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三井物産・決算発表速報(20年3月期)!中期経営計画も発表したよ!!

 

 

 

三井物産2020年3月期決算発表

三井物産が本日2020年3月期の決算発表を行いました。昨日の双日、豊田通商に次いで3番目の決算発表です。特に三井物産は資源の比率が高く、今回のコロナショックへの影響がどの程度なのか(特に2021年3月期)と気になっていたので、個人的にかなり注目していました。それでは早速見てみましょう! 

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御覧の通り当期利益は3,915億円と直近の見通しの4,500億円には▲585億円未達、また前年比でも▲227億円となっています。ここには表示されていませんが、売上高も減っていますので、減収減益の厳しい決算となりました。ただし、キャッシュフローはしっかり稼ぎ出せているようですね。ここが三井の強さかな。ちなみに当期利益の内訳ですが、3915億円の内、資源2,430億円、非資源1,611億円となっているので資源62%、非資源38%という内訳ですね。

三井物産は3月27日に既にプレスリリースにて500億円~700億円の減損が計上されることを公表していましたので、2020年3月期の決算内容に関しては特段サプライズはありませんでした。
期末配当に関してはどうでしょうか。

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御覧の通り当初予定していた40円は維持、年間配当は合計80円としています。三井物産は税後利益からの配当性向何%という考え方よりも、「基礎営業キャッシュフローに対する総還元性向」を強く押し出しています。今回この詳細には触れませんが、その基礎営業キャッシュフローに対する還元性向は2020年3月期は31%、税後利益に対する還元性向は50%を予定しています(予定と言っているのは、最終的に配当額が承認されるのは6月の株主総会だからです)。

尚、以下ページで総合商社各社の配当方針を纏めていますので、興味がある方は御覧ください。

 

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三井物産の2020年3月期の減損規模はどの程度だったか?

三井物産の2020年3月期の減損はどの程度発生していたのでしょうか?決算資料のこのページに記載がありましたので見てみます。

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これは前期の純利益4,142億円から当期純利益3,915億円に減益となった要因を大別して見せている表ですが、一番右側の赤枠部分が減損の内訳となっています。合計▲750億円の減損が発生していることが分かりますね。石炭事業やガス事業等、資源関連や海外鉄道事業等で減損が発生しているようです。

 

 

三井物産の2021年3月期業績予想はいかに??

三井物産の2021年3月期の業績予想はどうなっているでしょうか?

これは決算短信の該当部分の抜粋です。

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私は結構衝撃だったのですが、なんと2021年3月期の純利益予想は1,800億円となっています。そして、配当は維持の80円、税後利益に対する配当性向は75.9%。まず1,800億円という数字ですが、まだ未発表なるも住友商事や丸紅と下手すると逆転しうるレベルの利益規模です。如何に今回のコロナショックが資源比重の高い三井物産にインパクトを与えているかが分かります。ただ一方で、配当を80円で維持しているところに、三井物産のキャッシュフローの強さが如実に表れている気がします。下位商社には真似できないですねこれは。。。

純利益予想1,800億円の内訳

1,800億円の内訳を見てみましょう。これがかなりの驚きです。

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赤枠は私が付けたのですが、何が驚きか分かりますか?そう、エネルギービジネスは21年3月期の利益予想ゼロとしているのです。20年3月期は578億円をエネルギーが稼いでいるので、それがゼロ。。すごいですね。逆にいうと資源価格が良くなれば上振れ期待は膨らみます。

 

前提条件 

2021年3月期の前提条件はどうでしょうか?こちらです。

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  • 原油価格(JCC):33ドル
  • ドル円:108円

JCCというのはジャパン・クルード・カクテルの頭文字で、日本へ入ってくる原油価格の平均です。なのでWTIがいくら、Brentがいくら、というのは不明ですが、感覚はつかめますね。もちろん原油だけではないですが、この資源価格前提でもエネルギー部門の利益がゼロということは、今回のコロナショックでWTI原油が10ドル台まで落ちている事のインパクトが分かりますね。

 

三井物産・中期経営計画発表!!

三井物産は今回の決算発表に合わせて「中期経営計画2023」を発表しました。2023年3月期までの利益目標も出しているので、定量的な部分の内容を見てみましょう!

定量目標

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こちらが2023年3月期までのキャッシュフロー及び当期利益の目標です。まず右側のシンプルな純利益ですが、2021年3月期の1,800億円を2023年3月期までに4,000億円にまで戻す計画です。そして配当の原資となる基礎営業キャッシュフローは2021年に一度4,000億円に悪化するも、2023年3月期には2020年と同じレベルの5,500億円にまで戻そうとしている計画です。従い、言い換えるならば、本中期経営計画は過去最高益は目指さずに(過去最高益は12年3月期の4,344億円)、まずは堅実経営を行い4,000億円の利益規模に戻すことに専念するという守りの計画と言えます。ま、資源価格が吹けば上方修正もあり得ますけどね。笑

 

株主還元方針

中期経営計画の中での株主還元方針はどうでしょうか?以下の方針を打ち出しています。

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出ました!配当下限保証!!2023年3月期までの間、毎年の配当80円を下限保証しています。うーん、株主思いで安心感ある計画です。それだけキャッシュフローを創出することに自信があるとも言えますね。実は三井物産は2020年3月期も配当80円の下限保証をしていました。従い、今回の80円下限保証は新しいものではなく、今まで保証していたものを引き続き継続しますよ、ということになります。

自社株買いについてはどうでしょうか。自社株買いについても上記のスライドで「機動的に推進」とあるので、本中期経営計画中にも行われることに含みを持たせていますね。実際、現在も三井物産は自社株買いを行っています。詳しくは↓の記事に纏めていますので、ごらんください!

 

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三井物産の株価推移

三井物産の株価推移を見てみましょう。以下日足チャートです。

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コロナ拡大が本格化する前の年初は2,000円程度で推移していた株価が一時年初来安値の1,378円まで下落。30%程度の下落です。その後少々戻して1,500円前後まで回復しています。先ほど言ったように三井物産は現在自社株買いを進めており、期限が2020年6月23日までとなっています。三井物産の株主総会が6月19日に予定されているので、そのタイミングで次の自社株買いが発表されるのか、個人的には注目です。

尚、総合商社各社の株主総会スケジュールは以下記事に纏めているので御覧ください。

 

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最後に

いかがでしたでしょうか?今回の三井物産の発表で総合商社3社の決算発表が終わり、来週いよいよ私が個人的に注目している三菱商事VS伊藤忠商事の結果がみえることになります。決算発表スケジュールは以下の通りです。

 

 

GW明けの5/7、5/8と決算発表が続きますのでしばらく目が離せませんね!他商社の決算も発表され次第、記事にしていきたいと思います!

ということで今回は以上です!最後までお読み頂き有難うございました!

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