こんにちは!総合商社マンです!住友商事が21年度(22年3月期)第1四半期の決算発表したよ!1Qでまさかの上方修正発表です!
住友商事が21年度(22年3月期)第1四半期を発表
住友商事が8/4の場中に2021年度(22年3月期)第1四半期の決算発表を行いました。
住友商事は総合商社の中で前期唯一の赤字決算(▲1,531億円)に転落する一方、膿出しが進み今期は一転V字回復の2,300億円の黒字を見込む計画を発表していましたね。
この2,300億円という業績予想は、ライバル丸紅と全く同じ利益予想となっており、総合商社4位、5位の熾烈な争いが発生しているのも見どころです。
ということで住商が公表した決算資料から第1四半期の決算内容を見ていきたいと思います。それでは参りましょう!
※当記事内のスライドは全て住友商事が公表した決算資料からの抜粋です。
21年度第1四半期(22年3月期)決算概要
住友商事の21年度第1四半期の決算概要を見ていきます。
定量面中心にいきます。こちらのスライドをご覧ください。
ポイントを箇条書きします。
- 21年度1Qの当期純利益は1,073億円。前年同期比+1,484億円(前年は▲411億円の赤字)とV字回復で大幅増益。期初の年間業績予想2,300億円に対する進捗率は46.6%に到達。
- その結果、今回通期利益予想を2,300億円⇒2,900億円に上方修正。上方修正後の業績予想に対する進捗率は37%。
- 一過性を除く利益も930億円となり、前年同期の260億円から+930億円と大幅増益
昨年の赤字から一転、見事なV字回復を果たしていますね。昨年赤字の要因だった一過性を除いた利益においても大幅な増益となっており、業績の回復が伺えます。そして今回利益を上方修正しました!1Qでの上方修正ということで回復に自信があるということでしょう。
上方修正の利益予想については後ほど触れるとして、もう少し1Qの利益面を詳しく見てみましょう。四半期利益の推移を示したスライドです。上段に記載の数字が一過性を除いた業績推移で、一番下に記載の数字が一過性損益額です。
ポイントを箇条書きしてみましょう。
- 昨年20年度は毎四半期全てにおいて一過性損失を計上していたが、今期1Qの一過性損益は+140億円のプラス。
- 一過性損益を除いた利益は20年度1Qの260億円を底に徐々に右肩上がりで回復し、1Q実績は930億円にまで回復し好調。
1Qの時点ではコロナ禍からの脱却が著しい決算となっていることが分かりますね。
この好調さがどこから来ているのか見てみましょう。続いてグメント別の当期純利益(一過性含む)スライドです。
左側の灰色棒グラフが2020年度1Q実績、右側の緑色棒グラフが2021年度1Q実績です。21年度通期の予算に対するセグメント別の進捗率も記載がありますね。
ポイントを箇条書きします。
- 全6セグメント中、昨年は2セグメント(輸送機・建機、資源・化学品)が赤字に陥っていたが、今期は全セグメント黒字化。
- 昨年1Qが赤字となった最大要因の「資源・化学品」が今期は一転471億円となり、1Q全体の利益の43%を稼ぎ出す。年間予想に対する進捗率も34%と好調。
- また昨年1Qのもう一つの赤字要因だった「輸送機・建機」も一転145億円の黒字転換しており、年間予想に対する進捗率は48%と全セグメントの中で最大の進捗率で好調。
昨年足を引っ張っていたセグメントのV字回復に加えて、総じて全セグメントにおいて好調さが伺えますが、インフラ事業だけ前年比減益となっており、進捗率も22%と低い点は気になりますが、他で充分にカバー出来そうな決算ですね。
一過性損益についても詳しく見てみましょう。こちらのスライドです。上段が当期利益、そして下段が一過性損益の内訳です。
ポイントを箇条書きします。
- 今期1Qのネット一過性損益は+140億円の利益を計上。
- 金属、輸送機・建機、インフラの3セグメントで▲10~▲20億円の損失を計上。
- 一方、1Q業績のけん引役となった「資源・化学品」で+140億円の利益計上。
- これはマダガスカルニッケル事業関連。
今期は利益計上となっていますね。昨年は1Qだけで▲670億円の一過性損失を計上しており、原因が今回利益計上をしたマダガスカルニッケル事業でした。現在はコロナ禍影響も収まり操業が再開しているようです。
キャッシュフロー
住友商事のキャッシュフローも見ていきます。こちらのスライドをご覧ください。左側がキャッシュフローに該当する部分ですね。
ポイントを箇条書きします。
- 営業CFは+532億円と前年の+468億円から64億円増収。
- 投資CFは▲29億円と前年の▲532億円から+503億円投資減少。
- その結果フリーキャッシュフローは+337億円の黒字(前年は▲194億円の赤字)。
営業CFは増加をし、投資を絞った結果フリーキャッシュフローはプラスに転じていますね。フリーキャッシュフローについては投資のタイミングもあるので、1Qの数字は参考程度に捉えておいた方がよいかもしれませんね。営業CFが増加しているのはポジティブです。
ちなみに右側の財政状態に少しだけ触れておくとDERは0.9倍と1倍を切っているので、上位商社と比較すると少し劣後するものの、健全な水準と言えるかと思います。
21年度通期業績&配当予想
住友商事の21年度通期業績及び配当予想も見ておきましょう。結論から言うと、今回通期業績予想を上方修正、配当は変更なしとしています。決算短信の該当部分を抜粋してみます。
ポイントを箇条書きします。
- 通期業績予想を従来の2,300億円⇒2,900億円に上方修正。
- 年間配当予想は70円から変更なし。
業績上方修正をしてくれましたが、増配はありませんでした。なぜ増配しなかったのかについては前回20年度通期業績を発表した際に合わせて公表した中期経営計画の株主還元方針に答えがあります。 こちらのスライドをご覧ください。
- 20年度配当金は70円、また中経期間中も70円以上を維持。
- 配当性向30%程度を目安に状況勘案の上、決定。
現在の住友商事の配当性向方針は30%程度を目安にと言っていますね。今回当期利益を上方修正した結果、一株当たり純利益(EPS)は232.01円となりました。年間配当予想は70円ですので、70円÷232.01円=30.17%となります。つまり今回の上方修正によってちょうど現在の配当性向方針である30%程度に収まったということですね。増配をするためには更なる利益の上方修正が必要ということです。
今後の更なる業績改善に期待しましょう!
最後に:丸紅と引き続きデッドヒート
今回住友商事の2021年度1Q業績を見てきましたが、20年度の巨額赤字から一転、21年度は大きくV字回復をしてきていることが分かりましたね。保守的な住友商事が1Qで上方修正したことは個人的には驚きでした。
さて、今期住友商事は丸紅と業界4位の座を争っています。既に決算発表をしている丸紅の1Q実績は1,121億円となっており、住商の1,073億円とほぼ同じレベルの利益ですね。丸紅は今回上方修正をしなかった一方、住商は2,300億円⇒2,900億円に上方修正を発表しましたので、2Qで丸紅がどう出てくるか、両者の競争から目が離せません!
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ということで、以上になります!
当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。
今回も最後までお読み頂き有難うございました!