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【総合商社】自己資本比率&ROEランキングから見る7大商社の特徴

こんにちは!総合商社マンです!今回は総合商社各社の自己資本比率とROEから各社の特徴を見てみたいと思います!

 

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自己資本比率&ROEとは

「自己資本比率」と「ROE」と言われたら皆さんどのような説明をするでしょうか。今回総合商社各社の「自己資本比率」と「ROE」に焦点を当てて、総合商社各社の特徴を見ていきたいと思いますが、「何それ?」だったり、「何でその二つ?」と思う方もいるかもしれませんので簡単に説明しておきましょう。

 

「自己資本比率」

端的に言うと「負債と自己資本のバランス」です。計算方法は自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)ですね。他人資本というのは負債のことです。バランスシートの右側の合計が総資本ですので、総資本の内、どれだけ自己資本(株主の金)で賄えてますか?という指標ですね。高ければ高いほどその会社の財務の安全性は高いと言えます。

 

ROE

「ROE」はReturn On Equityの略ですね。日本語でいうと自己資本利益率です。要は自己資本からどれだけ利益を産み出せていますか?という指標です。こちらは高ければ高いほど自己資本(株主の金)を効率的に使って利益を出していると言えます。

 

こんな感じ。

そしてなぜこの二つの指標を同時に見るかというと、どちらにも自己資本が関係しているからですね。自己資本比率は「財務の健全性」を見る指標、ROEは「経営の効率性」を見る指標と考えれば良いかと思いますが、その二つのバランスが大事だということです。

感が良い方はお気づきかもしれませんが、この二つの指標はどちらかを高めようとするとどちらかが低くなる傾向にある関係性ですね。安全性を重視して内部留保を高め、負債を減らせば自己資本比率は上がりますし、ROEを高めるために負債を増やしてレバレッジをかけたり、利益を配当に回して自己資本を少なくすれば自己資本比率は下がりますからね。いずれにせよ利益を出すことが大事なことは言うまでもありません。

ま、四の五の言わずに見てみましょう!笑 今回は2020年3月末の「自己資本比率」と「ROE」を使って総合商社各社の特徴を見てみたいと思います!

  

総合商社自己資本比率ランキング(2020年3月末)

総合商社の2020年3月末時点の自己資本比率ランキングです。一番右側にROEも表示させてみましたが、まずは自己資本比率にフォーカスします。

 

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ポイントを箇条書きしてみましょう。

  • 1位は三井物産の32.3%。尚、三井物産は利益では3位。
  • 2位は住友商事の31.3%。利益面では4位。「石橋を叩いても渡らない」と揶揄されているが、この自己資本比率の高さも影響か?
  • 3位は利益1位の三菱商事で29%。ここまでを全て財閥御三家で押さえている状況。財閥の安全性がここにも表れた印象。
  • そして4位に利益面では2位の伊藤忠商事で27.4%でランクイン。
  • 続いて5位に豊田通商が26.3%でランクイン。
  • 続いて双日が6番手に26%でランクイン。
  • 最下位は丸紅の24%。20年3月期の赤字が響いた格好で、19年3月時点は29%だった。

こんな感じ。三井物産を筆頭に財閥御三家の自己資本比率の高さが際立つ一方、利益面で成長著しい伊藤忠は4位、そして丸紅が赤字の影響で一気に最下位転落しているあたりが注目です。

ここまでは自己資本比率ランキングでした。さすが財閥の安定性は抜群だなーと思ったと思いますが、あくまで自己資本比率は「財務の安全性」を見るものだけなので、次のROEを見るとまた違う景色が見えてきますよ。

 

総合商社ROEランキング(2020年3月末)

総合商社のROEランキングです。先ほどは「財務の安全性」である自己資本比率でしたが、今回は「経営の効率性」を見る指標になります。

さっきの表の使いまわしですが、表の一番右側、赤枠で囲った部分にROEの記載があります。上位3社に金・銀・銅の王冠を付しています。

 

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ポイントを箇条書きしてみましょう。

  • 1位は16.9%で伊藤忠商事が2位以下を突き放しブッチぎりの一位。
  • 2位は豊田通商が11.3%、3位には双日が10.2%でランクイン。ここまでがROE10%超えクラブ。
  • そして自己資本比率ランキングでは上位だった三菱商事と三井物産がほぼ同じ9.8%程度で4位、5位にランクイン。
  • 自己資本比率2位にランクインしていた住商に限っては6.5%と一気に低下し6位。
  • 丸紅は赤字だったのでランク外。

こんな感じ。

注目ポイントは二つで、自己資本比率ランキングでは上位3位を押さえていた御三家がROEランキングでは4位以下に位置。一方自己資本比率ランキング4位だった伊藤忠商事がダントツ1位に躍り出ている点でしょう。

ここから何が言えるのか?最後の章に纏めていきたいと思いますよ。

 

まとめ:財務安定の財閥<効率性の高い伊藤忠

最後にまとめですが、これは私の意見というよりは株式市場での評価と思ってくださいね。この章のタイトルにある通り、自己資本比率が高い財閥3社よりも、ROEの高い伊藤忠商事が株式市場からは圧倒的に評価されているということです。

「なんでそんなこと言えるの?」「誰から聞いたの?」って思う方がいるかもしれませんが、そんなことは聞くまでも無く、「株価が答え」だからですね。笑

伊藤忠の株価が圧倒的にパフォーマンスが良いことが全ての答えです。株価の詳細については以下記事に纏めているので御覧頂ければと思いますが、伊藤忠は2020年に上場来最高値を更新する一方、財閥御三家が上場来最高値を最後に付けたのはなんと2007年、2008年です。

 

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御三家株ホルダー(私含む)からすると目を背けたくなるような話ですが、これは紛れもない事実です。

伊藤忠曰く2019年度のROE16.9%は出来過ぎた内容だったようで、今後は13%程度を目指すと公表していますが、三菱商事、三井物産の課題はこのROEを高めることでしょう。

 

 ROEを高めるには「利益を増やす」か「株主還元をして自己資本を減らすか」、もしくは「その両方」ですので、ぜひ「両方」を目指して成長していってもらいたいものです。笑

尚、今回自己資本比率とROEから総合商社を見てみましたが、以下記事で別の観点からも考察しているので、ご興味あれば御覧くださいね。

 

従業員数から見る総合商社 

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総資産&ROAから見る総合商社 

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また、決算書の読み方を勉強したいと思われている方にはこちらの本がおススメです。

 

 

堅苦しくなく、決算書の読み方全然分かりません!という方から、かじったことはあるけど改めて理解したいという初心者~中級者の方向けの本です。私自身も今更ながら改めて読むと頭の整理に繋がって非常に良書でした!

また、三菱商事を例に挙げて企業分析方法を学べる現役銀行員のたりたり社長という方が書いた良書もありおススメですよ。 

 

 

ということで以上です!当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。

今回も最後までお読み頂き有難うございました!

 

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