こんにちは!総合商社マンです!株主優待人気ランキング上位の「すかいらーく」の2Q決算速報です!重要事象発生してしまいましたが大丈夫!?
「すかいらーく」が20年第2四半期決算を発表
すかいらーくが8/13の引け後15:00に20年度第2四半期決算を行いました。すかいらーくは12月期決算会社なので、このタイミングで2Qの決算発表となっています。すかいらーくは常に株主優待ランキング上位に顔を出す優待銘柄ですので、すかいらーくの株を保有する個人株主の方は多く、業績がどうなるか気になりますよね。ということで早速すかいらーくが発表した決算資料を眺めながら決算の内容を見ていきましょう!
尚、1Q決算記事は以下からどうぞ。
20年度第2四半期決算まとめ
「すかいらーく」の2020年第2四半期決算の業績をまとめていきましょう。まず上期実績をまとめたスライドです。
ポイントを箇条書きします。
- 売上高は前年比▲25.8%減益の1,875億円。
- 営業利益は前期111億円の黒字から▲181億円の赤字に転落。
- 当期利益は前年59億円の黒字から▲189億円の赤字に転落。
厳しい。厳しすぎます。1Q(1-3月)決算時点では営業利益、当期利益共になんとか黒字を保っていましたが、2Qで一気に赤字に転落をした格好です。
それもそのはず、この2Qが最もコロナの影響を受けた期間だったからですね。こちらのスライドをご覧ください。
御覧の通り3月以降急激に客足が遠のき、4月半ばから5月にかけては客数が前年比7割~8割減少という猛烈な需要の喪失に見舞われていたようです。5月を底にその後回復に向かっていますが、足元再びコロナ第二波で客足が遠のき始めているのが気になります。
一方のデリバリー需要やテイクアウト需要は堅調に推移したようです。こちらのスライドをご覧ください。
- デリバリーはコロナ禍にあって右肩急上昇し売上高80億円に迫る状況。
- テイクアウトはさらに伸び率がすごく前年比3倍超えの70億円に迫る状況。
お、こっちがけん引してくれてるじゃん!ってこのスライドを見ると思うかもしれませんが、上期のすかいらーく全体の売上、1,391億円ですからね。全くもって店舗での消費減退を補えていません。
この状況をどう乗り切ろうとしているのでしょうか。まずコスト削減を上げています。こちらのスライドをご覧ください。
- 人件費・賃料等コスト削減90億円~100億円
- 設備投資の見直しによる削減60億円~70億円
前回1Q決算記事で触れましたが、すかいらーくは固定費が高いのでコスト削減は素晴らしいことですが、二つ合わせて最大170億円の年間コスト削減です。一方2Q時点で営業赤字は▲180億円ですので、これをやりきっても営業赤字ですな。
ま、コロナの最悪期を脱したと考えれば、来期以降の利益貢献に結び付く話なので積極的にやっていこうということなのでしょうが、現場で頑張っている従業員の人件費削減をどこまでやるのか、、、難しいところですね。
財務状況&キャッシュフロー
厳しい経営状況ですが、財務状況についても見ておきましょう。こちらの貸借対照表のスライドをご覧ください。2019年12月末との比較ですね。
ポイントを箇条書きします。
- 自己資本比率は▲4.3%悪化の25%。
- ROEは当然のごとくマイナスに転落。
- ネットレバレッジレシオ(純有利子負債/EBITDA)は5.2倍まで悪化
- 2Q末に財務制限条項抵触で重要事象発生!
いろいろと悲惨な状況が並んでいますが、特に注目は赤字の部分。なんやその小難しい単語は!って思った方もいるかもしれませんが、要は財務悪化で「銀行から金返せ」と言われてしまっているということです。「期限の利益の喪失」というふうによく言われるやつですね。
これは決算短信の抜粋ですが、「継続企業の前提に関する重要事象等」、英語で言うとゴーイングコンサーンが付いてしまったという厳しい状況です。
ただし、しっかりと決算短信を読み込んでいくと、すぐに窮地に追い込まれる状況に無いことが分かります。こちらがその抜粋です。
文字が小さいと思うので以下に抜粋します。
③財務制限条項抵触について
当社は、当第2四半期会計期間末日を評価基準日とする期間において借入金の財務制限条項のうちネット・レバレッジ・レシオに関する条項に抵触いたしました。本抵触につきましては見通し段階より事前に各金融機関には共有し対応策及び今後の改善見通しを説明したうえで対応策について協議をしております。
今後当第2四半期会計期間末日を基準日とする財務制限条項遵守状況報告書の提出後すみやかに書面により本抵触に対する期限の利益喪失請求権の放棄の要請をおこないますが、上記の対応策及び今後の改善見通しについて各金融機関の理解が得られており本抵触に関する期限の利益喪失請求権の放棄についての同意が得られるものと判断しております。
この最後の部分がポイントで、一応銀行からは財務制限条項に抵触したものの、コロナの状況を鑑みて、今すぐの返済はせずともOKという了承をもらっているという説明ですね。うん、良かった。
ただ、厳しい状況に変わりは無いです。キャッシュフローを見ておきましょう。こちらのスライドをご覧ください。
- 営業CFはぎりぎり黒字の69億円(前期比▲309億円)
- 投資CFは▲119億円(前期比7億円削減)
- その結果フリーキャッシュフローは▲50億円の赤字。
金が流出していっているのが分かりますね。これを銀行借入でなんとか支えているという状況です。
20年12月期年間見通し
「すかいらーく」の2020年12月期年間見通しも見ておきましょう。こちらのスライドをご覧ください。
赤枠は私が付け足したものです。結論から言うと特に最新予想から変更なしです。
- 通期業績予想は未定を据え置き。
- 配当予想は上期無配、下期は未定。
ま、こんな状況で配当は出せないでしょうから無配と思っていた方がいいですね。
株主優待はどうなる?
株主優待はどうなるのか、大丈夫なのか?これが個人株主の一番の懸案事項でしょう。これは今回特に決算資料での言及は見当たりませんでした。一応、前回の1Q決算でのプレスリリースで以下の通り触れられていたので再掲しておきます。
赤枠部分ですが「現時点で今期の株主優待制度を変更する予定はございません」とあります。ま、株主優待は会社側からするとコスパの良い広告宣伝的な面もあるので継続するのでしょうね。
ちなみに「すかいらーく」の株主優待内容はこちらです。
100株から年間6,000円分(3,000円×年2回)の食事券を獲得できます。しかも株数が増えても優待内容が充実するのが良いですね!
最後に:重要事象発生には注意
今回すかいらーくの2Q決算を見てきましたが、一番の注目ポイントは重要事象の発生ですね。一応銀行団がすかいらーくを支える方向で進んでいるようなので、すぐには倒産ということにはならないと思われますが、コロナの影響がいつまで続くのか、デリバリー等店舗での飲食以外のビジネスを急激に伸ばしていけるのか、いろいろと課題は山積している状況ですね。すかいらーくの鳥のロゴの目が若干虚ろになっている気がしてきました。笑
がしかし、個人的にはすかいらーくのレストランは安くておいしい、そして小さな子供がいても連れていけるまさにファミリーレストランとして大好きなので、会社としてだけでなく、現場で働いている従業員の方々含め、是非とも応援したいところです。
頑張れ!すかいらーく!!!
尚、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。
堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!
中級者以上だとこちらの本が個人的におすすめかな。
先に紹介した本よりはもう少し踏み込んでいて、尚且つ読みやすい良書です!
ということで今回は以上です!当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。
今回も最後までお読み頂き有難うございました!
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