こんにちは！総合商社マンです！三菱商事が発表した3Q決算発表後に開催した決算説明会の質疑応答に注目してみたよ！
三菱商事が20年度第3四半期決算を発表
三菱商事が2/3の場中14：00に2020年度第3四半期の決算発表を行いました。三菱商事の今期業績予想は2,000億円と公表しており、今回特に上方修正はありませんでしたね。こちらが決算の概要です。こちらのスライドをご覧ください。
ポイントを箇条書きします。
- 3Q実績は1,691億円と前年比▲54.7%と▲2,042億円減益(2Q時点は64.2%減益)
- 年間業績見通し2,000億円に対する進捗率は85%と順調に推移。
- 1,691億円の内、事業系1,279億円（前年比▲1,252億円）、市況系335億円（前年比▲801億円）といずれも大幅減益。ただし、事業系の進捗率は98%に到達（市況系は65%）。
前年同期での減益額▲2,042億円の内、一過性損益（いわゆる減損）は▲209億のみで、多くは巡航利益の減少となっているところが気になる点でした。
年間業績予想2,000億円に対しても進捗率85%に達しているにも関わらず上方修正しなかったのは4Qに何らかの減損を控えている可能性もありますね。
決算全体は以下記事に纏めてありますので興味があれば御覧ください。
さて今回はそんな三菱商事の決算発表後に行われた決算説明会の質疑応答に注目してみたいと思います！お楽しみください！
三菱商事の決算説明会質疑応答
三菱商事の2021年3月期決算発表後の質疑応答を見ていきます。全て見ると長いので、個人的に注目した項目だけ抜粋している点はご了承ください。全文を見たい方は三菱商事のIRページから御覧頂けます。
※以下掲載の質疑応答は全て三菱商事のIRページからの抜粋です。
現在の実力値について
「事業環境の改善に伴い、3Qの巡航利益は1,000億円を超えたが、現在の実力値と捉えて良いか？」という質問ですね。個人的に業績に対してストレートな質問で好きです。笑
これに対する回答がなかなか興味深いです。こちらです。
- 3Q業績には偏りがあり、実力値としては800億円～900億円程度。
- 今回の3Qの3カ月業績は直近最も低水準の原油や原料炭などの資源価格が反映されている中での利益水準。
これは言い方を変えると、来期の業績について足元の実力値を鑑みると3,200億円～3,600億円の利益を出せる水準にまで巡航利益が戻ってきているというようにも読み取れますね。また、資源価格が直近最安値の価格で反映された実力値でこの状況ということで、更なる上振れを期待させる回答にも見えます。
通期業績予想2,000億円据え置いた理由は？
これも気になるポイントです。
「3Qで2,000億円を据え置いたのは三菱自動車における構造改革費用の取り込み以外にも不採算事業を整理するとの意思があるのか？」という質問です。
3Q時点で1,691億円という税後利益で年間業績予想2,000億円に対する進捗率は85%に達している状況でも上方修正をしなかったですからね。前の質問の回答を当てはめるなら800億円～900億円の利益が4Qに積みあがるはずなので上方修正は必至なはずです。
これに対する回答はというと、「具体的な案件名は控えるものの、資産価値の見直しの可能性も踏まえ、通期見通しを据え置いたもの」とのこと。
ほぼ間違いなくなんらかの減損が控えているということでしょうね。案件名は明かさなかったですが、三菱自動車、ローソンあたりの減損が待っているのかなと個人的に予想しています。
これ自体は来期以降の減損リスクを今期中に手を打っておくということだと思うので、個人的にはあまり心配していません。むしろ将来ぱらぱら損失出すくらいならもう今期に出しきっちゃって欲しいというのが本音かな。笑
キャッシュフローの状況は？
配当に直結する話なので個人的に注目です。
質問としては「3Qの営業CFは4,469億円となったが、当初計画からの乖離はあるのか？」という質問ですね。
回答は以下の通り。
- 営業CFは当初想定より強めに出ている。現状の見通しとしては6,000億円近くまで届く可能性はある。
- 3Q時点では前年同期5,318億円から減少しているものの、連結純利益の減少幅と比較すると営業CFの減少幅は小さい。その乖離要因は、主に非資金項目として①Eneco連結開始に伴う減価償却費の増加、②三菱自動車の持分法投資損失の2点が挙げられる。
- 前四半期までと比較してCFが大きく改善していることは良い変化の表れと捉えている。
一言で言うならキャッシュフローは問題無さそうです。当期純利益がCFよりも減少しているのは現金流出を伴わない減価償却費の増加と持ち分損失取り込み増加が理由という分かり易い説明です。2Qよりも3QのCFが改善してきているということで、キャッシュを稼ぐ力は引き続き強いということで安心感があります。累進配当も問題無いですね。
DXの進捗状況は？利益貢献はある？
最近、三菱商事にかかわらず総合商社各社が掲げているDXに関する質問ですね。三菱消費はNTTと組んでDXを進めようとしています。具体的な質問は「DXの進捗は？来年度にかけてDXによるコストダウン効果等、利益貢献は見込めるか？」という内容です。
これに対する回答は以下です。
- 来年度から本格的に動き出す分野は食品流通のDX。食品ロスの削減を進める。
- 但し、あくまでコスト削減なので、そこまで大きな業績影響はない。もう少し長い時間軸で見て頂きたい。
今すぐに業績にインパクトの出る話ではないようです。個人的にはもちろんこのDXも気になりますが、三菱商事が作った造語のEX（Energy Transformation）のほうに注目しています。このEXを通じてエネルギーの最適解を2021年度中に公表することを以前発表していますので、どんな内容が出てくるのか今から楽しみです。
コロナ影響は徐々に薄まってきているか？
コロナ禍に関する直球の質問ですね。質問は「コロナ影響について以前は年間で▲3,000億円のマイナス影響であると説明があったが、現在の見方は？徐々に薄まってきているか？」という内容です。
これに対する回答がこちら。
- 前回公表時点ではコロナ影響は▲3,000億円程度と説明した。3Q時点では▲2,400億円の影響があったと分析しており、年間では▲2,800億円程度に留まる見込み。
- コロナ影響は徐々に小さくなってきており、1Qは▲1,100億円強、2Qは▲700億円弱、3Qは▲600億円程度、4Qは▲400億円程度と分析している。
1Qがやはり底の底だったということですね。仮に4Qの▲400億円程度の影響が2021年側で継続したとしても3,000億円台の利益は来期確保出来そうなメッセージになりますね。
最後に：今期は来期に向けての準備期間か
今回三菱商事の20年度3Q決算説明会での質疑応答を見てきましたが、説明を見る限りは今期は無理をして2,000億円から上を目指そうとはしていないことが感じ取れます。質疑応答でもあった通り4Qでそれなりの減損処理を控えていて、今期処理をして身軽になった上で2021年度以降に臨むということでしょう。
業界王者の座を2020年度は伊藤忠商事に譲ることになりますが、既に最悪期を脱しており、来期以降からの回復に今から期待をしたいと思います！
最後に三菱商事株を中心に置いた最新の私のポートフォリオを以下記事に纏めていますので御覧ください。 ポートフォリオのほぼ半分が三菱商事です。笑
また、上記記事でも公開している通り、私はポートフォリオの一部にビットコインも入れています。最近はビットコインに関する話題に事欠きませんね。
- JPモルガンがビットコインの長期的見通しを14万6,000ドル（1,500万円程度）と発表。
- イーロンマスク率いるテスラもビットコインを購入。
- 米国資産運用大手のバンク・オブ・ニューヨーク・メロンが仮想通貨の資産管理サービス開始。
大口投資家が仮想通貨に投資を始める土台がいよいよ整いつつあることは注目ポイントですね！これから仮想通貨投資を始めるには面白いかもしれません！ただ、下落する時はなかなかの下落幅になり得るので、ポートフォリオのほんの数パーセント組み込む程度に抑えたほういいですよ。
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ということで今回は以上です！当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。
今回も最後までお読み頂き有難うございました！
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