どんな数字を出すのか、今からドキドキしています。笑
はい、ということで以上です!
尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。
堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!
中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。
先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!
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